染織工房きはだや 「店主の独り言」

きはだや店主が今日の出来事を語る。喚く。話す。切る。
でも日記は苦手。
皆様の気軽なコメントをお待ちしています。

失われゆくもの

2017年12月19日 | 店主の一日
先日、贔屓の八百屋さんに行った時にオヤジさんが車から大量の干し大根を下ろしていました。
聞くと100束近い量です。あっという間に店の隙間が埋まっていきます。

これを買っていく人は家で漬物をつける方々です。元々は自分で大根を作っていたのでしょう。
もちろん全て食べることなどできないし、漬物にして冬の保存にもしたり。
干すのにもそれなりに手間がかかるので、干してあるものを買ってきて、漬けるのだろうと。
しかし、どれだけの人が干し大根を買って帰って家で漬物をするのだか。。

別にスーパーで漬物を買ってくれば済む話なのだろうけど、習慣的に漬物をしてきた人にとってはきっと初冬に欠かせない儀式のようなものなのでしょう。
大根の束はバラ売りもするのでしょうが、流行りで「糠漬け女子」が面白がって買っていく量ではないです。
かなり本気で漬けるのでしょう。
〜干し大根の他には野沢菜の束を売っているのも見かけます。


何十本という大根を漬けて、「今年は塩っぱかった」「暖かくなったら酸っぱくなる」などと心配をしながら、離れて住む子供さんやご兄弟に送ったりなさるのだろうと。
でも、これを漬ける方はおそらく僕より一世代くらい上の方であろうと思います。
あと、十年ほどもしたらこの大根を買って漬物をなさる人もほとんどいなくなってしまうのでしょう。
そして、もちろん、スーパーではこんなものは売っていないし。

人の季節の営みと云うか、日常のようなものを見た気がしました。
今の十日町に残されたステキな様子です。
でも、これもいずれは失われていくのでしょう。



コメント
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