染織工房きはだや 「店主の独り言」

きはだや店主が今日の出来事を語る。喚く。話す。切る。
でも日記は苦手。
皆様の気軽なコメントをお待ちしています。

志村ふくみ大先生に触れる

2015年12月26日 | 店主の一日
きものを扱う仕事をしていますが、志村ふくみ先生のきものに触れる機会はなかなかありません。
志村先生本人に触った訳ではありません。あはは。
以前に赤坂の草月ホールで大規模な個展を見た時は圧巻でした。
それ以外では日本伝統工芸展で眺めるのがせいぜいです。紬織物は糸の使い方で随分と生地の風合いが変わってくるので、なんとか触ってみたいと思うのですが、おさわり禁止です。

先日、あるリサイクルショップで志村先生のきものが出ているのに遭遇しました。
衣桁に掛かったレンガ色の格子の紬は一見しただけで圧倒される力強さです。
衣桁の足元には志村先生の名前と作品名の入った畳紙と他にも二点の仕立上りがありました。
紬は落款を入れる場所がないので仕立ててしまうと出自がわからなくなるものが多いですが、この畳紙が拠所であるようです。
格子なのですが、絵羽になるように設計されていて、(恐らく)玉糸の節が多い部分が裾の方に集められ、玉糸の節がデザインの一部になるように織られています。
作業の工程を考えると気の遠くなるような作業です。
この作業を愛おしんでしていると思うと、その凄みに驚きます。

明らかに怪しい人にしか見えませんが、その仕立て上がったきものをしばらくなでなでしていました。
裏地もきれいなもので、大切にされていたことがわかります。
三枚のきものは少しづつ触感が違うので真綿をつかったり玉糸を使ったりなのだと思います。
生地に張りがあって握った後、生地がすぅっと平に戻る感じでほとんど皺になりません。
節の少ない部分も生糸なのだか、節を丁寧に取り除いてあるのか。。
大先生の仕事は奥が深すぎて僕みたいなモノにはさっぱりわかりません。

でも、あの触感はいいですね。
紬は触ってみるに限るです。あの雰囲気を持ったものを作ることができたら幸せだと思います。


添付の写真は、以前の草月ホールでの展示の際に買ってきた絵葉書の一部。

コメント
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