☆ カーボンナノチューブ
宇宙開発で注目を浴びている“宇宙エレベーター”とは、36000㎞上空の静止衛星と地球をつなぎ移動する構想。
ロケットより低コストとされるが、かつては、つり上げるための長さに耐えられるケーブル素材がないため、空想の域を脱していなかった。
しかし、「カーボンナノチューブ」の発見によって、“宇宙エレベーター”の実現性が見えてきたため、その研究が進み始めている。
このカーボンナノチューブを発見したのが、一人の日本人飯島澄男理学博士だ。
カーボンナノチューブとは、炭素でできた筒状の物質で非常に小さく直径は1ナノメートル程度、髪の毛の1000分の1ほどの細さしかない。
その発見は世界を驚かせ、科学雑誌「ネイチャー」に何度も論文が掲載され、飯島博士は日本でノーベル賞に最も近い研究者の一人と見られている。
カーボンナノチューブの構造は炭素原子が六角形に結合しチューブ状をなし、まるで竹カゴのような構造をしている。
炭素原子は軽い割に六角形の構造は強いため軽くて強い性質を持つ。アルミの半分程度の重さで鋼鉄の約20倍の強度をとなる。
さらに、銅に比べ電気を約1000倍、熱も10倍多く伝える性質がある。
機械的、電気的、熱的、科学的に優れて材質であり、それぞれの分野で有望な応用が展開されつつあると飯島博士は説明する。