☆ 軍事産業下請けの抱える問題
発注元が国家という安定先である軍事産業、アメリカは2度の大戦や冷戦でその産業と雇用を支えてきた。
アメリカ空軍自慢のF22ステルス戦闘機“ラプター”史上最強とうたわれる超ハイテク兵器、その製造に関わる900社中、380社がカリフォルニア州に集中している。
そのエルセグンド市も基地もあることから古くから兵器産業の街として知られ、人口より多くの人が「レイセオン」「ノースロップグラマン」「ボーイング」など軍事企業に勤務する。
F22や、ミサイル防衛のインターセプターミサイルも製造されており、大手軍事企業の下請け企業が次々この街へ拠点を移している。
一方、高度に進むハイテク化についていけない下請けの淘汰も進む。
莫大な開発費や設備が必要な軍事産業は、とりわけ大企業へ集約する傾向が強く、人材も集中する。
結果として中小の下請け企業は従業員の高齢化と深刻な技術者不足に直面している。企業の中で世代交代が進まないのだ。
そんな中、F22のエアダクトを製造するエース クリアウオーター社は、F22など最新兵器生産のため、2年間で3億5000万円の設備投資をした。
しかし、利益はまだ出ていない。設備投資は、軍事産業に関わるエントリー費のようなもので、払えなければ撤退しかないという。
よりハイテクな兵器の需要に、軍事産業の構造が大きく変わりつつある。今後、国外からの参入も大いにあり得るといえそうだ。
既に、日本も商社や重工業など多くがアメリカの兵器産業に関わっていますが、今後、ロボットや光学といった日本の得意分野のハイテクは注目されそうです。