☆ 産業と雇用で街を活性化してきた軍事産業
年間51兆円、09年度ブッシュ政権が議会に提出する国防予算の計画で、軍事費としては日本の10倍以上にもなる。
アメリカ空軍の次期空中給油機に、EU企業であるエアバス社の機種KC45が採用された。
高速空中空輸、同盟国の空軍機にも空輸可能という柔軟性を軍が評価採用となった。契約総額は約4兆円(179機)という。
しかし、この決定はアメリカで物議を醸している。何故なら、この大型発注にアメリカ軍お抱えともいえるボーイング社製ではないからだ。
このようなことは今まで考えられなかったが、アメリカの軍事産業といえども開かれた市場であることを表明したともいえる出来事だった。
莫大な国防予算で産業と雇用を支えてきた米軍事産業のシステムに変化が見え始めている。
軍事アナリストも、政府は軍事産業のお膝元の政治家ほど、現地の雇用を気にかけていないという。
膨大な国家予算に支えられてきた米軍事産業は、街も変える。
アラスカ州、デルタジャンクション市にある“フォートグリーリー”は、地上配備型ミサイル防衛最前線の基地となる。
ブッシュ政権がミサイル防衛に投じた予算は、02年度から今年度まで計6兆円。
アラスカは北朝鮮などがアメリカに向けて弾道ミサイルを発射した場合の最短距離となることで、重要拠点として再評価されている。
そのアラスカ州デルタジャンクション市は、基地の町として再評価されたことで様々な恩恵を受けるようになった。
新設された図書館、小学校、ゴミ処理所、スケートリンクの改装、消防車・救急車の購入など基地からの援助金24億円で賄われた。人口もこの4年間で1.5倍に増加したという。