虹の国へ-日々を楽しんだり嘆いたりしちゃったりして-

平成21年度3次隊青年海外協力隊として
南アフリカ共和国での活動記録

南アの学校教育の課題-5-

2011-11-08 12:03:45 | 南ア-その他-

先日、私と同じ任地に配属される予定の後輩隊員の方から、
当ブログを見ていただいているとの報告を受けました。

現在、福島県の二本松訓練所で派遣前訓練を行っているようなので、
無事に訓練を終えられることを祈ると同時に、
ちょうど2年前に私もその場にいたのだなと懐かしく思います。

さて、昨日に引き続き、
南アの学校教育の課題について書きたいと思います。

今日のテーマは、「強すぎる教職員組合」です。

はじめに日本ですが、日本の教職員組合といえば、
「日教組」と「全教」、「全日教連」等があります。
(日教組‥日本教職員組合、全教‥全日本教職員組合、全日教連‥全日本教職員連盟)

日本の公務員にはストライキ権がありません。(国家公務員法第98条、地方公務員法第37条)

では南アの教職員組合はどうでしょうか。

南アの教職員組合といえば、「SADTU」や「PEU」があります。
特に、「SADTU」は、全国でもたくさんの教師が参加している大所帯です。

また、当ブログでも何回か触れたとおり、
南アの教職員組合は、ストライキ権を持っています。

しかも日本の組合に比べて、かなり強い権限を持っています。

以下、その例を挙げてみます。
・賃上げのストライキを行う
→賃上げのためのストライキを行います。それも結構な頻度で。
(昨年の賃上げ交渉のストライキは、約1ヶ月間強続きました。)

・教育委員会が主催するワークショップへの参加を拒否
→今ターム、教育委員会ともめたせいで、
教育委員会主催のワークショップを行うことができません。(リンク)

・一日実質6時間しか働かない
→午前7時から午後2時までの7時間が勤務時間(途中1時間休憩)なので、
実質6時間しか働かない。他の南アの公務員は8時間労働が基本なのにです。

・どんなに大事な会議でも時間が来ると帰宅する
→これは、本当に多い。ワークショップの途中でも平気で帰る教師がとても多いです。

・簡単に首を切られない
→上記のように組合がかなり力を持っているので、
教員が多少問題を起こしても、首を切られないという意識が高い。

このように、教職員組合が強い南アの学校教育は、健全ではありますが、
アパルトヘイト以降、政府による統制が弱体化して、
相対的に組合が強くなりすぎている現状は、やはり厳しいと言わざるをえません。


南アの学校教育の課題-4-

2011-11-07 17:47:44 | 南ア-その他-

以前に書いていた、
「南ア学校教育の課題」シリーズですが、
大好評(?)だったため、続きを書くことにしました。

その前に以前の記事のリンクを張っておきます。

南アの学校教育の課題-1-

南アの学校教育の課題-2-

南アの学校教育の課題-3-

さて今回のテーマは、「平均寿命が短い」です。

ご存知のように、日本は世界最長寿の国です。
平均寿命が80歳を超えています。

これは社会の授業でも習った事実ですが、
私は、南アに来て初めて、その本当の意味を知ることになりました。

では、はじめに日本と南アの平均寿命を比較しようと思います。

日本の平均寿命は、82.7歳
南アの平均寿命は、51.6歳
(wikipediaより、リンクはこちら)

ちなみに1990年の南アは、63歳でした。
※エイズの問題が大きくかかわっているとされています。

日本と南アの平均寿命の差は、30歳もあります。

これはどういう意味でしょうか。

51.6歳と言う年齢は、ただ低いといって片づけることはできません。

働き盛りの人が次々と亡くなっていくということです。

この国では、毎週のようにあちこちで葬儀が行われています。
それもたいていは、働き盛りの人です。

働き盛りの人が突然いなくなってしまうことの経済的損失は測りしれません。

それは同時に、子どもたちの世話をする人がいなくなることでもあります。

日本では、シングルマザーと言えば、未婚の母であり、
多くの場合、父親が生存しているかと思いますが、

南アでは、子どもの両親が病気で亡くなってしまうために、孤児がたくさん存在します。

これでは、子どもたちや社会でまともな教育ができません。

実際、私の巡回先の学校教師が次々となくなるという話をしょっちゅう耳にしますし、
私が組んでいた先生も何人かなくなっています。

南アフリカに来るまで、
南アフリカが世界一のエイズの国であるという事実しか知らず、
その本質を見抜けていなかった自分が情けなくなってきます。


せっかくなのでご報告

2011-11-06 02:55:11 | 南ア-その他-

今週、調整員の方を通じて、
JICAよりうれしい連絡がありました。

それは、英語子ども新聞「Let's えいGO」が
日本新聞協会賞(経営・業務部門)を受賞したとの連絡でした。

日本新聞協会のホームページより

えっ、それが私とどういう関係があるかですって?

昨年末にJICAを通じて、私たち協力隊員の何名かに、
世界のことを紹介する記事の依頼が来ていました。

その中から南ア代表で私の書いたHeritageDayの記事が採用されて、
全国9つの地方紙に掲載されました。

そのときの記事

それが、この「Let's えいGO」という記事だったということです。

今回の受賞は、私とは直接関係ないとはいえ、
うれしい報告には違いないので、当ブログでも紹介します。

私の任期は残りわずかですが、
帰国後も今回のような形で南アのことを紹介できたらと思っています。


カリキュラム改訂について

2011-10-30 18:56:28 | 南ア-その他-

今日は、南アのカリキュラム改訂について。

カリキュラムとは教育課程のことで、
各学年で何を教えるかを具体的に定めたことです。

南アでは、CAPSと言います。
(SAPSではありません。SAPSについてはこちら)

CAPSとは、
Curriculum and Assessment Policy Statementの略です。

このCAPSが来年から変わることが、昨年発表されています。
そこで、今日は来年からどう変わるかを紹介します。
※来年赴任の後任隊員は、ぜひご覧ください。

今回の改訂の骨格は、
「Back to basics(基礎に立ち帰れ)」ということです。

では具体的に見ていきましょう。

・Individual work(個人学習)→Group Work(グループ学習)
・Learning Area, Learning Programmes→subject
※呼称が統一されます。
・Learning Outcomes, Assessment Standards→Topics
※呼称が変わり、各週に教えるべきことを具体的に示します。
・IntermediatePhase(Gr.4~6)の教科数が8→6に減る。
※1 Technology+NaturalScience→NaturalScienceに吸収
※2 Art&Culture+Life Orientation→統合されLife Skillsに
※3 Economic and Management Science→廃止
・英語科がGr.1から必修に。
・2012年より順次変更開始。

このなかで、私が特に気になる点は、2点。

一つは、・Individual work(個人学習)→Group Work(グループ学習)。

これは、南ア政府のカリキュラム作成者が諸外国の主流となりつつある、
問題解決学習を取り入れるために行った変化と言えます。

ただ前にも書いたとおり、
GroupWorkは、各教員がその意図をきちんと把握して取り入れないと、
単にできる生徒の回答を写すだけという最悪の結果になりかねません。
(詳しくはこちら)

次に気になったのは、・IntermediatePhase(Gr.4~6)の教科数が8→6に減る。

南アはGr.4から教科担任制です。
そのため、教科数が変わるのは、現場にとっては、かなり大きな変化と言えます。

教員の数を変えずに、教科数を減らすことは、
誰がどの教科を教えるか混乱することは必至です。

これで各教員の負担減につながればいいと思いますが。

また今回は詳しく取り上げませんが、
南アのカリキュラムは、3~4年ごとに大きく変わるのも問題です。
(おそらく担当者が変わるたびに新しいカリキュラムになっているからかと。)

日本は10年ごとに教育課程を変更することで、
それぞれの教育課程の結果を分析する時間がそれなりにあるのですが、
南アのように3~4年に一度だと、分析時間も成熟期間もなく、
現場が混乱して、どうしても教育がぶれてしまいます。

ともあれ来年には変わる南アのカリキュラム。

南アの将来のために、大きな変化になることを祈っています。


AMESAの会員証とどく

2011-10-01 08:26:08 | 南ア-その他-

先月末の話。

AMESAのムプマランガ州大会で、
南アの算数科の先生に対して、プレゼンをしてほしいと
知り合いに頼まれていたのですが、
隊員共同イベントで忙しくて手が回らないと、丁重にお断りしました。

せっかくの機会だっただけに、残念でしたが、
それだけ日頃の活動が充実しているということでお許し下さい。

さて、そのAMESAですが、会員証が届きました。

今年7月のAMESAの全国大会の際に、
ついでにメンバー登録したものです。
(そのときの記事はこちら)

さて、私のAMESAの会員番号は、7373。

再来年(2013年)末まで有効だそうですが、
私は、来年には帰るので、これを使って何かをするということはなさそうです。

思えば、現在のAMESAのPresidentは、
私のメル友であった(?!)と言うこともあり、
日本の算数教育について、よく話をしていました。

先日も日本の算数科カリキュラムの英訳版を送り、
たいへん興味を持っておられました。

彼女と一緒にプロジェクトを行いたいなと思いながら、
ジョバーグに行くチャンスがなく、ほとんど実現していないのが、心残りです。