建人 建築事務所 徒然的な”独り言”

日々のことを書いています。仕事のこと、出掛けた先のこと、映画の感想、日々の楽しみなど。建築以外のことも書き込んでいます。

「白夜行」著者:東野圭吾

2008-05-16 22:29:03 | 本と雑誌

41gtd3yet6l__ss500__3  以前、読んだ小説で私が好きな作品でを紹介します。

 東野圭吾さんの作品で初めて読んだ作品で、TVドラマにもなりました。この作品は、東野圭吾さんの傑作と言っても過言ではありません。この作品を知ったのはTVドラマが好きだったからです。

 TVドラマの主演は、山田孝之さん、綾瀬はるかさん、武田鉄也さん、etc。こちらはストーリーが過激な上、放送時間帯が早かったせいもあり視聴率があまり良くなかったみたいです。個人的に面白く毎週楽しみに観ていました。舞台が関西方面、時代背景が自分の実年齢に近かったこともありましたが、なりより切ないストーリーがとても良かったです。主人公たちは幼い頃、大人たちに歪まされ、大きな「罪」を背負わされる。お互いの人生を影から助け合いながら生きていく。お互いの共通の目的のために、他人の人生を歪ませながら。。。最終回は、2度見て泣いてしまいました。

 小説の方は、主人公である亮司と雪穂の内面が一切描かれないまま物語が進んでいく。いくつかの事件が起きた後、周りの人たちの証言で二人の行動や感情が語られていく。しかし、二人の真意なのかどうかは、わからないまま。さらに二人の周囲で緻密に計画された完全犯罪は遂行されていく、さらに歪みを抱えながら。。。
 この作品「白夜行」のテーマは多分「純愛」なのだと思います。「幼い男の子と女の子の純愛」が、大人たちに歪められ、歪んだ「純愛」のまま二人が大人なっていくさまが描かれています。犯罪などの過激な描写が多く、ドラマの主人公たちより粗悪な二人ですが、小説ならでは面白さで800ページ以上(辞書並みのボリューム)もある文庫を一気に読むことできました。

 読み終えた後は、TVドラマでは描ききれない部分の奥深さ、小説に込められた現社会の大罪、この作者は「天才だぁ~!」と感動した後、なんて切ない物語なのだろ。。。歪みを生む社会。。。歪みを作る大人。。。そんな世界で子供が普通に生きていけるか?そんなことを思う作品ですね。私のおすすめの1冊です。
 
 ちなみに、ドラマの主題歌は柴咲コウさんの「影」という曲です。主人公の亮司の気持ちを雪穂が歌うというイメージで作ったらしいです。TVドラマの最終回を観てからや、小説を読んでから曲を聴いて、歌詞カードを見るとこの曲の奥深さが分かります。