南西ドイツの〈黒い森〉にある保養地、バーデン-バーデンの郊外にホーエンバーデン城館が、そして市内にはバーデン-バーデン城館があります。中世の時代にこの地方の侯爵家がまずホーエンバーデン城館に住み、ほどなくバーデン-バーデン城館に転居したそうです。
裏山から見たバーデン-バーデン城館 ・ 全体像
バーデン-バーデン城館は15世紀後半、バーデン-バーデン市の市場広場にあった14世紀のものと思われる古い石壁の所に建造されました。そして中世後期から何度か再建拡張されました。17世紀後半のパラタイン継承戦争の時にはフランス軍によって破壊されましたが、18世紀初頭に再建され、19世紀には大公たちが夏の邸宅として利用しました。代表的な部屋の内装はルネッサンス様式です。20世紀前半の11月革命後に家屋と国有資産が分離されたとき、城館は私有財産としてバーデン家に与えられました。その後2003年にバーデン家は城を売却し、クウェートの某会社の所有物となりました。その会社の創業者の娘である実業家は、高級ホテルから家族のための別荘まで、新しい用途の計画を立てていました。そして2010年にバーデン-バーデン市は城館を高級ホテルに改装する許可を与えたのですが、工事は遅々として進まず、2012年末にアメリカのホテルグループ、ハイアットがこの事業を引き継ぐことが発表されました。ところがその後数年間にわたって建設工事が停滞し、プロジェクトの財政的実行可能性に疑問があった事が明るみに出て、バーデン-バーデン市議会は2022年に最終的に開発計画を中止することを決定したのです。
高台にある城館 1 & 2
城館へ続く石段 ・ 城門
城門から見た中庭
高台にあるバーデン-バーデン城館へは歴史的スパ施設が並ぶ地域から石段を登って行きます。着いてみると、正門も裏門も鎖と南京錠で閉鎖されています。全体的に汚れていて数か所で壁が剥がれ落ちています。そのひなびた感じは良いのですが、荒れ果てている様子です。壁に這う紅葉した蔦の葉からだけ生命力を感じました。このままだと近いうちに廃墟になってしまうでしょう。市街地からのアクセスも周りの環境も良いので、2度の失敗にめげずに高級ホテルに改装するのが妥当だと思うのですが、、、、。
城館 1 & 2
城館 3 & 4
さて、城館を外から見た後、クアパーク (スパガーデン) を流れる小川の畔にあるホテルで午後のティータイムを過ごし、リンゴケーキとチーズケーキ、そしてアールグレイ紅茶を喫しました。
カフェの庭 ・ カフェの内部
リンゴケーキ ・ チーズケーキ
アールグレイ
どちらのケーキも甘過ぎなくてサラッとしていて、トロリとしたリンゴが特に旨く、チーズケーキはお約束の美味しさです。高級ホテルらしくゴージャスな雰囲気でスタッフの接客態度も良く、とても満たされた気持ちになりました。
〔2022年11月〕