牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

1月24日(金) 「キリスト教神学入門②」 アリスター・マクグラス著

2014-01-24 07:41:09 | 日記

 書名のキリスト教神学という言葉であるが、これは「キリスト教信仰の基本的な思想の体系的研究」のことである。すなわち組織神学であり、キリスト教教理である。

 さてキリスト教神学思想史であるが、中世とルネサンスに続くのは「宗教改革とそれ以後の時代」である。最も大事な人物は、マルティン・ルターとジャン・カルヴァンである。二人とも大学でまず教養学科を学び、その後に上級学科である神学(ルター)と法学(カルヴァン)を学んでいることは注目に値する。しかし、彼らは決して神学を思弁的なものにはしなかった。そこがカトリックのトマス・アクィナスとは違う点であった。神学をすべて教会の働きと伝道牧会、そして説教へと結びつけていった。聖書解釈と説教以外にも信仰問答書や信仰告白書を作成し、子供たちや教会員の教育にも力を入れていった。また牧会者向けともいえるであろう組織神学書を書いた。この時代の神学的傾向は実践的であったといえるであろう。

 それに続いたのが、ピューリタンであり、敬虔主義である。他の運動もあったが、それらはルターたちとは違う方向へ行ったと思う。しかしこの二つの運動は、ルターとカルヴァンに土台を置いている。ピューリタンと敬虔主義では神学の充実、教会の実践に加えて、聖霊の働きが顕著になってきたことが注目に値する。著者は本書でそのことには言及していないが、これはピューリタンと敬虔主義を本当に理解するためには欠かすことができない。アメリカのピューリタンの代表的人物はジョナサン・エドワーズであり、敬虔主義の代表的人物はジョン・ウェスレー(イギリス人)である。私はプロテスタントの牧師としてルターとカルヴァンの神学をとても重んじている。これが福音主義である。そしてそれに加えてジョナサン・エドワーズとジョン・ウェスレーの働きに憧れている。本当に尊敬している。彼らはそれぞれ伝統的な教派に属していたが、それを超えて聖霊の真の働きがあった。現代の一般的な聖霊運動よりもはるかに聖霊の働きが顕著であった。


 それに続く最後のものが「近現代」である。現代は、神学にとって難しくチャレンジに満ちた時代であると思う。近現代は啓蒙主義、合理主義、自由主義などの様々な思想があった。そして今はポストモダニズムの時代である。それは相対主義、多元主義になることが決まっている。聖書の思想とは全く違う、正反対である。20世紀を代表する神学者は、カール・バルトであると言われている。彼の神学を理解するのは非常に難しい。私はまだ勉強不足で、彼の立場がよく分からない。要するに福音主義に近いと思うこともある一方、非常に危うく感じることが書いてあることもあるので。特に神の言葉の神学がそうである。聖書が神の言葉であるというよりも、聖書が語られるから(説教によって)神の言葉になるのか。私は彼の聖書論が疑問なのだ。誰にとっても聖書論が神学の基礎になる。聖書論が間違うとその人の構築するすべての神学が狂うことになる。一番重要な前提は聖書66巻(だけ)が神によって啓示され霊感された神の言葉であるということだ。そのような観点からすると、私は共同訳(カトリックとプロテスタントの共同作業)は訳としては優れている思うが、聖書論の立場から見ると危うさを感じざるを得ない。その一番の理由は聖書の中に66巻以外の聖書外典がカトリックの影響によって含まれているからである。

 そのような中で今後、福音派、ペンテコス運動とカリスマ運動がどのように神学を構築していくのかが21世紀の課題であろう。私の願いは福音派、ペンテコス運動とカリスマ運動から21世紀を代表する一流の神学者(聖書学者)が出てくることである。