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芦原やすえの気まぐれ便り

原発のない町つくりなど、芦原やすえの日々の活動をご紹介します。

里山の挑戦と怒りの島根原発3号機説明会

2018-06-16 22:11:38 | 原発
今日は、午前中は雲南市の山間で島根県産業技術センターと高専、サンエイト、地域の里山照らし隊の皆さんが共同で開発した竹炭蓄電器TANDENを見学に行ってきました。
 中山間地に行くと、山の木々の間伐ができず、竹林も拡大し、荒れたままの状態となっているところが目につきます。その竹や木々を切り、炭にして電気エネルギーを貯め蓄電器を製造することで、景観や森林の保全に取り組もうというものです。敷地の中には街灯と電源となる蓄電器つきの太陽光パネルがいくつか並べてありました。日中は太陽光発電で発生した電気を貯めておき、夜間になると貯まった電気を使って照明をつける仕組みで、どれもコンパクトなものでした。この蓄電器は特許も取り、販売も始められましたが、まだ手作り状態で、お値段も1つ40万円程度で。雲南市が街灯用に購入し、松江市も総合運動公園の照明に購入したとのことです。他にも用途はスマホの充電や防犯カメラ用に使えるなど、今後、アイデア次第で利用が広がっていくのではないかと期待していらっしゃいました。お話しでは、ここで製造を拡大して全国に広げるというよりは、各地から製造のノウハウを学びに研修に来ていただき、各地で取り組んでもらいたいとのことでした。お話しを聞いていて、巨大な収益を生むわけでもなく、この蓄電器では家庭の電気すら賄うことはまだできない状態ですが、巨大でない分は、地域の中で人びとが環境の保全や小さな経済の循環を試みていて、まさに地域密着型だと思いました。これからも、研究しながら、少しづつ広げていってほしいと思いました。里山の小さな光のようでした。感謝!



 さて、午後ですが、くにびきメッセの会場で、中国電力による島根原発3号機の適合性審査申請について住民説明会がありました。今日から、松江市内で2回の説明会と周辺5市での説明会の始まりです。
 説明内容は、前回、島根県の安全対策協議会と安全顧問会議での内容とほとんど同じです。それをわずか1時間程度で済まそうとするわけですから、示された数値がどのようにして導き出されたのかまるでわかりません。例えば、中電は老朽火力を止めるために3号機が必要だと言うのですが、40年以上の運転年数がある火力が502万KWあると図を示します。しかし、この中には他社受電分が含まれていて、自社分がどれだけあるのか示されていません。その自社分のうち、石炭、石油、LNGがそれぞれいくらあるのかもわかりません。一番CO2排出の多い火力は石炭ですが、その石炭をどれくらい止めるのかはっきりしません。なにより、石炭火力の三隅火力100万KWの2基目を建設しようとしているのです。環境省から厳しく批判され、代わりに老朽火力を止めることなどが条件とされ、ようやく認可が下りた発電所です。いったい、中電に本気でCO2排出削減に取り組む気があるのか疑ってしまいます。また、各発電方法ごとに発電コストが示されているのですが、2014年のモデルプラントを使った試算が掲載されています。原発の発電コストが10.1円~とされ、一番安いということを示そうとしているのですが、これらの数値は何を条件としてどんな数値を使ってどう計算したのかなど、詳細がわかりません。これで、誰が信用するというのでしょう?一応、事故対応コストも入っているようですが、そもそも、福島原発事故の処理はまだ終わりが見えません。最終的にいくらかかるのかすらわかりません。
 会場からは、次々と質問と意見が出て、このおざなりな説明に対してもっと丁寧で詳細な説明を求める声が相次いでいました。また、活断層の評価に関しても詳細説明をせよとの声が上がりました。そして、3号機は一度も核燃料を装荷していない。いったん動かせば汚染してしまう。動かさないという選択があるのではないか?命に関わる問題だ。こんな説明でいいのか?などの意見も!周辺自治体と結ぶ安全協定の問題についても、鳥取の知事は立地自治体と同様の対応をしていただくことになっていると見解を述べているが、立地自治体と同等と、協定にはっきり明記せよ!との質問に続き、仮に一市が反対を表明したら、審査の申請はしないのか?はっきりさせて欲しいと、問う意見が続きました。これにも中電は「そんなことが起きたら大変なので、そうならないように理解を得るよう努力します」としか答えません。逃げないで、はっきり答えて欲しいと、再度聞き返すも、中電の姿勢は変わりませんでした。
 会場からは、終始ヤジが飛び、1時間半の予定が2時間近くまで延長となりました。皆、不満な顔で帰って行ったのが印象的でした。もう一度、開催させなければ!と思いました。


島根原発3号機適合性審査に向けた手続きをストップし、周辺自治体に事前了解権を!

2018-06-11 22:37:49 | 原発
5月22日に、中国電力が島根原発3号機の適合性審査申請のために事前了解願をもって来てから、島根県や松江市、そして周辺自治体に対して様々な市民グループが事前了解を認めないよう要請し続けています。
 島根原発・エネルギー問題県民連絡会では5月24日には鳥取県に対して要請に行ってきました。6月4日には、境港市議会、米子市議会、雲南市議会、松江市議会に、それぞれ島根原発3号機の適合性審査申請に関する陳情書を提出してきました。
 境港と米子にはそれぞれ9件の陳情、雲南には7件、松江には1件と数は多いのですが、1件の陳情の中に複数項目を入れると、その中の1項目に対して反対が多くなった場合に、他の項目も含めて全て不採択となる可能性が高く、1項目づつの陳情としましした。
 主要な内容は、「松江市と不平等の安全協定を改定すること。改定できるまで、3号機の適合性審査に関する判断を行わないこと。島根県と鳥取県に、それぞれ原発に係る専門家も交えた「検討委員会」を設置することを求めていただきたい。その結論が出るまで、同じく判断を行わないこと。市民説明会を中電に求めること。市民の十分な理解が得られるまで判断をしないこと。実効性のある「避難計画」ができるまで、適合性審査申請を行わないように中電に求めること」です。
 安来市と出雲市については、陳情受付の締め切りが過ぎていましたので、出せませんでしたが、市長との面談を求めています。雲南市議会は議長がいらっしゃいましたので、少し説明をさせていただきました。議長は、私たちの説明に対して「その通りで、趣旨は良くわかります」と言われ、安全協定の改定を求めることについては、強く興味を持たれました。松江市に対して、「財政的な面だけで決めていただきたくない」と述べ、立地自治体の意向を優先するような判断に向けた動きに、大きな不満を持っていらっしゃるのが良くわかりました。また、提出した陳情項目に対して「核のゴミ問題はないのか」と聞かれ、かなり原発が抱えている問題について把握されているようでした。

 この日、1日をかけて回り、かなり疲れましたが、今、手を尽くさなければ、3号機は稼働の方向に加速的に動いてしまいます。これらの自治体に対しては、さらに市長との面談を求めていますので、適合性審査にかける前に、本当にこれ以上の原発が必要なのか、実効性のない「避難計画」のままで稼働に向けた手続きを進めていいのか等、十分な検討を行い、市民への説明も含めて時間をかけて議論すべきだとうたえて行きます。
 
皆さんにお願いです!

私たち島根と鳥取の市民に手を貸してください。

各自治体に働きかけて欲しいのです。

電話をかけてください。

”もう、原発はいらないから、3号機の審査申請を認めないでください!”と

”住民の命を守るために、これ以上原発を動かすことがないように頑張ってください”と、伝えてください。


島根県原子力安全対策課 0852-22-5931
松江市原子力安全対策課 0852-55-5615
雲南市総務部危機管理室 0854-40-1027
出雲市防災安全課    0853-21-6268
安来市総務部防災課   0854-23-3074
米子市防災安全課    0859-23-5337
境港市総務部自治防災課 0859-47-1070

5月18日 中国電力へ抗議申し入れ

2018-05-25 23:22:35 | 原発
 当初5月17日に3号機の適合性審査申請のための事前了解願を松江市と島根県に持ってくるとのことでしたが、5月22日になって、多くの住民が反対する中を持ってきました。今回の事前了解願いについては、鳥取県や周辺30km圏内自治体にとって、3号機の建設当時は一切説明を受けていません。福島原発事故後、初めて中国電力と安全協定を結び、設置許可や審査にかけるなどの重要な変更に関して「報告を受け」、意見を述べることができるようになりました。しかし、これには重大な問題があり、事前了解権や立ち入り調査権がなく、立地自治体と比較して差別的な扱いの内容なのです。その差別的扱いが鳥取県側や周辺自治体の不満の声となっています。鳥取県は、3号機の説明を聞いていない!と、事前了解願いとは切り離して、まずは説明を求めました。慌てふためいた中国電力は、鳥取県や周辺自治体へ急遽説明に回ったのでした。その中で、住民説明会開催も要請されていますが、それもまだ実施せず、行政への説明も一度だけで、鳥取側は、これで説明は終わったとは思ってもいません。それにもかかわらず、中国電力は、5月22日に松江市と島根県に対して事前了解願を持ってきたのです。中国電力は6月議会で結論が出ることを期待し、松江市長も「早急に審査を受けて、安全性を確認していく必要がある」とマスコミインタビューに答えています。鳥取県知事は「周辺自治体を軽んじている。6月議会で決着する必要はない」といらだちを見せています。周辺自治体からもこの差別的な安全協定の改定を強く求められています。
 私たち住民団体は、松江、出雲、雲南、米子からそれぞれ駆け付け、広島の皆さんの参加も得て、予定通りに18日に中国電力広島本社へ3号機の稼働手続きである事前了解願いを中止するよう抗議の申し入れを行ってきました。原発が抱える様々な問題を挙げ、また、福島原発事故以前から、すでに電力消費は減少し続け、常に供給予備率が10%以上を維持していることからも、137万KWクラスの原発を作る必要もないと、手続きの中止を求めました。その際にも、やはり、この事前了解権付安全協定を結ぶよう強く求めました。対応した中国電力側からは、「CO2排出削減。老朽火力を止めたいので代替え電源として必要」などと言った3号機が必要だという説明が返ってくるのですが、福島原発事故が住民に与えた重大な被害を真摯に受け止める言葉が一切ありませんし、原発が抱える様々な問題についても一切触れないのです。そして、周辺自治体に関しては、「同様に対応させていただく」と言いながら、一市でも反対すれば審査にかけることはないのか?と問うと、「理解いただけるまで努力する」とオウム返しのように言葉が返ってくるだけでした。まったく、誠意のない経営上の都合を優先する中国電力の姿勢には怒りしかありません。
 


ー以下、申し入れ書ー
2018年5月18日

中国電力株式会社 
代表取締役
社長執行役員 清水希茂様

抗 議 文

                      

 貴社は5月22日に、「島根原発3号機の運転開始に向けての新規制基準適合審査申請の事前了解に向けての手続き(以下、「事前了解手続き」と記す)」を行うことを明らかにした。
 2011年3月11日に発生した福島原発震災による避難者は、7年が経過した今日においても5万人を超えている。政府は強制的に帰還政策を進めているが、現在の放射線量の中で、帰還する人は僅かである。一方で子どもたちを中心に甲状腺がんは増え続け、これまでに194人が甲状腺がんを発病、159人が手術を受けたとされている。また、福島第一原発の廃炉に向けての道のりは、その工程も費用もまったく見通せない状況である。

 現在も原発事故の真相は明らかになっていない。原子力規制委員会は、島根原発と同型の沸騰水型原発である東京電力柏崎刈羽原発6,7号機を、新規制基準に適合しているとしたが、「適合審査項目に従い合格にしただけで,原発の安全が確保されたわけではない」と、責任逃れをしている。
 
 多くの国民は、圧倒的に原発は嫌だという声を発している。それは様ざまな世論調査によって明らかにされている。先日実施されたメディアでの世論調査でも、原発事故への「懸念」を持つ人が大半を占め、逆に「新基準で安全性が向上し、深刻な事故も起きない」は僅か5%である。

 島根原発では南側約2㌔の場所に、東西に走る活断層「宍道(鹿島)断層」がある。かつて島根原発が最初に建設された時点では、貴社は「活断層は無い」と明言していた断層である。それをこの度39㌔と認めた。これで十分だとしているようだが、断層の長さの評価の延長が相次いでいる貴社の態度からは、不信感だけである。この断層について私たちは、東に約6㌔の地点から東方へ延びる鳥取沖西部断層(貴社の長さ評価約40㌔)と連動しているという懸念を持っている。さらに鳥取沖東部断層も含めて連動を考慮すれば、およそ140kmもの長大な活断層となる可能性がある。
 
また、再処理工場の稼働や核のごみの処分さえ見通しの立たない中、新たな3号機の稼働は、処分の困難な使用済核燃料を増加させるばかりであり、現在と未来に対する無責任極まりない間違った選択である。

 島根原発の30㌔圏内の自治体は、島根県内では松江・出雲・安来・雲南、鳥取県内では境港・米子の各市がある。この度の事前了解手続きに関連して、耐震設計の目安となる基準地震動の評価が規制委員会の了承を得た際、3号機の申請手続きに言及したことに対して、鳥取県の平井伸治知事は貴社に対し「説明をきちんと受けたことは今までない。一からていねいに話を聞く必要がある。」と、貴社の勇み足に苦言を呈している。これまで3号機の建設に関しては「周辺自治体」に対しては何ら説明をせず、蚊帳の外に置いて進めてきた。
申請手続きに入る前に、まずは、周辺自治体に対し、ていねいな説明をし、理解を得ることから始めるべきである。福島原発事故を経験した今、もはや「立地自治体」と「周辺自治体」への異なる対応は許されない。2017年4月「脱原発をめざす首長会議」から、安倍首相と世耕経産相に対し、周辺自治体の「同意権」を明記する申し入れがされていることは、承知のはずである。
また島根原発において避難を行う事態になれば、30㌔圏内自治体から広島県内に約16万9千人が、岡山県内に約10万1千人が避難をすることが、島根県・広島県・岡山県の3県において締結された「広域避難に関する協定」で明らかになっている。
「事前了解手続き」を行うのであれば、30㌔圏内自治体はもとより、避難先となる広島・岡山両県にも同意が得られるようにすべきである。

猛暑といわれた夏季にも、とりわけ気温が下がった冬季も、電力余り状況となっていた。貴社が発表している「中長期のエリア需給バランス見通し(8月、送電端)」においても、島根原発3号機が動かなくても、上関原発が建設されなくても、これから先の10年間も大幅な余剰電力が生じることが示されている。
まだ島根原発3号機については、核燃料が装填されていない。いったん稼働してしまえば、施設は放射能に汚染され、廃炉のためには膨大な費用がかかることになる。稼働を思いとどまれば、原子炉内に自由に立ち入ることができ、研修施設や観光施設として活用を図ることができる。まさに「動けば負債、やめれば資産」である。

1978年世界中が原子力発電の夢に酔っていた時に、ある科学者が「原発は滅びゆく恐竜である」という論文を書いた。40年前の指摘の正しさが明確になっている。
悲惨な事態を二度と起こさないためには、すべての原発の停止と廃炉、それしか解決策などありえない。これが福島第一原発事故から学ぶべき教訓である。

私たちはこの度の島根原発3号機の、「事前了解手続き」を行うことに強く抗議するとともに、直ちに手続きを中止することを要請する。また島根原発2号機の廃炉を求める。
 
 
 

新規原発・島根原発3号機はいらない!

2018-05-15 22:34:59 | 原発
中国電力は島根原発3号機適合性審査のための事前了解願の撤回を!


 2011年3月11日に起きた福島原発事故は、原発に対する「安全神話」を崩壊させ、多くの福島県民の暮らしを破壊し、故郷を奪ってきました。政府は年間20mシーベルト以下になった地域から帰還を勧めていますが、事故以来、子どもたちを中心に甲状腺がんは増え続け、これまでに194人が甲状腺がんを発病していて、子育て世代の多くは帰らないのが実態です。

 この事故後、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査が行われていますが、原発の安全性についての審査ではありません。また、住民の安全を守る最後の砦である避難計画も、30km圏内住民への避難指示が毎時500μ㏜や毎時20μ㏜という高い放射線量が確認されなければ出されません。これのどこが住民の安全を守るものだと言えるのでしょうか?住民にとって「被ばく計画」以外のなにものでもありません。まして、46万人の住民の避難は容易ではありません。特に松江市内は宍道湖と中海をつなぐ二本の川によって、大きく南北に分断される街です。そこには無数の古い橋がかかり、大地震による通行不能の事態も想定しなければなりませんが、ほとんど耐震調査も補修も行われてはいません。大混乱が生じることを覚悟しなければなりません。こんな実態で、避難計画の実効性が担保されるはずがありません。
 
 私たちが原発事故を一番リアルに考えられるのは、どの原発立地地域でも巨大リスクとして存在する大地震です。島根原発の南2㎞先には「宍道断層」が存在するのですが、もともと、中国電力はこの地に原発を造るときに、この活断層を認めてはいませんでした。1989年の3号機建設時の調査によって、はじめてその存在を認めたのです。そこから、この活断層は次々と延長され、2号機の適合性審査の中で、ついに39kmまで延長されたのです。中国電力は、この断層評価をもとに、基準地震動を820galとして適合性審査で説明を行い、規制委は、この評価を「妥当」と判断しました。
 しかし、中国電力が39kmと評価した東側には、鳥取沖に東西二つの断層があり、「宍道断層」との距離は6km程度しかありません。中国電力は、これらの断層はつながらず、「宍道断層」側に見られる重力異常が鳥取沖断層には見られないことから「連動もしない」と言うのですが、「つながらない」というのは現時点でのデータで判断できることであり、更なる詳細調査いかんによっては、この見解は覆される可能性もあります。また、6kmしか離れていないのですから、本来、連動すると判断すべきです。「39km」という評価は過小というべきです。また、820galという基準地震動もその評価手法について元規制委員会委員長代理の島崎氏が指摘するように過小評価にすぎません。

 島根原発3号機の稼働に向けた手続きが進められようとしているのは、この基準地震動が適合性審査で了解されたことから始まっていますが、この新規原発を動かせば、あと40年は確実に稼働することになり、一層、脱原発が遠のくことになります。また、処分に困る核廃棄物を増やすことにもなり、大問題なのです。
 この動きに対して、30km圏内自治体からは「何も説明を受けていない」との声が上がり、中国電力は急遽、事前了解以前の説明に回らざるを得なものい状況になりました。それでも、周辺自治体が結んだ安全協定が意見を述べることができても事前了解権のないものであることから、中国電力は早速にも5月17日に島根県と松江市に事前了解願いを持って行くつもりでいます。

 世界は脱原発から再生可能エネルギーへと舵を切り始めています。中国地方においても、福島原発事故以前から最大電力需要は減少し始めていて、2011年以降、すでに7年間も原発の電気なしで暮らし、かつ、常に10%程度の電力供給予備率を維持し続けてきています。中国電力は「老朽火力を止めたい」と、3号機稼働の必要性を説明していますが、理由になりません。原発を止め、老朽火力の代わりに省エネと再エネを進めていけばいいのです。そもそも、137万kwもの原発を動かせば、バックアップとして大規模火力が欠かせなくなります。また、中国電力は「皆さんが電気を多く使うから必要になる」と、よく言いますが、ベース電源として位置づけている原発の比率が増えれば、最低ラインの消費電力である需要を意図的に増やそうとオール電化や夜間電力消費をアピールするのです。本末転倒でしょう!
島根原発3号機はいらないのです!

 
中国電力は17日に島根県と松江市に3号機の事前了解願を持ってきますが、島根、鳥取を始め中国五県内の市民団体、そして全国の市民団体の賛同による抗議の申し入れを以下のように行います。
また、島根県、松江市、周辺自治体、避難先自治体への申し入れも引き続き行います。

日時 5月18日(金)14:10~
場所 中国電力本社(〒730-8701広島県広島市中区小町4-33 TEL 082-241-0211)
申し入れ団体 現在76団体

全国からも、中国電力への抗議、事前了解願いの中止を求める声を届けてください。




島根原発差し止め訴訟意見陳述

2017-09-25 21:09:38 | 原発
 今日は島根原発1,2号機の差し止め訴訟弁論が午前中に、午後は3号機の裁判が開かれました。
午前中は、「日本と原発」の概要版上映(証拠調べ)と原告側からの意見陳述を行いました。
 2号機の審査中ですが、注目の「宍道断層」に関して、昨日、中国電力は各新聞に懲り込みチラシを入れ、39kmと評価していることを広報しています。8月28日には規制委も現地調査に来ており、その反応も見極めた上での折り込みチラシではないかと思います。それでも、裁判長が「いつ活断層評価に関する主張をするのか?」と尋ねても、「見通しを示すのは難しい。39kmに見直しをし、東にある断層との関連について検討している。まだ評価を続けている。」と宍道断層に関する主張の時期を明示しませんでした。
 一方、3号機の裁判では、国は次回の主張予定について、「地震動審査のガイドライン」について準備書面提出の予定だと説明しました。原告側からは、新規制基準におけるシビアアクシデント対策の問題について主張する書面を提出しました。
 以下、今日の私の意見陳述を掲載します。


弁論更新にあたっての意見陳述


2017年 9月25日

控訴人 芦 原 康 江



1 弁論更新にあたって控訴人らを代表して意見陳述を行います。
 控訴人らは、被控訴人が島根原発から直近で約2㎞先に「なかったはずの活断層」をみつけたことから、耐震性に 欠ける1、2号機の運転差し止めを求めて松江地裁に提訴しました。
  原審を含め提訴から18年が経過しますが、その間、同じBWRでマークⅠ型である福島第一原発は、世界中を震撼 させる炉心溶融という重大事故を起こし、漏れ出た放射性物質は日本中を汚染してしまいました。原審が私たちの 訴えを退けたことはもちろんのこと、これまで各地で起こされた市民による訴えに司法が耳を貸さなかったこと  は、福島第一原発事故を防ぐことができなかった一つの要因と言っても言い過ぎではありません。本控訴審におい ては、控訴人のみならず多くの人々の命や健康、そして生活の全てを守ることを最優先にした判断を示していただ きたいと思います。

2 島根原発2号機については新規制基準適合性審査が行われ、原告らが島根原発の運転差し止めを求めた原因とも なった活断層の再評価を巡って、慎重な審査が続けられているところです。
  その「宍道断層」に関しては、被控訴人は適合性審査中の調査によって長さを25kmへと変更しています。そ の後、内閣府地震調査研究推進本部による宍道断層に関する長期評価が出され、東延長の海陸境界部に地質構造が 連続する可能性があるとされ、海域での本断層との関連性を検討する必要があると指摘されました。また、島根大 学の向吉准教授によって、被控訴人が東端とする地点から更に東側で断層露頭が発見されました。一連の新しい知 見は適合性審査の俎上にも載せられ、鳥取沖の断層への延長も検討が求められます。基準地震動の評価も変更が迫 られるのは避けられず、「島根原発が耐震安全性に欠ける」という状況はますます明確となってきました。

3 2号機の適合性審査を行う原子力規制委員会は「規制基準に合格しても原発は事故を起こす可能性はある。」と 明確に発言しています。この「原発は事故を起こす可能性がある」ことを前提として、原発の周囲30km圏内自治 体は広域避難計画を策定しています。法律上、避難計画を策定する責任は自治体にありますが、本来、被控訴人に は万が一の事故発生時における住民の安全な避難に対して、第一義的責任が存在しています。
  しかし、被控訴人は自治体に「協力する」だけで、その責任を全うしようとする姿勢が微塵もありません。
  また、原発の重大事故は、地震や津波などの自然災害発生によることが大きいと考えられますが、マグニチュー ド7クラスの地震が発生した際には、二つの川によって南北に分断される松江市内では、住民にはどこが通行可能 なのかすら全くわかりません。倒壊する家屋・火災発生・波打つ道路、そのような中を計画通りに避難行動するこ と自体が絵空事ではないでしょうか。そして、この避難計画は一定の放射線量を計測しなければ、30km圏内住 民に対する避難指示すら出されません。こういったことを勘案すれば、島根原発が重大事故を起こせば住民は被ば くを避けられません。

4 多くの福島県民は6年が過ぎる今も故郷に帰ることができません。政府によって帰還が求められても、汚染が続 く町には子どものいる世帯は帰ってきません。福島県内では、現時点で190人もの子どもたちに甲状腺がんが発症 し、健康を脅かされています。
  万が一にも島根原発が重大事故を起こすとは、どういうことなのか。住民が被ばくを余儀なくされるとはどうい うことなのか。福島原発事故が私たちに教えてくれています。この事故がもたらしたものに真摯に学べば、私たち が何をすべきなのか明白です。 
  裁判所におかれては、良心に従って「島根原発は運転してはならない」という訴えを、その通りだと容認されま すことを心より願っています。
以上