芦原やすえの気まぐれ便り

原発のない町つくりなど、芦原やすえの日々の活動をご紹介します。

9月議会レポート

2016-10-25 21:38:22 | 政治
 秋も随分と深まってきたようです。先日は、後援会の皆さんはトロッコ列車に乗るたびに出かけられました。気温も下がってきて、震えながらも楽しかったとの声が聞かれました。残念ながら、肝心の私は、島根原発の再稼働を止めるために、広島で開かれる集会に出かけ、島根の現状を伝え、再稼働ストップに広島の皆さんの力を借りたいと訴えてきました。トロッコ列車に乗れなくて残念。三江線にも乗りたいのですが、なかなかいけません。
 久しぶりに、9月議会のレポートをお届けしたいと思います。


使用済み核燃料に課税しても搬出にはつながらない。

大切なことは、これ以上ごみを出さないこと!


 江市議会では議員の質問に対して、答弁する執行部や市長が質問者に対して逆質問(反問権)することも認められています。めったにこれを行使することはないのですが、私の質問には、時々市長がこの「反問権」を行使します。
 今議会では、原子力防災について、5km~30㎞内の住民に放射線が計測される前に避難指示を出すよう訓練や防災指針の改正をすべきではないかと、市長の見解を求めました。その際に、市長は「それでは5km内の人が渋滞で逃げられない。芦原さんはそれでもいいと思っているのか?どうしたらいいのかちゃんと言っていただかないと!」と、逆に質問してきました。当然、これには答えました。
 議会では事前に質問通告もし、内容も伝えていますから芝居をやっているようなものだといった声もあります。ですが、質問する側にとって市長がどのような答弁をするのかは推測するしかありません。推測したうえで反論を考えて臨みます。市長の逆質問はまさに想定外です。それでも、このような形で、議場で即興の討論ができるのは有意義なことだと思います。

 9月議会は、2015年度の会計決算を審議する場でもあります。一般会計決算は1,000億円を超え、8億5,349万1千円の黒字決算でした。歳入に含まれる市民税は、前年度より増加し、97億7,868万7千円となっています。
 市民の平均年収は2010年レベルまで回復していますが、皆さんの実感はいかがでしょうか。負担だけが大きくなったと感じている方が多いのではないでしょうか?一方で、法人市民税は減税効果が大きく、31億7,826万26万円になっています。また、国からの地方交付金は減額が続き、239億5,845万9千円となる一方で、地方消費税交付金は15億5,970万5千円増額の39億4,276万3千円でした。地方交付金はこれから先も減額される予定で、松江市は来年度予算においても歳出削減を引き続き行う予定です。
 決算に対する反対討論の中では、この歳出削減が市民生活に大きな影響を及ぼすことがないよう、さらなる努力を求めました。

9月議会における質問と答弁

★島根原発の使用済み核燃料への課税方針について
 長は、1号機に残る使用済み核燃料、2号機、3号機の使用済み核燃料について、青森県の再処理工場稼働後に早期に搬出を促すためと称して、課税方針を明らかにしている。市長が搬出を促すために課税したいと考えるのは、中国電力や経済産業省による「青森の再処理工場に搬出する」との説明を信用していないということか。

市長 廃炉の手続きや工事について、やはり安全性が第一に考えなければならない。視察をして感じたのは、あの中に(使用済み核燃料)溜まり続ける行くことが一番問題になると思ったところだ。搬出を少しでも促進していくためにこの税金を課していく。

 処理工場の稼働に対しては、技術的な課題がある。また、プルトニウム利用については、もんじゅは廃炉が議論の俎上に上ってきた。軽水炉での利用は、その後の核のゴミ処理をより難しいものにしてしまう。これを推進する国にとって一番問題となるのが、巨額の再処理コストをかけたにもかかわらず、わずかな節約効果しかないということだ。核燃料サイクルの意義すら揺らいでいるのが現実である。こういった根本的な問題が解決されない限り、課税してみても搬出を促すことにつながらないのではないか。


市長 東京23区などではレジ袋削減のために課税している。こういう手法で課税されることが最近は多い。核燃料サイクルについては、これを確立してもらうことを前提に原発の稼働を認めている。再処理技術がスタートする時期に課税していくことにご理解をいただきたい。
 この市長答弁に対して、「レジ袋削減のための課税は効果があるものの、もんじゅを諦めるということは、それに代わる技術開発も含め、核燃料サイクルの確立には非常に困難な課題を抱え、課税してみても解決する問題ではない。もっと現実を直視し、ごみを出さないことを基本とすべきである」と、反論しました。

 ★高レベル核廃棄物処分地の科学的有望地について
 は、高レベル核廃棄物の処分地として、科学的有望地を今年度中に示す予定でいる。8月に、その科学的有望地の要件及び基準案が示されている。回避される要件として、火山や活断層などが挙げられているが、避けるべき範囲を限定的に設定すれば、適地を示すことはできるかもしれない。
 そこで、松江市内のどこかの範囲が適地とされ、NUMOによる働きかけが進められた場合、市長はそれを受け入れるのか。

市長 原発が所在することで、この原発の安全性について一生懸命対策を講じてきた。それ以上に、処分地として手を挙げることは到底考えられないと思っている。

 ★原子力防災訓練について
 年度も原子力防災訓練が行われると聞いていますが、UPZ内住民の避難訓練についてお聞きしたい。福井県の避難訓練では、高浜原発から30km圏内にある小浜市で屋内退避を求めるのではなく、放射線が計測されるような事態となる前の避難準備指示が出されていた。同じ30km圏内に住む住民の一人としては、小浜市の住民への指示は納得のいくものであった
 今後の防災訓練はもちろんだが、やはり原子力防災指針自体を、住民を被ばくから守ることを前提とした内容に改正すべきだと考える。市長の見解を伺う。

市長 発電所に近い人たちが一番危険性が高いため、段階的避難が考えられている。そうしないと周りの人たちが一斉に逃げることによって渋滞が起き、中心の人たちが逃げられないことになる。それでいいとお考えになっているのか、それはどうしたらいいのかちゃんと言っていただかないと。

福島原発事故では段階的避難が行われたが、大渋滞が生じたことは周知の事実。
 
 災指針に避難をする基準がある。これを現状からもっと早い段階で避難を開始し、段階的避難にするというふうに改めていけば、全ての住民が放射能が漂う中、避難を開始することは避けることが可能だと考える。ぜひ国に伝えていただきたい。

 ★災害時対応と環境教育としての学校における太陽光発電等設置について
 害時には学校や公民館などが避難所と指定されているが、電気・水道・ガスなどのインフラが使えなくなる場合がある。あらかじめ自立した電源などを設置しておけば、すぐに避難所で使用が可能だ。
 文部科学省は、「災害に強い学校施設の在り方」として可 搬式発電機か蓄電機能付き太陽光発電の設置を進めている。また、国土交通省と共同で学校ゼロエネルギー化推進方策検討委員会を開催し、省エネと創エネで実現は可能だと報告されている。環境教育や防災対策、省エネ対策として松江市内の学校屋上への設置を進める考えはないか。


福教育長 学校の大規模改修や改築の際に雨水利用、バイオマス熱利用(ペレットストーブ)を行っている。学校屋上への太陽光発電設備設置は、耐震補強をした構造部材に影響が出ることが想定されるため、現時点では想定していないが、防災担当部局とも連携を図りながら研究を進めていきたい。

 ★介護保険制度の見直しについて
 生労働省は、要介護1と2の高齢者に対する買い物や調理、掃除といった生活援助サービスを介護保険の給付対象から外し、原則自己負担にするとしている。
 立ち上がりや歩行、排せつや入浴に一部介助が必要となるような方たちから生活援助を取り上げたらどうなるのか。少ない年金生活からやっと支払っているような方にとって、全額自己負担は重すぎる。サービスを諦めたり減らせば、その先は重度化であったり、家族の介護離職と貧困化がまっている。
このような解決の仕方について、市長はどうお考えか。また、国に対して、財源の確保などの方向で解決策を見出すよう、市長会を通じて意見を伝える考えはないか。

市長 制度が立ち行かなくなることがないようにするということが前提だが、個人への負担が重くなっていくということでは、様々な症状が進むことになりかねない。全国市長会においても、国に対して財源確保をきちっとやっていただく必要があることを要望している。

★子どもの権利侵害に対する相談・救済機関の設置について
 供の権利条例に関する質問に対して、教育長は、文部科学省の通知において、国の法令の新たな制定などは、個別法で対応できるということで必要ないとされ、既存の相談窓口や相談機関での対応を充実させてきたとの理由で、条例は喫緊の課題ではないと答弁された。
 いじめや体罰に関して、本当に適切に対応できているのか事例を挙げて伺う。市内中学校で発生したいじめ問題だが、教育委員会は翌年8月に文科省の指摘があるまでいじめ重大事態だと認識されていなかった。指摘後にようやく調査し、9月には報告書を作成されたが、被害者のご家族には、今年の3月末まで報告もされていない。また、専門家会議に対しては、今年の6月になって被害生徒の保護者の訴えによって、やっと詳細な調査内容が報告された。
 被害生徒の生命にもかかわりかねない重大事態であったにも関わらず、適切な対応を取らなかったのが現実だ。学校・市教委の調査委員会、「いじめ問題対応専門家会議」がいじめの調査やいじめ被害者の救済機関として機能していない。それでも適切に対応してきたとお考えか。

教育長 ご指摘の事例は、初期段階の対応について課題があり、深刻化、長期化をしたものである。
 今後は、教職員のいじめや体罰、ハラスメントに係る研修を充実させ、市及び各学校のいじめ防止基本方針の徹底を図っていくことと併せ、ご指摘の点を反省材料として、まずは既存の相談窓口や調査機関の中立性や実効性を高めていくあり方を研究していきたいと考えている。

再度の反論として、「札幌市では、第三者機関を設け、子どもにわかりやすいパンフレットを配り、メールや電話で相談を受け付けている。その相談機関は子どもの最善の利益を守るために、関係する周りの大人たちが一緒になって働きましょうと説得し、調整をされている。第三者機関の機能は有効であり、再度、検討していただきたい。」と教育長に強く要請しました。

札幌市の子どものための相談室

🔹決算への反対理由

 算や予算の度に指摘していることですが、中国電力から3千万円の寄付を受け入れていたり、市内に立地する企業に対して電気料金の補助が行われています。来年度はいよいよ島根原発2号機の再稼働の是非が問われます。財政的な観点を重視した是非が判断されるような要素を排除していただきたいと思います。
 二つ目の反対理由は、社会保障・税番号制度事業としてマイナンバー通知およびカード発行に係る経費が執行されたことです。なりすまし被害の恐れはもちろん、共通番号制度の必要性自体が不透明です。他に反対理由として、プレミアム商品券発行、学力テストの結果公表などを挙げました。商品券発行は一過性の経済効果はあったものの、継続的な地域経済への影響はないのではないでしょうか。市民の可処分所得をいかにして増やすかといった観点からの地道な地域活性化が必要だと考えます。もう一つの反対理由は、議員の期末手当を0.1月分引き上げたことです。松江市民の平均年収は2010年レベ
ルまで回復傾向にありますが、人口20万人規模の都市の中では低いレベルにあります。こういった状況の中で、議員が受け取る手当も市民感覚から受け入られるレベルであるべきと考えました。
 
🔹陳情採択
 的指向および性自認等による差別等の困難の解消および支援のための法律の早期制定を国民及び関係省庁に求める意見書の提出について」とする陳情が市民から提出され、この間、総務委員会で審議されてきましたが、ようやく全員賛成で採択となりました。長い間、当事者の皆さんが様々な差別に苦しんでこられ、差別を解消するための実効性ある法律制定が望まれていました。国会においても与野党双方から法案が出されており、これから議論が進むことと思います。

美保基地への空中給油・輸送機配備計画

 衛省が、美保基地へ空中給油・輸送機KC-46Aを配備するとの計画を明らかにし、松江市に対して意見照会を行っています。防衛省の説明資料を読むと、同機配備は、南西地域(尖閣諸島一帯)の空防体制強化のためだとわかります。美保基地は必要な空域全般への進出も含めて位置として最適のようです。そして、「米軍機に給油する可能性は排除しない」とも言います。
 訓練空域に入る八束町の皆さんのお話を聞いてきましたが、「そんな大きなものが飛ぶのは怖い」「沖縄でも米軍機が落ちた。同じような事故が起きないか」など、今後、美保基地が軍事基地として強化されていくのではないかと心配されているようでした。
 美保基地が、近くに原発を抱えながら機能強化されていくのは、逆に攻撃も受けやすくなるわけで、憂慮されます。これ以上、不安の種まきをさせないよう、議員の立場から意見を述べていきたいと思います。