芦原やすえの気まぐれ便り

原発のない町つくりなど、芦原やすえの日々の活動をご紹介します。

原子力規制庁、原発廃炉措置を説明

2015-06-04 22:57:50 | 原発
 中国電力は、1号機を4月30日付で廃炉にしています。この廃炉工程では、低レベル放射性廃棄物6,255トン・使用済みの核燃料722体が発生すると予想されていますが、市長は繰り返し「敷地外へ搬出を」と言っています。
 6月4日は、その廃炉にかかわる工程について、また核燃料サイクルと高レベル核廃棄物処分に関する市議会での勉強会がありました。核燃料サイクルと高レベル核廃棄物処分に関しては、資源エネルギー庁が説明してくれました。この問題については、大いに問題ありと思うのですが、速攻で帰らねば!ということで質問すらまともにできませんでした。一言、昨日の非公開での自治体向けの高レベル核廃棄物処分に関する説明会開催に対して、私は地層処分については反対だが、どんな処理方法をとるにしても国民的な時間をかけた議論の積み重ねと合意が必要だ。これは最低限の条件だ。しかし、一昨日は「国民には知らしむべからず」と言わんばかりに非公開で行われている。おそらく各地で住民から不信感をかっているのではないか。このような形での説明会はやめていただきたいと、強く求めました。彼らは「説明会に出るだけで処分地に興味を持っていると思われてしまう。自由に発言していただきたかったので、非公開にした」と言います。これって「邪魔されたくない」と言っているように聞こえるではありませんか。この問題については、別途、書きたいと思います。
 今日は、廃炉工程についての規制庁の説明内容を中心に紹介しておきます。
原子炉の廃止措置に関しては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第43条の3の33第1項に規定されていて、①原子炉施設の解体②保有する核燃料物質の譲り渡し③核燃料物質による汚染の除去④核燃料物質によって汚染されたものの廃棄⑤その他の措置を行うことになります。島根原発より一足早く2001年に廃炉が決定され、廃止計画が提出されている浜岡原発1,2号機では、解体撤去のすべてが終了するまでに35年間かかることになっていますから、島根原発1号機もやはり同様な時間がかかるのではないでしょうか。それも順調にいっての話ですが!

 この日、規制庁が用意した資料には[標準的な廃止措置の工程」というポンチ絵が描かれています。それによると、①使用済み燃料の搬出②系統除染③安全貯蔵④解体・撤去とあります。まず、「使用済み燃料を搬出します」と明言されているのです。果たして、これは本当にできるのか?と、大いに疑問に感じます。現時点で使用済み核燃料の搬出先となるのは青森県六ヶ所村にある再処理工場です。その再処理工場は、実に22回目の稼働延期となっているのが実態です。ここでは、使用済み核燃料を切断・溶融し、プルトニウムとウランを抽出します。そして、高速炉で再び燃やすというものです。ですが、肝心なもんじゅは事故以来、止まったままです。資源エネルギー庁は、このもんじゅを廃棄物の減容・有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点にすると位置づけ、本来のプルトニウムを増殖させ自前の燃料を調達するのだという目的を放棄しています。そもそも、すでに再処理をする必要性がないのではないでしょうか?再処理工場の燃料プールはすでに満杯状態でもあり、各地の原発から使用済み核燃料を持ち込む余地などありません。現状は、”煮詰まっている”と表現した方がいいのではないでしょうか?政府は、そこを正直に語ろうとしません。あいまいにしたまま、ごまかそうとしているのです。

 この使用済み核燃料の搬出については、電力会社が作成して提出する「廃炉計画」には搬出先を書かなくてもよいのです。解体するまでに搬出できればよいのだそうで、規制庁の説明では「そこは事業者が決めることなので、計画時に決めることを求めていません」というのです。何と言いましょうか。絶句ものです。ここまで国策で強引に進めておきながら、にっちもさっちもいかない状態になったら、あっけらかんとして”事業者が決めること!”と責任放棄に等しいことを平気で言うのです。資源エネルギー庁が用意したもう一つの資料「核燃料サイクルの現状について」には、こんなことが書かれています。「使用済み燃料の貯蔵能力の拡大を進める。具体的には、発電所の敷地内外を問わず、新たな地点の可能性を幅広く検討しながら、中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設の建設・活用を促進するとともに、そのための政府の取り組みを強化する。」(エネルギー―計画・平成26年4月閣議決定抜粋)現に、福島第一原発、東海第二で敷地内に貯蔵施設を作っていますし、今後も浜岡でも敷地内に作る予定になっています。
 どうでしょう?島根原発1号機の使用済み核燃料は、果たして敷地外に搬出できるのでしょうか?説明を聞いていた市長は、いったいいつまで敷地内に貯蔵されるのか?と聞いていましたが、明確な答えはありませんでした。この説明を聞けば、市長の求める敷地外への搬出が極めて難しいことは誰でもわかるではありませんか。市長は腕組みをしたまま黙り込んでいました。
 冒頭、書いたように、私は再処理をすることも地層処分も反対ですが、どんな処理方法をとるにしても国民的な時間をかけた議論の積み重ねと合意が必要なのです。それによって、「核のゴミ」は敷地内に貯蔵するするのか、敷地外にするのかも決めることができるのではないでしょうか。
 さて、話は元に戻ります。「②保有する核燃料物質の譲り渡し」ですが、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき、適切な原子炉事業者または適切に海外に譲り渡す計画にすることが求められています。これ、譲り渡した先で原発が稼働することを前提にしています。「海外」って、どこでしょうかね?日本が原発を売り込んだ国で使われる可能性はないでしょうか?心配です。
 「③核燃料物質による汚染の除去」ですが、いったいどこまで除去できるんでしょうか?除染の順番について、「放射能レベルの高い原子炉機器等は、5~10年の間、貯蔵し、放射性物質の量が減るのを待つ」とし、被ばく低減の見地から安全管理上の措置を講じていることを求めていますが、果たして働く人の安全がどこまで確保できるのかも不透明です。エネ庁は、この点についても法律が求める基準を守ることを求めているとしか言いません。
 そして、「④核燃料物質によって汚染されたものの廃棄」ですが、放射性廃棄物には気体状のものと液体状のもの、固体状のものがあります。気体状のものと液体状のものは、法令により薄めて排出することができます。固体廃棄物は比較的高いレベルのもの(原子炉容器など)、比較的低いレベルのもの、極めて低いレベルのもの、放射性廃棄物として扱う必要のないもの(クリアランス)、放射性廃棄物ではないものに分けています。比較的高いものと比較的低いもの及び極めて低いものは、廃棄事業者へ放射性廃棄物として廃棄するのだそうです。クリアランスレベルのものは、国の確認を受けて再利用するか産業廃棄物として廃棄することになります。これが、全体の約5%と試算されています。産業廃棄物として処分されたものの中に本当に放射性物質が入っていないのか、そこも保証があるのでしょうか?いつも問題を先送りしている国の安易な計画や説明を聞いていると、「信頼」などという言葉はかすれてしまいます。