人生ブンダバー

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池上彰・佐藤優『真説 日本左翼史』再び

2021-09-17 05:00:00 | 読書

9月13日(月)の産経ニュースによれば
 八代氏は10日の同番組(「ひるおび!」)で野党共闘について取り上げた際、
 「共産党はまだ『暴力的な革命』っていうものを、党の要綱として廃止して
 ませんから」などと発言。
 これに対して、共産党の志位和夫委員長が「どんな場合でも平和的・合法的
 に社会変革の事業を進めるということが、日本共産党の一貫した立場です」
 「『番組としての謝罪と訂正』をきちんと行うことを求めます」などとツイ
 ートし、TBSに抗議していた。

 →こちら

また、14日の各紙報道によれば、
 共産党は8日の第3回中央委員会総会で、暴力的な革命を排除していないと
 の誤解を避けるため、過去使用していた「敵の出方論」(→こちら)と呼ば
 れる表現を今後は使わないと決めた。志位和夫委員長は「非平和的方針を取
 るかのような悪宣伝に使われる」と説明した。


 一方、加藤官房長官は14日の記者会見で、共産党の志位委員長が、党内で
 1950年代以降に使われた「敵の出方論」という表現を使用しない方針を表明
 したことに関し、「日本共産党の、いわゆる敵の出方論に立った暴力革命の
 方針に変更はないものと認識している」と従来の見解を繰り返した。
 (←令和2年2月13日、日本維新の会足立議員の質疑に対する安倍首相答弁)
 (参考:公安調査庁HP)→こちら



池上・佐藤『真説 日本左翼史』(講談社現代新書)より抜粋
 池上 ・・・・・・(日本)共産党は現在の体制に従いながら政治活動を行っては
 いるけれども、政権を奪取した暁には今ある体制を違うものにつくり替える
 ことを目指している。・・・・・・

 佐藤 その通りです。あの人たち自身も言っているとおり革命政党である、
 ということですね。体制そのものを覆そうとしている。

 もっとも日本共産党の場合は、それを実現するための方法論として二段階革
 命論を唱えています。つまり、日本という国は現状アメリカ帝国主義と大企
 業・財界などの独占資本主義に支配されており、まずはこれらを打倒するこ
 とで、日本の真の独立を勝ち取り、政治・経済・社会を民主的なものにつく
 り替える民主主義革命を行う必要がある。これを実現しておくことでようや
 く社会主義革命へ至ることができるのだ、という論です。(講座派の考え方
 ?)

 現在の彼らは日本がまだ民主主義革命の途上、つまり一段階目であるという
 理由で主張を抑えていますので、革命政党であるという本質は見えづらくな
 っています。・・・・・・(p35-36)

 (注)「現在」の共産党は、「民主主義革命と民主連合政府」(綱領四)を
  目指している。
  '70年代前半(私の学生時代)、NHKのTV討論などで、革新統一戦線によっ
  て、遅くない時期に民主連合政府を作る、と「宣伝」していた。

 佐藤 ・・・・・・共産党の前委員長である不破哲三が1968年に出した『現代政治
 と科学的社会主義』(新日本出版社)。これも古本市場でもなかなか手に入
 らない本ですが、ここで不破氏は平和革命論を「日和見主義」とこき下ろし
 ています。

  議会制度をはじめわが国のブルジョア民主主義の諸制度がすでに不動のも
  のとして「定着」し、これを破壊するいかなる反動的暴挙ももはやありえ
  ないという、独断的な仮定のもとに、「平和革命」の道を唯一のものとし
  て絶対化する「平和革命必然論」もまた、米日支配層の反動的な攻撃にた
  いする労働者階級と人民の警戒心を失わせる日和見主義的「楽観主義」の
  議論であり、解放闘争の方法を誤らせるものなのである。(244頁)

 問題は、共産党がこれを今もって撤回していないということです。撤回する
 代わりにあの人たちがしたことといえば、本を絶版や品切れにし、人目に触
 れないようにしただけです。こういうところに、暴力革命政党としての「し
 っぽ」が現れてしまっています。

 池上 たしかに、単に「なかったこと」で済ますには重大過ぎる内容です。
 現在の共産党が暴力革命路線を完全に放棄しているならば、これらは撤回
 すべき論文のはずですが。(p137-138)




マルクス エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
 今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である。(p40)

レーニン『国家と革命』(岩波文庫)
 ブルジョア国家がプロレタリア国家(プロレタリアートの独裁)と「死滅」の
 道を通じて交替することは不可能であり、それは、通常、暴力革命によっての
 み可能である。(p36)

小泉信三『共産主義批判の常識』(最新版は中公クラシックス)
 私は、マルクス、レエニン主義を批判するにあたって何よりも厳正の一事を心
 がけ、証拠なくして断定することは最も慎んだ。何分本書のごとき小冊子では
 つぶさに原文を引いて論ずることはできなかったが、マルクス、レエニンの学
 説主張は、いずれもその真意を正しく解して取り扱うことを期し、絶えて彼ら
 の不用意の失言に乗ずるということはしていないつもりである。(p4)

池上・佐藤『真説 日本左翼史』(講談社現代新書)

<参考>
Wikipedia「日本共産党」→こちら
現在の志位和夫委員長は2000年11月就任。


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