20歳前後に山本周五郎(新潮文庫)をよく読んだ。『さぶ』、『五瓣の椿(ごべん
のつばき)』、『樅の木は残った』等々時代小説である。その後、司馬遼太郎の歴
史小説に進んだので、時代小説からは遠ざかってしまった。
先日、昼休みに同僚と話していたら小説家の山本一力が門前仲町に住んでいるこ
とが分かった。山本一力はこの数年とくに書店で見かけるので、一度は読んでみた
いと思っていたら、門仲にお住まいの「楽しい倫敦」さんが『あかね空』(文春文
庫)を貸してくれた。直木賞作品、長編である。
時代は17世紀後半の江戸時代、田沼時代から寛政の改革にかけて、約30年間の話で
ある。主人公は上方(京都)から下ってきた豆腐屋さん、当時の庶民の人情話だ。
「深川蛤町の裏店(うらだな)が、宝暦十二年(1762)年八月の残暑に茹(う)だ
っていた。」に始まる情景描写がいい。
読みながら舞台化したらおもしろいだろうと思って調べたら、昨年映画化され、既
にDVDで発売・レンタルされていたので借りてきた。浜本正機監督、内野聖陽
(まさあき)、中谷美紀主演である。
映画紹介のHPによれば、
「しゃきっと腰のある江戸前木綿豆腐と、柔らかい上方豆腐。京で修行を積んだ永
吉と江戸っ子のおふみ。若い二人が出会い、深川の長屋に店を開く。初めは売れな
かった永吉の豆腐だが明るく気丈なおふみの努力で次第に客もついてくる。やがて
栄太郎、悟郎、おきみという3人の子供にも恵まれ、小さいながらも京やには幸せ
が満ちていた・・・。 」
とある。
文学座の内野聖陽はさすがうまい。映画では一人二役を演じている。特記すれば、
脇役の中村梅雀(平田屋)がにくいほどうまく、いい味を出している。
しかし、映画では脚色もあるが、ある種のシンプル化によって本の3割が捨てられ
てしまっている。行間もない。本では、文春文庫版p364~395のクライマックスに
息を呑む。
この分量であれば、12時間前後で読めるので、本を読むにしかずといえよう。仙台
のYさんにもおすすめである。(もうお読みになったかしら?)
それにしても、ここに書かれた江戸時代の庶民はどこに行ったのだろう。時代小説
の読者に受け継がれているのであろうか?どこかに日本人の血となって流れている
のであろうか?
のつばき)』、『樅の木は残った』等々時代小説である。その後、司馬遼太郎の歴
史小説に進んだので、時代小説からは遠ざかってしまった。
先日、昼休みに同僚と話していたら小説家の山本一力が門前仲町に住んでいるこ
とが分かった。山本一力はこの数年とくに書店で見かけるので、一度は読んでみた
いと思っていたら、門仲にお住まいの「楽しい倫敦」さんが『あかね空』(文春文
庫)を貸してくれた。直木賞作品、長編である。
時代は17世紀後半の江戸時代、田沼時代から寛政の改革にかけて、約30年間の話で
ある。主人公は上方(京都)から下ってきた豆腐屋さん、当時の庶民の人情話だ。
「深川蛤町の裏店(うらだな)が、宝暦十二年(1762)年八月の残暑に茹(う)だ
っていた。」に始まる情景描写がいい。
読みながら舞台化したらおもしろいだろうと思って調べたら、昨年映画化され、既
にDVDで発売・レンタルされていたので借りてきた。浜本正機監督、内野聖陽
(まさあき)、中谷美紀主演である。
映画紹介のHPによれば、
「しゃきっと腰のある江戸前木綿豆腐と、柔らかい上方豆腐。京で修行を積んだ永
吉と江戸っ子のおふみ。若い二人が出会い、深川の長屋に店を開く。初めは売れな
かった永吉の豆腐だが明るく気丈なおふみの努力で次第に客もついてくる。やがて
栄太郎、悟郎、おきみという3人の子供にも恵まれ、小さいながらも京やには幸せ
が満ちていた・・・。 」
とある。
文学座の内野聖陽はさすがうまい。映画では一人二役を演じている。特記すれば、
脇役の中村梅雀(平田屋)がにくいほどうまく、いい味を出している。
しかし、映画では脚色もあるが、ある種のシンプル化によって本の3割が捨てられ
てしまっている。行間もない。本では、文春文庫版p364~395のクライマックスに
息を呑む。
この分量であれば、12時間前後で読めるので、本を読むにしかずといえよう。仙台
のYさんにもおすすめである。(もうお読みになったかしら?)
それにしても、ここに書かれた江戸時代の庶民はどこに行ったのだろう。時代小説
の読者に受け継がれているのであろうか?どこかに日本人の血となって流れている
のであろうか?
これを映画化した映画監督浜本正機氏の対談を読んで
興味を惹かれ買った文庫本を出張に持っていったのでした(2007年3月)
何度か目の前がにじみました
いい話ですね
浜本監督は4回泣いたそうですが、僕も同じところで
泣きました
山本一力の時代小説はいいです
辰巳八景とか
江戸庶民の人情は今でも健在ですよ(大丈夫ですってば)
もうお読みだったんですね。期待に違わずよかったです。
最後の最後(文春文庫版p398)に「あかね色のひかりの帯が、」と出てきました。
「水のいのち」の終曲に出てくる「水のいのち」という言葉を連想しました。
山本一力、なにかしらもう一冊読んでみようかしらん。
山本一力、私の友人も結構読んでいました。彼の小説にはちょっとミステリー的な要素もありますね。
明日は、深川八幡祭りをレポートしますのでお楽しみに。(初めての深川八幡祭り、堪能いたしました。)