地球の宝さがし

~ 彷徨の回顧録 ~

タッシリ・ナジェール~アルジェリア

2020-09-07 14:51:06 | 旅行

タッシリ・ナジェールは、アルジェリア南東部に位置するサハラ砂漠にある台地状の山脈。

トゥアレグの言葉で「水の多い大地」を意味する。

約3500年前は、現在のような砂漠でなく湿潤な土地であったと言われている。

長さ約800kmに渡る大地に1万点以上の岩壁画が点在しているという。

1933年フランスのサハラ駱駝部隊のブルナン中尉が偶然に岩絵を発見。

岩絵の年代は7000年以上も前に遡るそうだ。

 

「狩猟民の時代」には、キリンなども描かれ、サハラに緑豊かな時代があったことの証し。

「ウシの時代」には、人々は牛を飼い、歌や踊りを楽しむ様子が描かれている。

その後、サハラの砂漠化が進み「馬の時代」「ラクダの時代」へと移っていく。

近年、イララム過激派の活動が活発となり、地中海沿岸の地域はともかく、

アルジェリアの内陸部・サハラ砂漠の国境沿いの地域は、暫くは立入ができない状況にあった。

訪ねたのは2018年。

まだ、安定した情勢とは言えない状況ではあったが、漸く観光客の受け入れを始めた所。

航空機をカタール・ドーハで乗りついで、アルジェリアの首都アルジェへ。

早速、旧市街「カスバ」の散策に出る。

随分と昔に「カスバの女」という歌が流行ったことを思い出す。

「ここは地の果てアルジェリア どうせカスバの夜に咲く・・・」

自分の人生に悲哀を感じて、どちらかというと投げやりな歌と記憶する。

地中海に面した斜面に沿って、互いの建物が寄りかかるように立ち並び、

道は迷路のように曲がりくねる。

ここに一度住み着いたら、一生ここから出られない妄想に襲われる。

翌朝、空路でタッシリ・ナジェールの近郊の町ジャネットに着く。

砂漠に囲まれた荒涼とした所。

砂漠から風に運ばれてきた黄土色の細かい砂が、一年中、舞っているかのよう。

車から降ろしたばかりのスーツケースの表面がザラザラとなった。

宿は、コテージ点在するタイプのホテルで、予想していたよりも整っていた。

次の日からはキャンプ生活なので、文化的な生活は暫くお預け。

お湯のシャワーに感謝して、ゆっくり浴びた。

4WDで砂漠地帯に入ると、軍隊のチェックポイントがあった。

かなり細かくチェックを受けている様子。

未だに治安状況は良くないのだろうか。

それから4日間は、砂と岩と壁画の世界。

砂の丘陵が変幻自在に出現し、

じっと眺めていると、不思議と何かに見えてくる奇岩の数々。

そして、その陰には、お約束のように壁画が描かれている。

ガイドですら、「確か、あの辺りにも…」

「犬も歩けば・・・とやら」との印象すら。

北アフリカの岩絵を初めて目にしたのは、高校時代の社会科の教科書だったと記憶する。

狩りをしている人々の姿が、決して上手とは思えない図柄で挿入されていた。

今となっては、地球環境の変化によって、じわじわと砂漠化が進み、

人間や動物の住んでいる地域が変化している現実を目の当たりにする。

牛が涙を流しているように見える有名な壁画は、自然の変化を嘆いているのだろうか。


ルブアルハーリー砂漠~オマーン

2020-09-07 11:22:48 | 旅行

ルブアルハーリー砂漠は、アラビア半島南部に位置し、

サウジアラビア、UAE、イエメン、オマーン4ヶ国に跨る砂漠。

砂漠の名前は、アラビア語で「空白の地域」を意味するという。

一般に、砂漠とは雨が極端に少なく砂や岩石の多い土地のことをさし、

砂漠の種類には、岩石砂漠、鬲砂漠、土砂漠などがあるが、

日本人がよくイメージする砂砂漠は、世界の砂漠の2割ほどに過ぎないそうだ。

オマーンは、アラビア半島の海洋王国で、アラビアンナイトゆかりの地。

乳香とナツメヤシが街中に溢れる。

乳香は、かつては金と同様に取引されていたそうで、スーク(市場)の至る所で売られている。

香りをたてる時に使う炭と香炉がセットにしたものもある。

モスクに行くと、必ず、その独自の香りを体験する。

始めは慣れないが、そのうち病みつきになるのは不思議である。

お土産として買って帰ったが、マンションなどで焚いたら、近隣からクレームが来そうだ。

ナツメヤシは、ティータイムには必ず登場する定番品。

ホテルのチェックインの時は勿論、シエスタ(お昼寝)の前後の微睡みの時間の格好のおやつ。

ナツメヤシの甘さは色々。

食べてみないと分からない。

アッサリしたものもあり、慣れてくると人によって志向が異なることが良く分かる。

スークでの買い物は、ひたすら食べまくることになる。

昼間の気温は、半端なく高温となるため、殆ど出かけられない。

しかし、一歩日陰に入ると信じられないほど涼しく、

誰ともなくシエスタに撃沈されること請け合い。

その代わりに、日が傾くと急に涼しくなる。

買い物や観光には、その時間は見逃せない。

オマーン旅行の楽しみは、何といっても砂漠のキャンプ。

何処までも続く砂丘の中で、ただただ、日没と日の出とシエスタの世界に没入する。

日常生活の蟠りや柵みから解放してくれる。

大きなものに見えていたものが、些細なことへと変化していく。

きっと、それを楽しめるようになる瞬間が訪れるはず。

オマーンの海岸線は、ウォーターリゾート地でもある。

ビーチでのバーベキューやシュノーケリングは勿論のこと、

入り江でのボート・トリップもなかなかで、ウミガメの産卵もお目に掛かれる。

ワディでのキャニオニングも子供の頃の気持ちが自ずと甦る。

 

オマーンは、都会の生活に疲れ果ててしまった時には、絶好の旅行先なのかも知れない。