ダナキル砂漠はエチオピア北東部とエリトリア南部に広がる砂漠。
50℃近くに達する気温と海抜マイナス100m以下に達する盆地にアファール人が居住する。
人類が住める最も暑い場所としてギネス記録に登録されているという。
過酷な環境の下に暮らしは、アサレ塩湖の岩塩により支えられている。
採掘した岩塩は、ラクダやアフリカノロバのキャラバンによって運ばれ、
高原地帯に暮らす人々に届く。
ダナキル砂漠の見どころは、ふたつの火山。
エルタアレとダロル火山。
エルタアレは、標高613mの活火山で、アファール族の言葉で「煙の山」。
世界的に数少ない恒常的な溶岩湖。
グツグツと煮えたぎる溶岩の異様な動きは、何時間見ていても飽きることはない。
2005年からは火山活動が継続状態となっており、噴火による被害も発生している。
近年は火口部分が盛り上がってしまい、以前のような至近距離での探索が出来なくなっていると聞く。
ダロル火山は、多孔質の噴石が積み重なって形成されるスコリア丘火山。
付近一帯にはいくつもの食塩泉や酸性泉が湧き、
間欠泉により形成された円錐形の塩の塊が一面に広がる。
ダロルは、アファール族の言葉で「溶解」「崩壊」を意味する。
緑色をした強酸性の池のほか、酸化鉄や硫黄、塩などにより構成され、
色鮮やかで荒涼とし、地球上とは思えない光景が広がる。
訪ねたのは2015年末。
海外旅行のツアー会社が競うように企画を立て、数多くツアー催行されているが、
どれも満席で、人気の海外旅行先になりつつある。
ただ、都市部のホテルを除き宿泊施設は脆弱で、キャンプ中心のツアー。
それでも、岩塩を背負ったラクダのキャラバンを始め、間近で見る液状化した溶岩、
筆舌に尽くしがたい荒涼とした景観は、まさに「百聞は一見に如かず」。
その年は、降水量が多かったため、アサレ塩湖の水位が高く、
4WDで走れるギリギリの所であった。
多量の塩分を含んだ水の中だけに、自分の車だったら、間違いなく断念した所。
地平線(水平線?!) まで続く、湖面の上を周りの景色の微妙な変化だけで、
方向を誤ることなく進んでいく彼らの本能に敬服するばかり。
塩のキャラバン隊を編成するために、未明の真っ暗闇の中、
丘陵地帯の谷間に集まってくるラクダの群れに驚嘆するばかり。
一般の人が、一生の間に見るラクダの数を遥かに超えた頭数にお目に掛かった。
真夜中に用を足すために、テントから這い出して、暗闇を進んでいった時に、
遭遇した白く光ったラクダの眼光は、今でも忘れることはできない。
キャンプには、冷蔵庫完備のキッチンカーが帯同し、
夕食時には、必ず、冷えたビールにありつけたのは、
砂漠の中の最高の贅沢を味わった。
ツアー会社の企画に感謝したい。