ウクライナでの戦争が始まって以来一年余り。
世界の動きを少しでも感じるべく、バルト三国を訪ねた。
この国々は、嘗てドイツやロシアに翻弄された歴史を背負っている。
その後、旧ソ連邦に属する期間を経て、多くの犠牲を払いつつも、1990年代初頭に、平和裏に独立を果たした。
この地域には、ロシア人も多く住んでおり、ロシア正教会も、街の中心地に居を構えてる。
リトアニアから、ラトビアに向かうと、国境の手前に、十字架の丘という聖地がある。
1831年のロシア帝国に対する蜂起の後、犠牲となった者の家族が、十字架を丘に建てたのが始まりという。
その後、この丘は、戦争での死者たちのために祈る場所となった。
1993年ヨハネ・パウロ2世がこの丘を訪れている。
訪問に際して、自宅の近傍にあるカトリック教会で、ロザリオを入手。
元来、キリスト教信者ではないものの、いわば平和の祈りを捧げるためのしるし。
今回の訪問の大切な目的にした。
バルト三国の主要都市の旧市街はどこも美しく、戦乱の歴史など感じさせない一方で、
数多の教会群が目を引き、どんな時でも祈ることしかすべを持たない庶民の声なき抵抗を感じせざるを得ない。
街の中では、随所にウクライナの国旗が掲揚されており、バスの行先表示板には、「♡UKURAINA」の文字が。
その一方で、トランジットで立ち寄ったイスタンブール/トルコでは、華やかなライトアップが施されており、
世の中の不合理さを象徴しているように感じられた。