アララト山はトルコ東端にある標高5,137mの山。
アルメニアとの国境から32km、イランとの国境から16km。
主峰の東南に標高3,896mの小アララト山がある。
「旧約聖書」にでてくるノアの箱舟が大洪水の後、流れ着いたとされる山とされる。
この山は、もともとはアルメニア人が多く居住してきた地域の中心であったが、
オスマン帝国がこの地域を支配するようになると、
アルメニア人は強制的に移住させられてしまったが、今でも、アルメニア民族のシンボルとされる。
私が、訪ねたのは2014年。
当時は、イラクとシリアにまたがる地域でイスラム国(Islamic State)の活動が活発な時期で、国境を接するトルコ東部地域の政情は極めて不安定だった。
その一方、南コーカサスの三国は、1991年ソビエト連邦の崩壊後に独立を果たし、それぞれの国づくりが進展。
この地域は、古代から数多の民族が交るシルクロードの中継地として、豊かな文化遺産が形成され、観光客が多く訪れる。
アララト山へのアプローチは、カスピ海側からが唯一の方法であった。
アゼルバイジャンは、火の国。
ゾロアスター教徒が多いことで有名。
バクー油田など豊富な天然資源があり、経済を支えている。
ペルシャ湾の油田が見つかるまでは世界の石油生産の過半数を占める世界一の油田であったという。
街には、炎をモチーフにしたタワーがシンポリックに建てられている。
ジョージアは、ワインの国。
ブドウの醸造文化は8000年以上の歴史があり、世界最古といわれるワイン生産地。
日本では2015年4月まで国名呼称にロシア語由来のグルジアを使用していたが、英語由来の名称に変更された。
栃ノ心関の出身地表記が変わったことで知った人も多い。
アルメニアは、キリスト教の国。
301年に世界で初めてキリスト教を国教化した。
風光明媚な自然の中に点在する教会群が訪れた人を不思議空間に迷い込ませる。
そして、アララト山の雄姿が、その世界に一層の深みを持たせてくれる。