たまやんの「大きい画像の貼れるブログに引っ越したい」

お久しぶりです。ネタバレあります。

「ハルナガニ」

2014-04-20 08:28:17 | 舞台・演劇
(2014年4月19日 シアタートラム マチネ 13時開演)

脚本:木皿泉
演出:内藤裕敬
原作:藤野千夜

出演:薬師丸ひろ子 細田善彦 菊池亜希子 菅原大吉/渡辺いっけい

生さんと久里子さんは、ごく平凡な夫婦。そして一人息子の亜土夢。
小さな家族と周囲の人々とで紡がれる日常。
どんな幸せな時も、哀しい時も、季節は巡るのです。





「ハルナガニ」とは、能で使われる「いずれ春永に」という別れの言葉。
タイトル通り、死者をめぐる話なのですが、初めは妻に先立たれた夫と息子の話かと思ったのですが…。

父には死んだ妻が見えないが、息子には見える。
母には死んだ夫が見えないが、息子には見える。

ひとつの舞台上で、こんな複雑な構造の芝居が展開されます。
前半は息子がお互いの存在に気付かせようと悪戦苦闘する様をドタバタで見せて笑いを誘う。
霊界へとつながる穴を突いたり、何かを送ろうとする様子がとても可笑しい。

二人の同僚が入ってきてから、芝居の構造が更に複雑化して、役者さんにはもう御苦労さましか言えません。
ここで加わる設定が、二人の同僚にもどちらかが見えているらしいというもの。
会社でのつながりが深い分見えてるという解釈をしました。

そう、亡くなった人をいつまでも覚えていられるかというのがこの舞台のテーマだと思います。
息子にとっては自分は父と母の愛の結晶だから、いつまでも忘れないが、夫と妻、お互いに死なれたらあの愛は消え去ってしまうのだろうか。
前半のドタバタは、今元気な時に夢想したこれからなのか、亡くなってから思いだす愛の日々なのか。

まあとにかく、夫婦を演じたお二人が素晴らしい。
1時間20分の短い舞台ですが、ちょっと演技を間違うと観る人の解釈が崩れてしまいそうなので、これが限界ではないでしょうか。

もとは、木皿さんが藤野さんの原作を映像化しようと思ったもので、これが無理、でも芝居なら面白いかもとやってみたものだそう。
舞台って不思議な事が出来るもので、複数の構造や時制を一つの空間で表現できたりするんですよね。


最新の画像もっと見る