カタスミ

『風の万里 黎明の空 上・下』小野不由美著

十二国記シリーズ4作目。
以下ネタバレあり。




















今回は王になった陽子と、才国の海客鈴、芳国公主祥瓊の
3人の女性を軸に話が進みます。
王になったものの、こちらの世界の事が何も分からない陽子は
部下の言いなりとなり、自分に嫌気が差し下界へ降りる事に。
海客鈴は言葉が分からない為言葉の分かる仙となったがこき使われ、
なんとかそれを脱して慶の新女王に会いに旅に出る。
祥瓊は父である暴君峯王が討たれると、里家に送られ貧しい生活を送る。
その後恭国に送られるが、公主時代が忘れられず、
同年代の景女王に目をつけ恭国を逃げ出し慶を目指す。
といった感じで3者が同じ場所に集う事になります。
全体的には壮大な水戸黄門って感じのストーリーですが
なかなか読み応えがありました。

上巻はまだ鈴も祥瓊も考えが幼く、割とダラダラと読んでいましたが
上巻の終わりに清秀が殺された辺りから手が止まらなくなり、
下巻はあっという間に読み終わりました。

やはり言葉が難しく、里の規模や仕組み、役人の位、
町の城壁やなんやかや、その辺はよく分からずですが
まぁ、分からないなりに読んでも面白いのでそこはすごいところ。
もう少し分かりやすくしてくれれば更に面白く読めたのかなぁ…
例えば臥牀と書いてしんだいと読んだり、門闕でもん、
広途でおおどおり…などなど…読めるか~い!!
毎回フリガナふって。ていうか世界感を醸し出す為なんだろうけど
門闕だったら門でいいじゃないかと。臥牀は寝台でいいじゃないかと。
そういう言葉の難しさは本当になんとかしてほしい…(;´Д`)

陽子が最初の頃とはあまりにも別人過ぎて
いろいろあったにしても変わりすぎでは無いかと…
あんなにおどおどしていたのに、もう立派な王ですね…
こちらの世界に来て見た目が変わったのと同様に
性格も元来のものを取り戻しているのかもしれませんね。

やはり景麒は言葉が足りなさすぎて、陽子に対していろいろひどい。
そもそも拉致してきて、あんた国王だから、ならなかったら人が死ぬから
と言って帰れなくし、王になったら王になったで
あんた王様なんだから自分で考えて、っていやぁないわぁ…
私は言いましたって顔してたけど、あんなもん言ってへんに等しいわ!!
しかも予王の面影を見て全然信用してない所もさぁ…
それでも怒らず自分を責める陽子はなんて器の広いお方…
まぁ、私ならぶち切れますねw王にはなれませんわぁ…

そもそも、予王の在位が6年でしたっけ?
その頃には陽子はすでに誕生している訳で。
この時景国王になるべく人が2人いるのに
なぜ先に予王が選ばれたのでしょうね?
陽子はまだ幼く国王には向かない…という事なのでしょうが
もしかして予王って陽子が王位に就くまでの繋ぎだったんじゃ…?
なんて思ったりもします。

今も権力を振りかざし、民を犠牲にしながら
地方を治める役人どもをやっつける為
地方の民達が革命軍みたいなの作って暗躍するのですが、
その中に鈴や祥瓊も加わり、陽子も加わり、面白くなってきました。
水戸黄門やないか…助さん格さんやっておしまいなさい!
と思いながら読んでおりましたw
陽子が加わった地点で勝ち確!
禁軍がやってきた時の陽子の王様っぷりにはしびれましたね。
鈴や祥瓊に景国王であるのをばらしたのは割とあっけなくて予想外でした。
鈴や祥瓊も随分と成長し、同年代同志で仲良くなれたのは良かった。
しかし、祥瓊は一応恭国から逃げ出した犯罪者ですから、
今後また景に来ることはできるんでしょうかね?

でもって今回も楽俊が良い仕事してくれました。
祥瓊と出会って旅をする最中には
いいか祥瓊、楽俊は陽子のだから、惚れるなよ?
などと思いながら読んでしまいましたww
しかし楽俊が調べていた柳国の話は今回ふわっとで終わったので
また別の話で出てくるのでしょうかね?

なんとか陽子にとって動かしやすい国第一歩を踏み出せて良かった。
いかに佞臣、奸臣を退ける事が大事かって事ですね。
みんなが善人だといいのにね。
桂桂や夕暉など、若い世代を教育して次の世代に繋げて欲しいと思います。

星は4つです。

コメント一覧

あつむ
コメントありがとうございます!

自分も割とこだわりが強い方なので、いろいろと
私生活でも問題が生じておりますが、
もう仕方ないじゃん、無理なもんは無理!と
開き直ることで大分楽になりました。
だいたいのお話のベースって数パターンで
そこにいかに肉付けするかってのが重要なのかなぁ…
と最近思うようになりました。

若い頃に読んでらっしゃるRM307先生と
年食って読んでる私とでは感想に違いが出るのは仕方ない事。
私が若い頃に読んでいたら難しくて理解出来なかった…^^;
初見の人の感想って喜ばれるんですねw知らなかったですw

元々これって子少女向け小説なのですよね…?
こんなん少女が読んで分かるんかい…と思ってたので
ルビが打ってあると聞いて納得ですw

確かに他の作品ではボロカスに書いてるのもあるので(笑)
十二国記は私にしては十分肯定的な方だと思います。
でも手心…というよりは、やっぱり面白い作品なので
自然と良い感想の方が多くなりますね。

RM307先生のお住まいは地震の方は大丈夫ですか?
昨日は神奈川の方も揺れていたみたいですし…
大きな地震があちこちで多発しているので
普段からの備えが重要ですね。
他にも大雨などの災害も多発しておりますので
RM307先生もお気をつけ下さいませ。
RM307
今回も丁寧なお返事をありがとうございます!!!

僕も近年はこだわりや「~すべき」を取り払えるように、曖昧さや一貫性の無さも許せるように開き直りたい、もっと生きやすくなりたいと意識しておりますw
たしかに前作今作と時代劇を下地に作られているかもしれませんね!
僕が書くときっとただのテンプレにしかならないので、ここまで面白い物語を生み出せるプロの力たるや・・・!と感嘆します!

あほだとは思わず笑、僕は再読したり大人になったりしてようやく気づいた関連性に、あつむ先生は初見で触れたり疑問を抱いたりなさりすごい!やっぱり魅力的な漫画を描かれるから着眼点や感性も素晴らしいのだな~!と驚いておりました!
よく先の展開を知っているファンが初見の方の感想を喜ばれますが、あつむ先生のご感想もほくほくできる内容です!w

それと新装版の新潮文庫では「華胥~」が先に刊行されたのですね!出版社の方でも並び替えていたとは!
なお僕は最初に発刊された講談社文庫ホワイトハート版で読んだのですが、たしか難しい漢字には最後までルビが振られていたから苦労しなかったのかもしれませんwすみませんー!
出版社により方針が異なるのかもしれませんが、ただ新潮文庫では加筆修正されページ数も挿絵も増えているので一長一短ですね・・・!

毎回拙ブログにも目を通していただきありがとうございました!!!こちらもたいへん嬉しいです!!!
いえいえあまり辛口には感じず、他作品と比べ手心を加えていただいていると感じていましたwお気を遣わせてしまいすみません!!!
お恥ずかしながら影響を受けまくり笑、思い入れも強い所為で僕の方こそ注文が多く申し訳ございません!!!
ですが良い作品、楽しんでいるとのお言葉が本当にありがたかったです!!!
これからも良い時間を過ごせましたら幸いです!

あと昨日南海トラフ地震の可能性が高まったと報じられ、あつむ先生のご無事もココロからお祈りしております。
地震に限りませんが、なにとぞご自身を一番に優先し守られてくださいませ・・・!
そしていつまでも作品やイラストやブログを拝見したり、コメントで交流できたりしたいと願っております・・・!
あつむ
コメントありがとうございます!

小説から良い方向に影響を受けられたのですね!
RM307先生も秀でた所はたくさんあると思いますが
自分への目が厳しくなってるのでしょうね。
でもその方が自己反省や向上に向かえるので良い気もします。
自分は「もうどうでもいいや」と開き直っているので
多分成長は見込めません^^;

慶の荒れっぷりを表現する為に必要だったとは言え
清秀や蘭玉の死は悲しかったですね。
陽子は水戸黄門、尚隆は遠山の金さん…
時代劇って割と物語の基本なのかもしれません。
それをあれだけ壮大にしたものすごいなぁと思います。

世界観を出す為のあえてのワードチョイスだとは
分かっているものの、読む度に読み方を忘れるので
(あほなんです)、「あれ?これなんて読むんだっけ…?」
と毎度ページを戻ることになるのが結構ストレスで…^^;
意味は分かるので、最終的には読み方忘れたけど
こういう意味でしょ!って感じで読み進めました。
文章読むのにもテンポを気にするもので…
毎回フリガナを振ってくれれば解決な気もしますw

書店で発売されている順序が華胥が7、黄昏が8となって
いましたので、その順序で読む予定です。
最近は王になる素質がある人は何人かいるのかな…?
という風には思っています。後は運なのかな?
なかなか立派な王様になれる人がいなくて難しいですね。

ブログの方も読ませて頂きました!
すごく好きなんだなぁ…と言う事が
ひしひしと伝わってきます。
大切な作品に時々辛口感想してしまうのが申し訳無い^^;
その辺は広いお心でお許し頂きたい…
良い作品を紹介して頂いたので最近は読書を楽しんでいます。
ありがとうございました~!
RM307
今回もお読みいただけて嬉しいです!!!ありがとうございます!!!

最初は僕も前半の鈴と祥瓊の甘え、陽子と景麒の苦しみがしんどかったですw
けれど清秀や楽俊の考えが素晴らしく、以前ブログの感想でも書きましたが昔ものすごく影響を受けました。
https://rm307.blog.jp/archives/80869876.html
特技も長所も無く、容姿も悪く家庭も貧しく、学校も恐ろしく人生もつらく、よく自分には何も無く恵まれていないと泣いていたのですが、清秀のセリフで反省して以降は自己憐憫をやめましたw
現在もどうして自分ばかり・・・と考えてしまいそうな時は、自然と彼の言葉が蘇り律していますw

そして三年前に再読した際は、同じく下巻をあっという間に読み終わりました!
https://rm307.blog.jp/archives/81037765.html
禁軍に相対する陽子はカッコ良かったですね!なお僕も初見では水戸黄門を連想しましたw
また祥瓊が楽俊と親しくなりすぎませんようにと願った部分もいっしょで、とても嬉しかったですwww当初は殺されないだろうかとも心配でしたがw
それと記事にも書きましたが、アニメでは「――斬れる」にもめちゃくちゃしびれましたw
ただ清秀の死と鈴の絶望、蘭玉や桂桂の悲鳴などではかなり胸が痛みましたが・・・!

「月の影~」でも描写されたように言葉は冗祐が翻訳した後なので、日本語的な門や寝台は使えないかもしれません・・・w
難しい漢字を当てはめただけでも煙に巻きたい訳でも無く、世界観を考証した意図が感じられ、個人的にはわかりやすさだけが表現では無いと考えています。
芸術や演技も、一見して理解されないといけない訳ではありませんしね!

あと王候補が同時に存在する疑問や柳についてなど、今回もさすがの目の付け所だと喜びましたw
出版された順は「黄昏の岸 曉の天」の方が早いのですが、時系列順だと短編集の「華胥の幽夢」を先に読まれた方がよりわかりやすく楽しめるかもしれません!もちろんあつむ先生におまかせしますが!
なお予王も塙王も前泰王も、ちゃんと名君たる資質を備えてはおりました。それでも治世はままならず、天の配剤も判然とせず難しいですね・・・。

今作もお楽しみいただけて良かったです!!!ありがとうございました!!!読み進めていただけて毎回非常に喜んでおります!!!
さらに図々しく紹介した感想ブログとこの長文コメントにもいつも目を通していただき、重ね重ね感謝いたします!!!かつ毎回うるさくてすみません!!!w
用語や設定が難しく読みづらい部分も多くお疲れになるかと思いますので、これからもなにとぞご無理をなさらず~!
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