ねこかすの みちばた自然録

更新再開しました!昆虫・野鳥や鉄道の写真、畑の様子など、色んな趣味を投稿します🍀

秋の気配に追いつこう

2022-08-29 | 散策記

 

季節を知る文化が廃れた現代日本では、こんなに暑いのにもう秋なのかと思う人が大半であろう。 

これを書いている8月29日時点では二十四節季では処暑という時期に当たり、立秋などとっくに過ぎた秋の2段階目であるが、平地では寒暖差が激しい暑い天気が続きそうある。こんな不安定な天候だからこそ、小さなことから季節を感じることが大切だ。

そして、季節を知るために高原の蕎麦の花をわざわざ見に行かなくても、田んぼの畔に咲くミゾソバの花に目を配れば、僕たちが秋に置き去りにされていることに気付けるだろう…。

 

こんなことを考えつつ、数日前に発見したマヤランを改めて見るために、雑木林へと出かけた。

生活の全てを菌類に依存している奇妙な植物である。

その後は蚊の猛襲に遭いながら樹液を確認すると、カブトムシのメスとクロカナブンという、

いつもの連中が食事中だった。

 

 

 

 

蚊の巣窟を後にし、外来種とツル性植物が繁茂する伐採地帯へと向かった。

砂利道沿いは夏の花殻が辺りに散らばり、草本を注視すればすっかりカメムシの季節になっていて、

カメムシやヨコバイたちが一生懸命に草の汁を吸っていた。

 

ブチヒゲカメムシ

 

オオヨコバイ

 

マダラスズ

 

ヒナバッタ

 

ヘクソカズラ

 

ハラビロカマキリ

 

カスミカメの仲間

 

ワルナスビ

 

ツツジグンバイ

 

センニンソウ

 

ヒナバッタ

 

ツユムシ

 

近所ですらかなり減ったクルマバッタモドキを久々に確認。

産卵に適した砂利地帯が限られていることが要因だろう。

 

ヤマトアオドウガネ

 

イボバッタ

 

ヒシバッタの仲間

 

ミズヒキ

 

トキリマメ

 

チャバネセセリ

 

ヤマトシジミ

 

タケニグサ(種)

 

 

ジガバチの一種とツルボ

 

 


仮称 サワガニの里 日暮れ前の虫たち

2022-08-22 | 散策記

※暗い時間帯に撮影したため、少し暗めの写真になっています。

 

日が短くなり、自然の様相が変わり始める夏の終わりごろ。

太陽は木々に隠れ、薄暗くなったのを境にスズとヒバリたちの鳴き声がこだまする。

そんな頃に、虫たちは寝支度に入る。

 

昼間の散策は暑くて敵わないけれど、日暮れ前の林ならば、人間も虫たちも穏やかに過ごせる。

足元に茂るイネ科を覗けば、翅を休めるキアゲハとクロコノマチョウや、草にしがみつくバッタたち、ススキを好むヨコバイやカメムシが

寝入り前の姿を見せてくれる。

多くの虫たちが静まる一方で、ルリテテハだけは元気にテリトリーを張っていた。

そんなルリタテハが居る真下でオオカマキリが休んでいたが、何事もなく飛び去って安心した。

このことは彼には秘密にしておかないと、この縄張りにはもう帰ってこられないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


念願!幻の蛾、スカシサン

2022-08-13 | 散策記

 

2021年6月28日、神奈川県のとある森を散策していた僕は、不思議な形の幼虫を見つけた。

不思議な色に、ねじれた様な模様、隆起した体、そして尾角。

とても特徴的な見た目だったので、きっと珍しいだろうと調べたところ、とても珍しい虫に辿り着いた。

それが、スカシサンとの出会いである。

 

この虫が何故珍しいか説明していくと、この虫はサワフタギという草のみを食べて育つが、この草はさほど珍しくない。

生息環境は、高い木の下に生える半日陰の涼しい場所の食草を好む。後に説明するが、産卵数が少なく、産卵の習性も極端である可能性が高い。そのため、この蛾の個体数はとても少なく、見つけることは非常に困難である。

また、標高が低い平地には生息していないと思われる。

簡単に言えば、発達した現代のネットで調べても、わずか370件程度しかヒットしないほど希少な蛾なのだ。

 

まずは幼虫から見ていこう。姿はもちろん、行動から見ても森の隠者といった感じで、

撮影しているとゆっくり後ろに下がっていき、そのままの姿勢で固まってしまった。

かなり臆病そうな虫だったので、数枚撮ってゆっくりその場を離れた。

 

幼虫を見てから、僕は成虫を見たさにサワフタギを探すようになった。

食草はサワフタキの仲間のみを食べるが、サワフタギ自体はさほど珍しくないので、やはり生育環境が重要だと考えられる。

また、自分の生まれた木に近い地域には帰らず、離れた場所に産卵すると言われている。(諸説あり)

 

他者と競合しない食草を選び、人知れず森の中で暮らす、どこか古代生物のような雰囲気に魅力を感じていのだ。

 

この珍虫との次の出会いは以外にも早かった。

1年後の2022年8月1日、山梨県内の標高1600m付近の道路脇で、僕はいつも通り虫探しをしながらも、

道沿いに生えるサワフタギをチェックしていた時、サワフタギの葉上に蛾を見つけた。

それはキマダラツマキリエダシャクという、遠目で見るとスカシサンにも見えてしまいそうな蛾で、

見つけた瞬間は一喜一憂であった。そこから100m程歩いた道路脇で、クワコに似た蛾を見つけた。

その瞬間、僕は直感的にその蛾が何者か分かった。これこそが、この虫こそがスカシサンであると。

 

太い胴体、細やかで深い毛、ゆるやかな曲線の翅、緻密な斑紋と線、そして透かし窓と、何者とも似つかないこの姿に、

僕は地球の歴史と神秘を感じたのだ。他の虫や鳥たちからは、この柄はいったいどんな風に見えているのだろうか…

 

珍しいからこそあまり調査もされていない未解明な虫だけれど、僕はそのままそっとしておいてほしいと思う。

僕とて血眼になって探していたわけではなく、いつかの出会いを期待していたに過ぎないし、

次に会う時も、また運命的な出会いをしたいと思っている。

調査のために住処に分け入られることもない、人間に採集目的で狙われることもない、

人の魔の手が届かない、大いなる自然の中で自由に暮らしていてほしいと願う。

 

しばらく眺めていると、風に吹かれているうちにの体の向きがどんどん右に曲がっていった。

本人は何も考えていないだろうが、そんな姿も愛おしくて、僕はずっと眺めていた。

こんな風に時を忘れた体験を、僕はずっと大切にしたい。