犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

ふたたびの。

2015年11月20日 | おせわがかり日誌


その晩わたしは寝たかった。

もともとその日、睡眠時間は少ないと知っていた。

それでもいい。短く太く寝たかった。

具合はだいぶ楽になってきているのだが、

突然発作のように止まらなくなる厄介な咳が残っていて、

からだがとっても疲れていたのだ。(いまもにゃう)



仕事から戻り、雨の合間をみはからって散歩、入浴、食事、あっというまにウシミッツ時。

でもあれだ。運動→入浴→食事と、体温が上がることばかりやったものだから、布団に入れば案の定、咳が止まらない。

咳をするたびに茶色いくまのこが、ゲージから出て、周遊を始める。こんちゃんのつめ音が響き渡る。

記憶にあたらしい生八ツ橋事件もあって、その晩は、脱衣所の扉を閉めたけれど、

度重なる咳に、またぶるぶる震えて放浪、どうやらゲージに戻らないようだ。

また冷たい場所に寝てるんじゃないだろか。

心配になり、起きだして探しに行く。

玄関、廊下、台所、リビング、・・・いない。

あれ?どした?どこにいるの?

振り返ったら和室のすみっこでこげ茶ベーグルになってた。



ああごめんこんちゃん。

ベーグルのまま抱っこするとすこし体が冷えている。

脱衣所の時ほどではないけども。

明日(つーか今日)は大事な日なんだよ。

また検査するんだからね。

敷物にほかほかカイロを張り付けたゲージに入れて、スライド式の扉を閉めた。

「あーなにするのじゃー(じたばた)」

クレームが出たけれどももう4時だ。

疲れてるから寝るだろう。

そう踏んで私もそのままベットに倒れこんだ。

でも。

体があたたまってくるとまた容赦なく咳が出る。

こんちゃん怖がるだろうけどもう寝なさい寝てくれ頼む。

明日は早起きしないと・・・咳はますますエスカレート。

ゲージの中で困ったこんちゃんがぐるぐる回る足音が聞こえる。

・・・あ・・・これは・・・マズイ・・・

頭ではわかっていたけれど、からだが動かなかった。

そのすぐあとである。



『じゃっじゃっじゃっじゃ』



あの音が聞こえてきた。

こんちゃんの重要なコミュニケーションツール「抗議ション」である。

無意識に飛び起き、ごめんごめん、と言いながら、濡れた敷物を取り上げ、

その下に敷いたペットシーツも取り上げ、こんちゃんトイレ(使ったことない)にとりあえず移動、

被害の及ばなかったところは残し、なんで家にあるのか不思議なんだが、こういうときのために、と、

つい一日前に洗って置いた、キン○キッズのやたらでっかい紅白タオル(ライブのとき使うの?)を敷いて、間にカイロをしのばせた。

ごめんね、ほんとにごめんね、おかあさんが悪かった。さ、ねなさい。

こんちゃんはションで濡れたものを気にしていて、舐めようとするので、阻止。

「ごめんなさいなのじゃ、失敗じゃないんじゃ、咳が怖かったんじゃもの」

というような、お詫びの気持ちが織り込まれた態度をとるもんだから、

「いいのいいのいいの。気にしないで洗うから。むしろ舐めちゃだめなんだ舐めちゃ」

と押し問答を繰り返し、濡れたそれらをさっと水洗い処理してまた洗濯機へ。

起きるころに仕上がるように予約をした。





戻ってくると、ゲージの入り口付近を気にして舐めているので確認すると、あ、濡れてる。

多分、濡れたものを移動するとき、ぼんやりしてたから、こぼしちゃったんじゃな。

こんの気にしている部分にペットシーツを捺しつけて、抗議ションを吸い上げ、あと始末した。

冬寒くなるからこんちゃんの歩くところにと買ってきて敷いたばかりの新しいマットだったんだが、いいのいいの、別にかまわない。

むしろこんちゃんのによいがついて、「ここはこんちゃんのお部屋なんじゃよ」としめしがついていいじゃないの、ね。

いいから寝なさい。こんちゃんは寝ないとだめなの。明日があるから。



そういいながら、この部屋で私が寝たら、こんちゃんがまた困るだろうからと、部屋を移動。

枕が変わっても平気なタイプであるはずなのに、自宅だと自分の寝所じゃないとだめな私は、もう寝れなくたっていい、と開き直り、和室に寝転がった。

一緒にベッドに寝ていた(だからあったまっちゃったていうのもあるが)オレコが飛んでついてくる。

体があったまらないように半袖短パンで寝てるのに、だめだなあ。いつまでも咳が出るなあ。気管支が弱いから仕方ないのかなあ。

これ風邪が治っても居座るタイプだなあ、困るなあ。なんて考えていたら洗濯機が動きだし、外が白んでくる様子がカーテン越しにわかった。



こんちゃんは短い時間であったが、安心して寝てくれていたようで、朝になり見に行くと、

こちらにせなかを向けて、いつものように、枕にからだを預けて、ぐっすりよく眠っていた。

さあ、病院へ、というところだが、またもや長くなったので、あしたに続く。



それにしても『抗議ション』は、

こんちゃんの「ことば」や「きもち」そのままなんだなあ。

今のところは。

もっとトシをとったら、マナーベルトずっとしているかもしれないけど。

そのときは今の女の子用ではなくて、男の子用を買ってあげよう。