歐亞茶房(ユーラシアのチャイハナ) <ЕВРАЗИЙСКАЯ ЧАЙХАНА> 

「チャイハナ」=中央ユーラシアの町や村の情報交換の場でもある茶店。それらの地域を含む旧ソ連圏各地の掲示板を翻訳。

“ピーター=フランクルになりそびれた男”の母国での評判(3)

2010-01-08 00:58:19 | トルコ関係

(2)からの続き


それと、気になるのがセルカン氏がNHKで製作に関わり、視聴率記録を塗り変えたTV番組という奴なのですが、視聴率37というのは確かに物凄い記録ですよ。

どれぐらい凄いかというと、例えば、2008年度のNHK紅白歌合戦(2008年12月31日)が42.1%、昨年の3月、WBCの第1ラウンドで、日本代表が韓国をコールドで破った試合は37.8%でした。

ちなみに、日本のTV史上で最高の視聴率は1963年の12月31日に放映された第14回NHK紅白歌合戦(81.4%)ですが、セルカン氏の指す記録というのはそういうことではないでしょう。“教育番組”の枠内での記録かと思われます。

何しろ、紅白に匹敵する視聴率を稼ぎ出したお化け番組です。ネット上に何らかの記録が残っていないわけがない。ということで検索したら、

セルカン氏のブログのこんな↓記事が出てきました。

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 2007年3月8日

えいごでしゃべらないと Jr.
http://blog.anilir.net/?day=20070308

今度、「えいごでしゃべらないとJr.」に出演します。NHK教育の人気番組「えいごでしゃべらないと」を見たことがある人はたくさんいますよね。その ジュニア版が4月からスタートするのですが、第一回目の先生に僕が選ばれたのです!光栄なお話しです。新宿の小学校へお邪魔し、宇宙の話しやインフラがな い環境での暮らし「Infra-Free Kids]を創造し、コミュニケーションをしました。

特に番組の最後に注目! 放送は、4月2日(月)午後19時から15分間。何度も再放送もあるそうです。是非、ご覧ください!

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この番組なのか?いや、2007年3月で一回目ということは、上記の記事が新聞に出てから3ヶ月以上後の話です。時期的に合わないし、文面から判断するに、セルカン氏は作り手の一人ではなく、単なる出演者として関わっているらしい。これじゃないでしょう。

トルコ語の新聞記事には、この“番組”について多少触れたものがありました。2007年11月18日付けのミリエット(milliyet)紙の記事です。

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 「ヘディエ女史、日本の子供たちに宇宙エレベーターについて説明」
ミリエット紙 2007年11月18日
原文:Hediye Hanım Japon çocuklarına uzay asansörünü anlatıyor

http://www.hurriyet.com.tr/pazar/7708843.asp?top=1


※日本未来科学館が製作したアニメ「宇宙エレベーター」の主要な登場人物の一人。セルカン氏はこれに“監修者の一人”として参加しているが、トルコのメディアに対しては話を膨らませて“自分が監督した”と話していた。これについては後述。なお、このヘディエ女史というキャラはトルコ人の女性科学者という設定で、その容貌は今は亡きセルカン氏の祖母がモデルらしい。

(前略)

<“早熟な小さきものたち”という番組>

セルダール(←ママ)=アヌルルは、子供たちと良い関係を築くのに成功している。彼は東京のJ-Wave(Japan Wave)というラジオ局でBlue Planet(蒼い惑星)というラジオ番組をやっていた際に、日本の国営テレビ局であるNHKから依頼を受け、子供向けの番組を作り始めたのだ。バルシュ=マンチョの“7から77へ”という名の番組に閃きを得た、その番組の名をトルコ語に訳するとしたら、“早熟な小さきものたち”に近いと彼は言う。

バルシュ=マンチョ(1943~1999):トルコの人気歌手。十何年前に日本の某宗教団体の後援により日本でコンサートを開いたことがあるのだが、そのために彼が日本でも人気があるものと勘違いしているトルコ人は、今でも結構多かったりする。
  ↓cf.
http://plaza.rakuten.co.jp/elmachai/diary/200509020000/

そして、応接間に飾ってある日本の品の数々を見せてくれました。

信楽焼きか、なにか、とっても高そうなお皿なんかもたくさん飾ってました。有田焼かな?よくわかりません。

ある方々からのプレゼントだそうです。

よくよく聞いて見ると、池田大作先生だとか!!

そう、彼は創価学会の信者だったのです。
仏壇がどーんとあるわけではなかったですが・・・。

創価学会の催しで呼ばれて、コンサートもしたことがあるんだそうです。

このアニメ映画(セルカン氏が監修者の一人として関与し、日本未来科学館が製作したもの)を、観客たちとともに何度となく鑑賞したというセルダール(←ママ)=アヌルルは、会場で彼らと話をしている。

“日本の子供たちはちょっと内気ですね。学校の教育が厳しいものだから、人見知りになっているのです。映画の最後では私の顔も出てきて、とても短い話をするんですけどね。彼らは、<この人の日本語うまいじゃない!>と言って、勇気を出して話しかけてきますよ。特に、小さな女の子たちは<どうして髪を後ろになでつけてるの?>とか<どうして髭を生やしてるの?>みたいなことを尋ねてきます。“

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セルカン氏が参考にしたバルシュ=マンチョの“7から77へ”という番組は、トルコ語版wikiによれば,TRT(トルコの国営放送)で1988年から長きに渡って放映された子供番組らしい。

その番組では子供が大人を演じるようなコーナーがあったようで、セルカン氏プロデュースの“早熟な小さきものたち”もどうやらそれっぽいのですが、結局、ネット上ではその存在を確認することはできませんでした。

まあ、NASAでの宇宙飛行士訓練歴からスイスでの架空の学生生活まで何でも捏造してきた人物ですから、ちょっとくらい自己プロデュースの子供番組について騙っていたとしても、なんら驚くべきことではないかもしれない。

ただ少し気になるのは、それが完全に0からの捏造なのか、それとも捏造のきっかけになるような何かがNHKとの間であったかということです。

→(4)に続く