今回ほど、タイトルのリ・オウの台詞をどれにするか、迷ったことはない! 当たり障りのないものを選びました。
***
2006年7月23日(日)の『わが手に拳銃を』は、再会 のp251から 罠 のp300まで読了。
日曜日は休読日なのですが、この日は「坂田藤十郎襲名記念公演」を見に出かけたので、電車内や休憩時間に読んだのでした。
カズぼんの身辺が慌ただしくなり、状況もぐるんぐるんと変化していきます。・・・としか、書きようがない(苦笑)
ああ、原口組長・・・。『わが手に拳銃を』では、どうしてこんなに影が薄いんだ!
カズぼんの息子が愛読している絵本は、高村さんも愛読していた絵本でもあります。作者が分からないので、探しようがありません。残念。
【主な登場人物】
吉田一彰 笹倉文治 リ・オウ 田丸浩一 守山咲子 橘敦子 橘助手 原口達郎・・・前回から引き続き登場。
吉田裕一・・・カズぼんと咲子さんの子供。『李歐』では、「耕太」と名前が違っていました。その理由(の推測)は、(めんどくさいので)省略(←こらこら)
【今回の漢詩】
一度登場したものは取り上げないことにしているので、今回はなし。
【今回登場した拳銃】
TA90 ブローニング(FN・HPDAスタンダード) スターム・ルガーのセキュリテイ・シックス
【今回の名文・名台詞・名場面】
中国語の台詞は、( )でくくっています。ご了承を。
★「あんた、どこの何者だ……?」
「この国で、一番Rに会いたかった男さ。さあ、行け。失せろ!」 (p257)
原口組長に頼んで手に入れた《自由公民評議会》の名簿を、ある男に渡した時の、カズぼんの叫び。それはRに直接言ってやってよね、カズぼん! (Rが誰なのかは言わずもがな)
★「(前略) 中国という国は、人ひとりの人生を食いつぶしても足りない竜宮城です。行ったら毎日が楽しくて、見ても見ても足りなくて、気がついたら百年経ってたってことになりますよ。 (後略)」 (p259)
中国へ行くと言う妻・橘敦子を止めるように、夫の橘先生を説得するカズぼんの台詞。
★男二人を選んだのは敦子であり、選ばれた男二人の立場は同等なのだ。 (p259)
これは女には出来ない発想の転換ではなかろうか。世に言う「三角関係」の、特に「男一人に女二人」の場合、女二人は「立場は同等」とは、考えにくいと思う。「どちらが上か」という、対抗意識の方が勝るんではないかなあ。
★広縁の向こうの前栽に満開の桜。血管を回る酔いに、今は微かな苦味がある。俺はここで何をしてる。何を待ってる、と心の中で呟きながら、一彰は目の端で、前栽に散る花を数えていた。 (p261)
原口組長の十八番の長唄に合わせて、舞うカズぼん。
★「原口達郎は、俺と兄弟の契りを交わした人だった。原口を殺した男は、俺の兄を殺した男だ。そういう男の話に貸す耳はない」 (p285)
「李章陽」と名を変えたリ・オウに向かって、カズぼんの吐いた怒りの台詞。
★「原口は、誰が惚れても無理はない立派な男だった。(あんたも彼に惚れたんだ。俺には分かってる。俺の約束を破ったのはあんただ。)」
そう言って、リ・オウはサングラスを外した。五年ぶりに見る清冽な目に、今は苛烈な激情の色があった。ほとんど噛みつくようなその目は、この場のビジネスとは無縁の、きわめて個人的な内面の呟きを洩らしていた。それが見つめているのは、ほかの誰でもない、一彰ただ一人だった。何が言いたいのか半分は分かるが、半分は分からなかった。
「(俺は、もとからあんたと約束するようなことは何もなかった)……」
「(あんたが忘れても、俺は忘れない)」 (p285~286)
しかし怒ってるのは、実はリ・オウの方だった! ということが判明。
★夜目にも色白い顔は、昼間見たとき以上に若く清々しかった。そしてその目は、五年前には奥深く潜っていたあの火を再び燦然と噴き出して、はるか昔、ともに二十歳そこそこだったころそのままの、熱と輝きと、傲慢な自信と希望と若さのすべてがそこに蘇っていた。 (p294)
「李章陽」としてではなく、「リ・オウ」として姿を現したリ・オウの描写。何だか好き。
★「原口のこと、恨んでるのか」と、リ・オウは穏やかに口を開いた。
「ああ」
「俺もだ。五年前、いつかあんたを潰すことになると言っておいたのに、原口と手を切らなかったあんたを恨む。俺より原口の懐を選んだあんたを恨む。恨んでもあんただけはやっつけられない。それが一番悔しいよ」 (p294)
リ・オウのやるせない気持ちがひしひしと伝わる台詞ですね。だけどそれを聞かされたカズぼんは、余計にたまらない気持ちにると思うよ、リ・オウ。
★「俺は原口のことであんたに恨まれる覚えはない」
「これが人間の心の不思議なところよ。俺は、あんたと仕事をやりたいんだ。あんたが原口の懐にいる限り、それが出来ないから原口には消えてもらった」 (p294)
「それって逆恨み? それとも嫉妬?」 とリ・オウに尋ねたら、私の方がどこかの国に叩き売られそうだ(苦笑)
★「あんた、人殺しだ」
「殺しもするが、命も賭ける」 (p294)
リ・オウ、カッコええ~!
しかし上記のカズぼんとリ・オウの会話で、私が虚しさを感じるのは、原口組長の死です。原口組長に「相手が悪すぎた」と、慰めの言葉をかけてもしようがないけど・・・。あああ、お気の毒な原口組長。
あと一回で、終わらせます。
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2006年7月23日(日)の『わが手に拳銃を』は、再会 のp251から 罠 のp300まで読了。
日曜日は休読日なのですが、この日は「坂田藤十郎襲名記念公演」を見に出かけたので、電車内や休憩時間に読んだのでした。
カズぼんの身辺が慌ただしくなり、状況もぐるんぐるんと変化していきます。・・・としか、書きようがない(苦笑)
ああ、原口組長・・・。『わが手に拳銃を』では、どうしてこんなに影が薄いんだ!
カズぼんの息子が愛読している絵本は、高村さんも愛読していた絵本でもあります。作者が分からないので、探しようがありません。残念。
【主な登場人物】
吉田一彰 笹倉文治 リ・オウ 田丸浩一 守山咲子 橘敦子 橘助手 原口達郎・・・前回から引き続き登場。
吉田裕一・・・カズぼんと咲子さんの子供。『李歐』では、「耕太」と名前が違っていました。その理由(の推測)は、(めんどくさいので)省略(←こらこら)
【今回の漢詩】
一度登場したものは取り上げないことにしているので、今回はなし。
【今回登場した拳銃】
TA90 ブローニング(FN・HPDAスタンダード) スターム・ルガーのセキュリテイ・シックス
【今回の名文・名台詞・名場面】
中国語の台詞は、( )でくくっています。ご了承を。
★「あんた、どこの何者だ……?」
「この国で、一番Rに会いたかった男さ。さあ、行け。失せろ!」 (p257)
原口組長に頼んで手に入れた《自由公民評議会》の名簿を、ある男に渡した時の、カズぼんの叫び。それはRに直接言ってやってよね、カズぼん! (Rが誰なのかは言わずもがな)
★「(前略) 中国という国は、人ひとりの人生を食いつぶしても足りない竜宮城です。行ったら毎日が楽しくて、見ても見ても足りなくて、気がついたら百年経ってたってことになりますよ。 (後略)」 (p259)
中国へ行くと言う妻・橘敦子を止めるように、夫の橘先生を説得するカズぼんの台詞。
★男二人を選んだのは敦子であり、選ばれた男二人の立場は同等なのだ。 (p259)
これは女には出来ない発想の転換ではなかろうか。世に言う「三角関係」の、特に「男一人に女二人」の場合、女二人は「立場は同等」とは、考えにくいと思う。「どちらが上か」という、対抗意識の方が勝るんではないかなあ。
★広縁の向こうの前栽に満開の桜。血管を回る酔いに、今は微かな苦味がある。俺はここで何をしてる。何を待ってる、と心の中で呟きながら、一彰は目の端で、前栽に散る花を数えていた。 (p261)
原口組長の十八番の長唄に合わせて、舞うカズぼん。
★「原口達郎は、俺と兄弟の契りを交わした人だった。原口を殺した男は、俺の兄を殺した男だ。そういう男の話に貸す耳はない」 (p285)
「李章陽」と名を変えたリ・オウに向かって、カズぼんの吐いた怒りの台詞。
★「原口は、誰が惚れても無理はない立派な男だった。(あんたも彼に惚れたんだ。俺には分かってる。俺の約束を破ったのはあんただ。)」
そう言って、リ・オウはサングラスを外した。五年ぶりに見る清冽な目に、今は苛烈な激情の色があった。ほとんど噛みつくようなその目は、この場のビジネスとは無縁の、きわめて個人的な内面の呟きを洩らしていた。それが見つめているのは、ほかの誰でもない、一彰ただ一人だった。何が言いたいのか半分は分かるが、半分は分からなかった。
「(俺は、もとからあんたと約束するようなことは何もなかった)……」
「(あんたが忘れても、俺は忘れない)」 (p285~286)
しかし怒ってるのは、実はリ・オウの方だった! ということが判明。
★夜目にも色白い顔は、昼間見たとき以上に若く清々しかった。そしてその目は、五年前には奥深く潜っていたあの火を再び燦然と噴き出して、はるか昔、ともに二十歳そこそこだったころそのままの、熱と輝きと、傲慢な自信と希望と若さのすべてがそこに蘇っていた。 (p294)
「李章陽」としてではなく、「リ・オウ」として姿を現したリ・オウの描写。何だか好き。
★「原口のこと、恨んでるのか」と、リ・オウは穏やかに口を開いた。
「ああ」
「俺もだ。五年前、いつかあんたを潰すことになると言っておいたのに、原口と手を切らなかったあんたを恨む。俺より原口の懐を選んだあんたを恨む。恨んでもあんただけはやっつけられない。それが一番悔しいよ」 (p294)
リ・オウのやるせない気持ちがひしひしと伝わる台詞ですね。だけどそれを聞かされたカズぼんは、余計にたまらない気持ちにると思うよ、リ・オウ。
★「俺は原口のことであんたに恨まれる覚えはない」
「これが人間の心の不思議なところよ。俺は、あんたと仕事をやりたいんだ。あんたが原口の懐にいる限り、それが出来ないから原口には消えてもらった」 (p294)
「それって逆恨み? それとも嫉妬?」 とリ・オウに尋ねたら、私の方がどこかの国に叩き売られそうだ(苦笑)
★「あんた、人殺しだ」
「殺しもするが、命も賭ける」 (p294)
リ・オウ、カッコええ~!
しかし上記のカズぼんとリ・オウの会話で、私が虚しさを感じるのは、原口組長の死です。原口組長に「相手が悪すぎた」と、慰めの言葉をかけてもしようがないけど・・・。あああ、お気の毒な原口組長。
あと一回で、終わらせます。
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