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逃げ腰探偵 3話

2012-10-01 09:59:12 | 小説
さあて!




みなさんが




待っていない!




3話でーす!






まだまだ物語は動きません




まったくもって動きません






露天風呂は混浴なのだが、時間帯によって男女で分かれている。私はフロントで時間を確認してから向かう、せっかく旅館に来たので浴衣を着て歩いていたが。思いの他、私服のお客が多かったので少し恥ずかしくなった。
だけど、そんな気持ちも、素晴らしい景色と気持ちいお湯に洗い流され。心の底から暖かくなるような気持ちになった。
普段のお風呂と言えば、仕事の疲れを取ったり、汚れを落としたりなどという行動になりがちだが。こういう所は景色を楽しみながら、お湯を肌で味わう事ができる。
少し風が寒く感じるが、お湯の温度と合わさると気持ちよくも思えた。
私は、夢中になりいろんな木々を見ていると、1人の若い女性が入ってきた。見た目から察するに、私と同い年。
少し細身の美人である。
どうせなら、こういった風に生んでくれれば良かったのにと、母親を恨んだことがあったが。今はそんな事は思っていない、少し大きいのは目立つが事がある、しかし、年齢以上に大人に見られるので男に舐められた事があまりない。
こういった仕事をしていると、女で大丈夫なのか?などという勘ぐりをしてくる客も多いらしい。
そんな事で悩まないでも良いのは、一種の才能だと桝谷が言っていた。
私が物思いにふけっていると、目の前に居た女性は2人になっていた。二人とも離れて、別々のことをしているのを見ると、連れでは無いようだ。
先ほどの女性よりも1回り小柄な女性、しきりに最初に入ってきた女性を見ているが、視力が悪いのだろうか目を細めている。
最初に入ってきた人は美人なので、同じ女性だとしても見てしまうかもしれない。
まあ、私はそんな事を呑気に観察出来ないぐらい、のぼせかけていた。なので、少し疑問は残ったがお風呂を出る事にした。目の前で何か行動があると、それに対して考察してしまうのは、探偵という職業が板についてきたのだろう。最初の頃は、相手の仕草などを見逃してしまい、桝谷に怒られていた。
桝谷曰く、相手の行動には必ず意味がある。だから、一見意味の無い行動こそ良く見てろと。
あまりキレ者のイメージがないが、仕事をこなす様を見る限り、やはり出来る人間なんだろうなとは思っている。
普段がああじゃなければ、もっと良いのになとも思っているのだが・・・。
その後、意味もなく売店などをフラフラして、そこで売っていた酒粕入りのアイスクリームを購入、あまり普通のアイスとの差がよくわからなかったが美味しかった。
別に肩が凝ってるわけでもないのに、マッサージチェアーに座ったり。意味もなくメダルゲームをやってみたりと、十分に満喫した後、部屋に戻ろうと連絡通路を通ってる時に、桝谷を見かけた。
「あれ、もう戻ったんですか?」
「先方がね、時間がどうしても取れなくて、また今度って事になってね」
「そうですか、ところで手に持ってる財布は・・・?」
桝谷の手には、見慣れない財布が握られていた。桝谷がそんな女性の使う様なのを持ってるハズがない、ダサい安物の財布を使うこの男が持つと、不自然としか言いようがなかった。
「ここで拾ったんだよね」
ここは本館と、様々な施設のあるB棟との連絡通路である。簡単な推理をさせてもらえるなら。温泉に行くお客か、温泉にだけ入りに来たお客の物である可能性が高い。
見る限り男が持つようなデザインではないので、そうなると女性となる。
「ちょっとだけ、中身見てみませんか? 免許証とかあれば、さっきまで温泉に居たので、その人なら探せますし」
「浴衣・・、なるほど、君は温泉に入ってたんだね?」
まるで、犯人でも指し示すように言う。その、発言にイラっときた私は冷たい目線を投げかけながら返した。
「さっき、私が言ったじゃないですか」
「じょ、冗談だよ・・・。まあ、本当は見るもんじゃないけどさ」
といい、軽く開く。
持ち主はきちんとした性格らしく、カード類はきちんと整理されていて、枚数も少ない。
私達は免許証などの、顔などが見える身分証明書を探したが。結局は保険証しか見当たらなかった。
「あれ・・写真が入ってませんか?」
「どれどれ・・・」
桝谷がゆっくりと、写真を出す。家族で撮った写真らしいのだが、父親と母親は足と腕しか見えない。多分この写真を財布にしまうために、切り取ったのだろう。
丁度、幼い少女と赤ん坊の2人だけが見えるように切られていた。
この女性の子供なのかもしれないが、少し古ぼけた写真という事から察するに、この持ち主の幼い頃の写真なのかもしれない。
「わからんね。とりあえずフロントまで持っていこう」
写真をしっかり元の位置に戻し、そしてフロントまで向かった。
だが、受付には人の気配がなく、辺りを見回すと中年の女性がブランドのカタログを見ていた。服装からして、ここの従業員のようだ。
「あの・・・」
「ん、ああ。お客さんね、ちょっと待ってて」
感じは良さそうなのだが、どうにも軽すぎる気がするこの女性は、机にカタログを投げながら立ち上がった。
「はいはい、どうしました」
「ええと、落し物みたいなんですが」
そう言い、先ほどの財布を差し出すと、何の確認もせずに財布を開き、名前を確認した。
「ちょっと待っててくださいね」
軽く言い残すと、フロントまで行き名簿を見た。
開いて指でなぞりながら、同じページを開いたり閉じたりしている。どうやら探しているようだ、途中で指を止めてから彼女はこちらに向かってきた。
「この”冴木涼子”って人、うちの名簿にはないみたいだね」
「そうですか・・・」
「まあ、落としたなら探しに来るでしょ。そうだ、ちょっと待っててくれない?」
そう言うと、フロントの奥にある事務所に向かった。
タグを付けた財布と一緒に、ノートのような物を持ってくる。
「ここに、拾った場所と時間・・・、時間が分からないなら今の時間でもいいけどね。あと、名前と住所と連絡のつく電話番号を任意で書いて頂戴」
「随分しっかりやられるんですね」
「まあね、ほら、落し物の中身が取られただの言うお客もいるでしょ。そうなったときの為にと、後は人にもよるけどお礼をしたいって人もいるからね」
私は記入をしながらだったので、曖昧な返事を返す。
「どうせなら、後者の方が良いわよね」
「あはは、そうですね」
別にやましいことをしたわけでは無いので、私はしっかりと記入をしてからペンと一緒にノートを返した。
「・・・じゃあ、見つかったら連絡欲しい?」
「いえ、大丈夫ですよ」
「そう、じゃあ連絡しないようにするわ」
そう言い事務所の方へと消えていった。







誤字・・・




ないといいなあぁ・・・