さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

(2)乳と蜜の流れる土地

2019-11-15 | ユダヤ人の旅

アラビア半島・上がペルシャ湾


四大文明はメソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、黄河文明であが、いづれもの大河流域の肥沃な沖積平野にある。四つ文明はエジプトがアフリカ大陸にあり、残りの三つはアジア大陸にある。黄河は少し遠いがメソポタミア、エジプト、インドはそんなに遠くはない。お互いに文明は移動し、影響しあって発展していったのだろう。戦争もしたであろうが、互いに交流し競争したのだろうから四つの文明発祥地帯に住む民族にはそれ程の文明格差はなかったと思われる。その点から考えると、北米と南米は四大文明地と離れていたために大きな文明格差が生じたのだろう。

四大文明発祥地の一つペルシャ湾に注ぐチグリス川とユーフラテス川の流域がメソポタミアである。BC7000年頃には農耕文化が発達し、BC4000年頃には高度な文明が発達している。セム系民族が住み、様々な部族がそれぞれ親族を中心に集団生活を営んでいたのだろう。部族どうしは互いに生存を巡って争いを繰り返していたが、一方で豊かな自然にも恵まれ、文明の発達は目覚ましく、都市国家も建設され、やがて文字も使われ始めた。BC1900年頃に起こったバビロンでは王ハンムラビによってハンムラビ法典が制定されている。

 

ハランの廃墟

ペルシャ湾に近い都市ウルにいた部族がユダヤ人の先祖である。大きな部族ではないが、勤勉で信仰心の篤い一族だった。彼らは唯一の神エホバを信仰していた。族長アブラハムは毎朝丘に登り祈りを捧げるのが日課であった。ある日、祈っているアブラハムは天からの神エホバの声を聞く。「あなたは、 あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、 わたしが示す地へ行きなさい。 そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、 あなたを祝福し、 あなたの名を大いなるものとしよう。 あなたの名は祝福となる。 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、 あなたをのろう者をわたしはのろう。 地上の全ての民族は、あなたによって祝福される。」(旧約聖書『創世記』12:1-3)

 神エホバが示す地は「乳と蜜の流れる土地」と呼ばれたカナンであった。カナンはアラビア半島のヨルダン川の西、地中海に面する地方だった。アラビア半島は大部分が砂漠であり、東から西に移動するには北側を大きく迂回して行かねばならず、命がけの大移動である。アブラハムは老いた父テラに相談すると、テラは神エホバの指示に従い一族を率いてカナンを目指そうと言った。勢いを増すバビロンの支配を逃れる為にもウルにとどまることは許されなかった。アブラハムは父テラ、妻サラ(異母妹)、大勢の部族とともに約束の地カナンを目指し出発した。老齢の父テラを気遣った一行は途中のハランにしばらく住むが、この地でテラは亡くなる。(聖書によるとこの時アブラハムは75歳だったという。)

 

神の使いを迎えるアブラハム(『創世記』第18章)

 

アブラハム一行は様々な苦難を乗り越えカナンの地に辿り着いた。シュケムに地に神エホバに感謝して祭壇を築いた。ところがカナンに移り住んだアブラハム一行は高原性乾燥地帯による旱魃に襲われ、食料が底をついた。アブラハム一行はエジプトに非難する。美しい妻サラはエジプト王ファラオの目にとまり、宮廷に召し抱えられたためアブラハムは財産を築く。しかしサラを妻にしようとしたファラオは神の怒りにふれ王家に次々と災害が襲うことになった。ファラオはサラを手放し、アブラハム一行に莫大な金銀財宝を与えカナンの地に送り出すことにする。

 アブラハム一行は再びカナンの地に戻り、祭壇で神エホバに祈りを捧げる。神エホバから声が届いた。「さあ、目を上げて、あなたがいる所から北と南、東と西を見渡しなさい。 わたしは、あなたが見渡しているこの地全部を、永久にあなたとあなたの子孫とに与えよう。 わたしは、あなたの子孫を地のちりのようにならせる。もし人が地のちりを数えることができれば、あなたの子孫をも数えることができよう。 立って、その地を縦と横に歩き回りなさい。わたしがあなたに、その地を与えるのだから。」 『創世記』14:14-17 アブラハムはここを永住の地にすることを誓った。

 

~~さわやか易の見方~~

 

***   *** 上卦は地

***   *** 大地、暗闇

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***   *** 下卦は雷

***   *** 活動、志

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「地雷復」の卦。陰ばかりの世界に初めて陽が登場する。「一陽来復」季節で言えば、長い冬の後にようやく春が巡って来る頃である。あわてて芽を出そうとしてはいけない。まだまだ陽は弱く壊れやすい。じっくりと将来の設計を立てるべき時である。

 こうしてユダヤ民族は一歩を踏み出した。「乳と蜜の流れる土地」というのは、カナンの地よりもイラクからシリアにかけての三日月地帯が相応しい。カナンの地は乾燥地帯であり、砂漠や岩山に囲まれ、ブドウ、オリーブ栽培、牧畜に適した土地である。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三大宗教はここが原点である。神は世界の平和を望むのか、争いを望むのか、この地で神の言葉に耳を傾けたい。人類は神の声を聴かず、争いを続け、地球を破壊し、欲望をほしいままにしていないだろうか。神の怒りに触れる前に気付くことは出来ないのだろうか。

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