さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

(3)ソドムとゴモラ

2019-11-21 | ユダヤ人の旅

フサイン・イブン・アリー(1853~1931)


アラビア半島は20世紀始めまでオスマン帝国が支配していたが、かつては正当なムハンマドの子孫ハーシム家のイスラム国であった。。第一次世界大戦が始まった1915年のことである。かねてからアラブの再興を心に秘めていたメッカのシャリフであるフサイン・イブン・アリーのもとにイギリスの高等弁務官マクマホンが訪ねてきた。どうしてもオスマン帝国を滅亡させたいイギリスはアリーの協力が欲しかった。ここでの話し合いで決まった協定が「フサイン・マクマホン協定」という。オスマン帝国を滅ぼした後にはアラビア半島全体をハーシム家の国家にするという内容だった。

3男ファイサルを中心に軍隊を投入、イギリスに協力しオスマン帝国を倒したが、イギリスは約束を守らなかった。しかもイギリスと手を結んで家来のサウド家が宗主ハーシム家を国外に追放し、サウジアラビアをつくった。流石に申し訳ないと思ったイギリスは統治国のイラクとヨルダンをハーシム家に差し出すことにした。フサインの次男アブドゥッラーが最初のヨルダン国王になる。広さは関東地方位しかないが、現在西からはパレスチナ難民、北からはシリア難民が押し寄せ、約1000万人の人口の半分が元難民だという。問題を抱えてはいるが国王はハーシム家の世襲が続いている。

 

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死海

 

イスラエルとヨルダンに接するところにヨルダン川があり湖の死海に注いでいる。死の海との名称は、この湖水は塩分濃度が30%もあり、住める魚はいないところから名付けられた。死海につながるヨルダン渓谷は白亜時代にはアカバ湾に至る海だったと推定されているが、海底隆起により断層が生じたと考えられている。また死海の海抜はマイナス400mの低地にあり、毎年1mのペースで湖面の低下がすすんでいるという。湖水を誤飲すると死に至る危険性があるため、水泳は禁じられているが、入浴としては美容と関節痛治療の効果は世界有数であり観光客の人気を集めている。

その死海にはかつて繁栄していたが、現在は湖底に眠っているとされるソドムとゴモラの二つの町があったという。BC1900年頃、交通の要所として栄えていたソドムとゴモラは堕落し腐敗した市民が跋扈していた。とくに性風俗の乱れは目を覆うばかりでそれを正す者がいなかった。神の怒りは限界に達し、二つの町は破壊されることになった。アブラハム一行がエジプトからカナンの地に戻ろうとしていた頃である。アブラハムの甥であるロトの家族がヨルダン川東岸に行きたい言ってきた。アブラハムが我が子のように愛し信頼していたロトだったが、アブラハムはロトと別れることにした。ところがロトの家族が向かった先がソドムだったのである。

 

ソドムとゴモラの破壊

ロトの家族がソドムに着いたころ、神の御使いたちがアブラハムのところへソドムとゴモラ破壊の話を告げに来た。アブラハムは必死になって救済を願い出る。「神がお決めになったことです。」「そこを何とか、ソドムとゴモラにも善人はいるはずですから。」「では善人が50人いたら援けよう。」「たとえ10人でも援けてください。」「では10人善人がいたなら援けよう。」そういうと御使いたちはソドムとゴモラの町に出かけて行った。御使いたちは一軒一軒訪ねて回り、善人を探して歩いたが、ロトの家族以外には善人は見付からなかった。御使いたちの報告を聴いた神はソドムとゴモラの町に天から硫黄の火を降らせることにした。

 御使いたちはロトの家族を町の外に逃げるよう導き、そして「逃げる途中、決して後ろを振り返ってはならない。」と忠告する。ロトの家族は一散に町の外に向かって逃げ出したが、轟音とともに硫黄の火が降り注ぐと、ロトの妻は後ろを振り返ってしまった。するとたちまち妻は塩の柱になってしまった。ロトと二人の娘は生き延びて山で暮らしたが、堕落したソドムとゴモラの影響を受け背徳の人生を送ることになった。二人の娘は父に酒を飲ませ、酔った父と交わり妊娠した。十戒にも「姦淫するな。」とある。神が最も憎んだ罪は性の乱れであった。

 

~~さわやか易の見方~~

******** 上卦は山

***   *** 勤勉、守る

***   ***

******** 下卦は風

******** 柔順、従う

***   ***

 「山風蠱」の卦。蠱(こ)は皿の上に虫が集まっている象である。泰平がつづくと社会は腐敗と混乱が生じる。中国の清の末期に阿片が流行し、ついに国が亡びるところまで蔓延した。風紀が乱れるということはそういう危険をはらむものである。腐敗と混乱の時期は思い切った革新が必要な時でもある。

世の乱れは性風俗の乱れからという。何でも自由が良いというものではない。例えば日本の非嫡出子は数%であるが、フランスでは非嫡出子が50%だという。フランスでは夫婦という形式よりも愛さえあれば良いではないかという国柄である。果たして、それが進んでいると言えるのか。また最近はLGBTを公に認めようという運動がある。Lは女性同性愛者、Gは男性同性愛者、Bは両性愛者、Tはトランスジェンダーで心と身体の性がマッチしない人を指す。社会的マイノリティを差別するなという運動であるが、これもあえて公にしなくても、差別をしないようにそっとしておくだけで良いではないだろうか。欧米でLGBTに配慮して、男女のトイレを一緒にすべきだとの動きがあると聞く。ナンセンスとしか言いようがない。これも性風俗の乱れに繋がるものではないだろうか。

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