鄧小平(1904~1997)
世界に飛躍した中国の礎を築いた鄧小平はいったいどんな人物なのだろうか。鄧小平は「東洋のユダヤ人」と呼ばれる客家(はっか)出身であることに注目したい。客家とは歴史をたどると千年以上にもなるが、漢民族はたびたび外からの遊牧民に制服されている。その漢民族の王族たちの一族が南方に追われて住み着いた末裔と考えればよい。(ちょうど源氏に追われた平家の落人と言ったところか)
辛酸を舐めた一族の結束は強く、頭もよく忍耐力もあるものである。清末に「太平天国の乱」を起こした洪秀全も「辛亥革命」を起こした孫文も客家出身である。また国外に逃れ華僑(かきょう)となった客家も多く、フィリピンのアキノ家、シンガポールのリー・クアンユー、タイのタクシン、台湾の李登輝なども客家出身として知られている。いずれも卓越した指導者になっている。
横浜中華街
19世紀ころから東南アジアばかりでなく、日本、ハワイ、オーストラリア、アメリカ西海岸、カナダなど世界中に移り住みコミュニティをつくった。横浜に中華街をつくったのも彼らである。現在の実勢は東南アジアに100万人、アメリカに100万人、南米に30万人、ヨーロッパに40万人、オーストラリアに30万人で総数は約2500万人と言われている。
アメリカでは大陸横断鉄道やゴールドラッシュの金鉱で苦力として使役されたが、その困難に耐え抜いた。世界各地で勤勉さにより成功を収め経済力を手にして大富豪となり財閥を築いた華僑もいる。商売に長け機を見るに敏であるのが特徴である。鄧小平は華僑のパワーを外交にも改革開放政策にかかる莫大な投資にも活用しようと考えた。
陳香梅(1926~2018)
ホワイトハウスのロビイストとして活躍した客家出身の陳香梅(ちんこうばい)を紹介したい。日中戦争時にアメリカは義勇軍として「フライングタイガー」を送り込んだ。その指揮を執ったのがシェンノート将軍であった。蒋介石の妻・宋美齢から依頼を受けて取材に行ったのが陳香梅だった。陳香梅は宋美齢と同じく客家であり、留学の経験もある英語も堪能の才媛だった。終戦後、二人は32歳の「歳の差婚」をしてワシントンに移住する。
二人の娘をもうけるが香梅33歳の時夫は亡くなる。いらい香梅は海外特派員として活躍、やがてホワイトハウスで働く華人第一号となる。ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガン、父ブッシュ、クリントンまで、民主、共和両党の歴代大統領8名の政権で米中関係の顧問を務めた。とくにキッシンジャーとともに米中国交には活躍し立役者と言われた。鄧小平は陳香梅を「アメリカに議員は大勢いるが、世界に陳香梅は一人しかいない。しかも彼女は半分、我々中国に属している。」と称賛している。
クリントン夫妻
華僑財閥の中で最初にホワイトハウスに影響力をもったのはインドネシアを本拠にするリッポー(力宝)グループだった。1980年代にアーカンソー州で30代知事として活躍するビル・クリントンに目をつけた。妻のヒラリーが上級パートナーを務める法律事務所を顧問にすると破格の報酬を支払うことから始まった。いらい大統領選挙に至るまで不法献金を続け、ホワイトハウスは中国マネーによって癒着構造が作られていった。
1995年は戦後50周年であり、クリントン大統領は広島、長崎の原爆投下が国際的な非難になることを懸念していた。そこで鄧小平の後継者・江沢民は日本軍がもっと残虐非道なことを行ったとして「南京大虐殺」「慰安婦事件」を喧伝することにした。日本を悪者にすることによって米中の結びつきを強化、ハイテク技術、軍事技術を供与してもらい中国の軍拡政策を推し進めた。
~~さわやか易の見方~~
******** 上卦は火
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********下卦は山
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「火山旅」の卦。旅は旅行であるが、易でいう旅とは楽しい旅ではない。家を捨て、国を追われ、放浪の旅に出ることである。一族が流浪の民となることもある。ユダヤ民族や客家一族も流浪の民となり、辛酸を舐めた。しかし「郷に入っては郷に従え」沈着冷静に対処することである。新しい世界で幸運に出会うこともある。
陳香梅は天安門事件で世界から信用を失った中国を救っている。ホワイトハウスの輸出委員会副主席だった陳香梅は台湾工商界に話をつけ投資環境考察団を北京に送り込んだ。中国からも台湾からも感謝状を貰っている稀な女傑である。歴代米大統領も頼りにしたという。客家出身者は人並み優れたパワーがあるようだ。2018年春92歳で亡くなっている。日本人にもこんな女傑がいないものだろうか。
世界を股にかけて活躍するユダヤ民族や客家一族を見ると、辛酸を舐めた一族のしたたかさが解る。日本人は島国だったせいもあり、自然災害では苦労しただろうが、民族同士の争いの体験が乏しい。お人好しで直ぐに相手を信じてしまうところがある。国際社会の中にあってはもっとしたたかな深慮遠謀がなくてはいけないだろう。しっかりしろ!日本人。
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