さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

冷戦後の米中関係と日本(9)ートランプ大統領の登場ー

2019-02-05 | 20世紀からの世界史
ドナルド・トランプ(1946~)

世界は多極化時代を迎えるとともに、新しい時代に突入した。冷戦後から急速に広まり始めたグローバリズムが伝統と秩序を壊し始めたことに各国はようやく気付いた。人、物、金を一つの世界に広めようとした動きにより富は集中化し、貧富の格差は広がり、移民、難民が溢れる程に移動することにもなった。ついに2016年にはイギリスでEUからの離脱が国民投票で決まった。その年の11月にはアメリカ大統領選でトランプ大統領が誕生した。

「アメリカ・ファースト」を宣言したトランプの登場は何を意味しているのか。実はアメリカには世界をリードする余裕は既になくなっていた。アメリカの労働者が仕事を失い、貧困化してしまったからである。移民があふれ、伝統も文化もやがては失うことになると危惧したからである。大メディアが流す情報は一部の権力者の目的であることに気づいたからである。トランプ大統領の登場はグローバリズムの流れを止め、新たな流れをつくるためである。


ワシントンポスト紙
 
トランプ大統領がそれまでの父ブッシュ、クリントン、息子ブッシュ、オバマの各大統領と何が違うのか。それまでの各大統領は大メディアの後押しがあったが、トランプには大メディアは挙って足を引っ張っていたことである。ワシントンポスト、ニューヨークタイムズ、CNN,すべての大メディアがそうである。何を意味するか。それは大メディアは例外なくスポンサーが巨大金融グループなのである。

つまりはトランプの前は巨大金融グループが望む者だけが大統領になっていたという訳なのだ。トランプが大メディアに足を引っ張られるということは巨大金融グループの意に染まないことを証明している。巨大金融グループが推し進めてきたのがグローバル化であり、世界を一つにしようとする流れなのだ。その流れに「待った!」と叫んだのがトランプである。まさにマフィアに立ち向かうような挑戦である。


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 米朝首脳会談
 
トランプ大統領にとって最大の難関は大躍進を続けアメリカに追いつき追い越そうとする中国であり、核保有国になりつつある北朝鮮を抑え込むことである。息子ブッシュとオバマが黙認してきた北朝鮮の核開発を非難、中国も巻き込んで経済封鎖をすることにした。2018年になると金正恩はトランプと会談したいと申し出る。同時に疎遠だった中国に擦り寄り後ろ盾を願い出る。6月、初の米朝首脳会談がシンガポールで開かれ金正恩は非核化に向け努力すると言った。

中国に対しては特効薬として輸入品に関税をかけると宣告する。今度は中国がアメリカからの農産物に関税をかけると応酬した。お互いに強気の姿勢をとりながら「米中貿易摩擦」に突入する。一帯一路の大目標にまい進したい中国。偉大なるアメリカを取り戻したいアメリカ。新しい冷戦時代の幕開けと見なければいけない。日米同盟に従ってトランプと手を結ぶ日本。しかし経済界をターゲットに中国からの圧力は激しい。態度を鮮明にしなければならないだろう。


 
プーチン大統領

米中の冷戦はグローバリズム対反グローバリズムの戦いであると言える。この戦いはアメリカ国内でも起こっている。ヨーロッパでも起こっている。移民の流れを進めるのか阻止するのかでもある。いち早く反グローバリズムを鮮明にしたのはロシアのプーチン大統領だった。始めは孤立主義と言われたが、トランプ大統領の出現によって評価が変わってきた。日本の立ち位置もはっきりしなくてはいけない。

中国の一党独裁、マルクス主義を固く信奉する共産党の国を信じるのか。反グローバリズムに舵を切ったアメリカ、ロシアと手を結んでいくのか。しかしどこかと手を結ぶ前に本来の日本の在り方は何なのか。それをしっかりと覚悟しなければならないだろう。日本は皇統を中心にした独自の国体がある。そして「和を以て貴しとなす。」という教えがある。まず日本は毅然とした独立国になろう。それが日本の立ち位置だろう。

~~さわやか易の見方~~

***   *** 上卦は地
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******** 下卦は天
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「地天泰」の卦。天地と地天、どちらが良い卦だろうか。天地の方が自然に思われる。しかし易では「天地否」である。理由は天はあくまでも上にあるもの、地はあくまでも下にあるもので、天と地が交わることがない。上下の意思の疎通がないと説く。上に地、下に天の「地天泰」は上下の意思が疎通し、和合すると解する。国家でいえば統治する者が国民を思いやり、国民は上を目指し活力がある姿といえる。理想の卦である。

トランプが大統領になった頃、メディアに向かって、「フェイクニュースだ!」と盛んに応酬していた。最初は何という大統領だろうと思ったが、確かにメディアのトランプ下しであることが解ってきた。メディアはある目的で情報を流していることも解ってきた。メディアの情報をそのまま鵜吞みするのは危険である。何が真実なのかは、原因と過程を考えて自分で判断しなければいけない。

米中の冷戦時代がいつまで続くか、それは解らない。しかし混乱の後に新秩序が生まれる。新秩序での日本の姿はいかなるものだろうか。少子高齢化で未来は暗いと考えてはいけない。新しい日本が希望に満ちたものであることを願う。「成せば成る 成さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 成さぬなりけり」である。日本の未来は本来の日本、「地天泰」の日本らしい姿であって欲しい。

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