宮本武蔵による達磨像
親分、いよいよ禅について考えてみたいのですが、いったい禅というのは何なんですか?
座禅することで知られているが、本当は何なのだろうか。勿論、仏教の一つの宗派ではあるんだろうが、他の宗派とは違う気もするし、一緒に考えてみようじゃないか。
先ず、禅というのは何処で、そして何時から始まったのですか?
うん、仏教の発祥地であるインドだろうとは思うんだが、はっきりしないらしいんだ。中国に伝わったのは5世紀の後半に達磨(ダルマ)が有名になったのが始まりのようだな。南北朝の宋の時代にやって来たと伝えられている。出身については良く解らないらしいが、南天竺の国王の王子として生まれたとか、ペルシャ生まれで各地を歩いて中国にやって来たとか、中国に来た時は齢150歳になっていたというのさ。
達磨と言えば、武帝とのやり取りが有名ですよね。
南朝の梁(りょう)を治めていた武帝が達磨を呼んで質問する話だな。
武帝は質問した。「わしは仏教を信仰しており、各地に寺を作り、僧を招き、経を広めた。どんな功徳があるだろうか?」 達磨「功徳はありません。」 武帝「何故、功徳がないのだ?」 達磨「人間界の功徳というものはただの煩悩です。仏の世界では何の価値もありません。」 武帝「真の功徳とはどのようなものだろうか?」 達磨「この世は空です。功徳は求められるものではありません。」 武帝「ではこの世に聖なるものはどこにあるのか?」 達磨「聖なるものなどどこにもありません。」 武帝「いったい、お前は誰なのか?」 達磨「知りません。」
結局、武帝はおちょくられたと思ったのだろう。そのまま武帝を返したという話だ。
確かに武帝にしてみれば、おちょくられたと思うでしょうね。
まあ、これも伝説だからな。ただ、人間界と仏の世界とを考えるヒントにはなりそうな話だよな。
達磨はその後どうしたんですか?
言い伝えによると、崇山少林寺にこもって、9年間の座禅をしていたとされている。達磨は簡単に弟子をとらない僧だったが、神光という僧が熱心に弟子入りを求めた。ついに入門することになり、名を慧可(えか)と改めた。この慧可が第2祖となり、中国に禅宗が広まったとされるんだよ。
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