
「風水渙」は散る、散らす、悩みを一掃する
「渙は亨る。王、有廟(ゆうびょう)に假(いた)る。大川を渉るに利し。貞しきに利し。」
渙の時は、混乱を一掃しよう。新しい王が登場し、ご先祖をお霊屋に祭り、心を治め、身を修める。朝廷の百官、臣民、万民は皆天子の徳を仰ぎ、混乱は吹き散らされる。大川を渉るように、困難を克服する。正しい道を進めばよろしい。
序卦伝に、「兌は説(よろこ)ぶなり。悦びて後に之を散ず、故に之を受くるに渙を以てす。渙は離るるなり。」とある。人が悦ぶときは、気が大きくなる。気が大きくなると、散財してしまう。
渙の卦は、下に水、上に風である。風に吹かれて水が散り乱れている。散るとは、良い意味と悪い意味がある。気が散る、心が乱れるは悪いが、悩みが飛び散ってしまうのは良いことである。国にしてみても、人民が離散するのは悪いことだが、小さな党派、徒党が一掃され、国内が一つになるなら良いことである。易には良い方から見る場合と、悪い方から見る場合がある。一概に善悪吉凶を決められるものではない。
日本の神社でも、古来「お祓い」と「みそぎ」という神事がある。「みそぎ」とは、海や川などで身体を清め、清浄な心と身体で神様に近づき、犯した罪を償うのである。「お祓い」とは、自分自身の心の不浄を清め、災害や悪疫から身を守るために、神様に祈願することである。「風水渙」の精神にも、「お祓い」と「みそぎ」があるのかも知れない。
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