親分、ご無沙汰しました。
いやいや、こちらこそだ。とにかく今年の夏は異常な暑さだったからな。もう少しで俺も参ってしまうところだったよ。どうやらこうやら、猛暑もそろそろ収まる頃だろうから、又、始めようじゃないか。ところでな、このシリーズの4番目に「衣食住楽」というのをやったよな。
やりましたね。人は衣食住の他に何が満たされれば、幸せなのかというテーマだったですよね。それで、親分は楽しみを加えて「衣食住楽」と言ったんですよね。
そうだったな。でも、その楽しみを楽しむためには、ただ好きな事を持てば良いということにはならないよね。例えばだ、ここに人を殺して来た人が居たとするよな。そいつの楽しみは旅行することだとするよね。旅行する金も時間も充分あるとするよね。じゃあ、そいつは楽しんで旅行することが出来るだろうか?
それは楽しめないんじゃないでしょうか。罪の意識が付いて回るというか、おちおち旅行なんかしてはいられないでしょう。
そうだよな。そうすると、楽しみを楽しむためには胸を張ってというか、誰にも気兼ねしないで楽しみたいよね。
そうですよね。人に知られたらまずいという楽しみじゃいけませんね。違法なことは絶対本当の楽しみにはなりませんからね。
そうだよな。例えば、盗んだ金を持って銀座のクラブで遊んだとしても、心から楽しめることはないだろうな。何か後ろめたさがつきまとうだろう。
楽しむためにも正々堂々とした生き方をしなけりゃいけないということですね。
そうだ。「天下の広居に居り、天下の正位に立ち、天下の大道を行く」これは孟子の言葉なんだが、誰にも憚ることなく、誰にも臆することなく、遠慮することもなく、正々堂々と生きてこそ、本当の楽しみというのは自分のものになるんだよ。
楽しんで生きるということは生易しくはありませんね。
心の安定がなければ、本当の楽しみは得られないと思うんだ。例えば夫婦喧嘩している時に飲みに行っても面白くないだろう。心の安定がないからだ。だから俺たちは常に心の安定を意識していることが必要なんだな。それが仏教でもあるんだ。禅でもそうだが、何のために座禅するかと言えば、心を安定させるためだと思うんだ。座禅している時だけじゃなく、常に心の安定を意識することだな。
そうですか。心の安定を常に意識することですね。直ぐに忘れてしまいそうですけど、それが大事なんですね。
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