さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

姐さんの憲法論(35)~「憲法について、いま私が考えること」から(1)~

2021-02-17 | 姐さんの憲法論

姐さん、僕が憲法に関する本をいくつか読んだ中で、日本ペンクラブがまとめた「憲法について、いま私が考えること」というのがあるんですよ。日本ペンクラブに所属する作家たちがそれぞれ自分の思いを文にしたものなんですけど、これが結構面白かったんです。

あら、どんな人たちが書いているの?

 

 

 

 

 

 

 

全部で30人位いるんですが、殆どの人は第二次世界大戦の惨状を訴えて、戦争を放棄した現憲法を礼賛していました。その中で面白いのを照会します。田原総一朗さん(1934年生まれ)が「戦争を知る世代として」というタイトルで、何人かの元首相の話を載せていました。宮澤喜一さんが憲法について語った言葉として、「日本人は自分の身体にあわせた服をつくるのは下手だが、押し付けられた服に身体をあわせるのはうまい。」というのです。

ハハハハハ。うまいこと言うのね。その通りだよね。

自衛隊と軍隊について、竹下元首相は、「だから良いのだ。戦えないから日本は平和なのだ。軍隊は戦えれば、戦ってしまうものだ。」というのもありました。日本はベトナム戦争の時に、アメリカから出兵を要請されたんでしょうね。その時の、佐藤栄作元首相はアメリカに、「もちろんベトナムで一緒に戦いたい。だが、難しい憲法を押し付けられたので、行くに行けないではないか。」と戦争に巻き込まれるのを避けたということです。

成程ね。憲法9条が役に立ったという訳ね。

イラク戦争の時も、息子ブッシュ大統領から出兵要請を受けた小泉首相が、「難しい憲法を押し付けられたので、イラクには行くが、サマワで水をくみにしか行けない。」と言ったそうです。

そうか、何回もあったんだね。じゃあ、9条がなかったら日本も又戦争をしてたかも知れないんだ。

そうなんですよ。実際にベトナム戦争では集団自衛権の名の下に韓国は25万人の兵隊をベトナムに送っているんです。その結果、4968人の死者を出し、枯葉剤の後遺症で15万人がずっと苦しんだんですよ。

集団的自衛権の行使容認も決まってしまったけど、早まったかな。あの時は私も集団的自衛権は必要だと思っていたからね。日本が攻撃された時にアメリカに助けて貰うんなら、同盟国のアメリカが攻撃された時は日本が助けるのは当然だと思っていたのよ。でも、アメリカはすぐ戦争をしたがるからね。良く考えなきゃいけないわね。

確かに憲法と自衛隊の関係は曖昧なんですが、曖昧のままで良いという意見もあるんですよ。京都大学教授だった故高坂正堯(まさたか)先生が、「現憲法と自衛隊はあきらかに矛盾している。憲法9条の二項は戦力を保持せず、交戦権も否定しているが、自衛隊は戦力を保持している。だが憲法を自衛隊にあわせるか、自衛隊を憲法にあわせようなどとするのではなく、憲法と自衛隊が拮抗している関係を、そのまま持続していくのが良いのではないか。」と言っていて、田原総一朗さんは「自分も高坂理論に賛成である。」ということです。僕もそれでいいんじゃないかと思うようになりました。

日本人得意の玉虫色だね。それも日本人の知恵なのかも知れないよね。何でも白か黒かに決めることはないのよね。その日本ペンクラブが作った本は面白そうね。さすがに作家たちだから、みんなそれなりの意見を持っているんだね。他にも面白い意見はなかったの。

いろいろありましたよ。これを読んでいると今の憲法が良いものに思えて来ちゃうんですよ。じゃあ、次回も別の作家の言い分を披露してみましょうか。

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