蜻蛉・莞爾の無責任漢字樂院

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「つみ」

2009年12月04日 | 「語句」「言葉」~名詞編(あ行~な行)
【「つみ」】

≪辞書で調べてみると≫

<罪>
(1)法律的・道徳的・宗教的な規範に反する行為。
「―を犯す」
(2) (1) に対して負うべき責任。
また、それに対して科される制裁。刑罰。
「―に服する」「―を償う」
「―に問われる」「人の―をかぶる」
(3)ある行為から生ずる、他人に対する負い目や責任。
「無沙汰の―を許されたい」
(4)特に、宗教の教えに反する行為。キリスト教では神の意志に背く行為をいい、仏教では法に背く行為と戒律を犯す行為をいう。罪業。
「―の意識」
(5)禁忌を破ること。
(6)欠点。短所。


≪「つみ」と訓読みする漢字≫


サイ/ザイ zui4
つみ(つみする)
字統:356
常用字解:226-2
1051/09253

<解字(常用字解)>
元は、辠に作り、自 と 辛 とを組み合せた形。
鼻の形の“自”に、入れ墨する時に用いる大きな針の形をした“辛”で入れ墨を加えることを示す。
罪人に対して刑罰として入れ墨を加えることが
あったので、“辠”は「つみ」の意味となる。
“罪”は“辠”と同じ音なので、“罪”を代用するが、“罪”は、もと魚を捕る竹の網(网:罒:あみ)であった。
『詩経』や『論語』でも「つみ」の意味に用いた
説文に、秦が“辠”を“罪”に改めたとあるから、
おそらく2200年前、始皇帝が文字統一をした時、“罪”の字に統一されたのかもしれない。
●罪・辠は同字



サイ/ザイ zui4
つみ(つみする)
字統:356
1286/11733

<解字>
“罪”参照
●罪・辠は同字



コ/ク gu1
つみ <はりつけ><そむく><さまたげる><ひとりじめにする><かならず>
字統:289
1286/11731

<解字(字統・蜻蛉)>
“古”は、“枯”に通じ、張りつけの刑の様子。
▲ [歹古]が載っている
“辜”は、“辠”のように「鼻への入れ墨の刑」だけに留まらず、「張るつけ(磔)の刑」になること。


≪意味合いが「つみ」の漢字≫


シン/* xin1
からい つらい かのと <つみ><からし> からくも かろうじて
常用字解:334-3
1286/11729

<解字(蜻蛉)>
“辛”は、「入れ墨ようの針」の形。
●辛は本字 ?(11730)は俗字


罰 罸
ハツ/バチ 慣用:バツ fa2
(つみ)<しおき=刑><しおきする> バチ
字統:723
常用字解:522-1
1053/09263・09266

<解字(常用字解)>
会意。詈 と 刀(刂)とを組み合わせた形。
神に誓いをたてる言葉である“言”に、網(网)を被せて、その誓いを無効にすること。
更に、刀(刂)を加えて破壊すること。
神への誓いを破棄し、無効にする事 ⇒ 罰
 神に嘘を言う事に対して、
「とがめ、こらしめ」の意味
●罰・罸は同字



ハン/ボン fan4
おかす <つみ><罪をおかした人><仏教で戒律にふれたこと>
字統:725
常用字解:523-2
0846/07031



ギョク/ゴク yu4
<うったえる><さばく> ひとや <ろうや><つみ:罪><おきて>
字統:335
常用字解:210-2
0854/07125
●獄は本字 ?(01825:[国:玉→獄])は古字



リク/ロク chuo1
(ころす)<さらす><つみ、ばつ>はずかしめる><あわせる>あらあらしい> ∴殺戮:さつりく>
0510/03884


戻 戾
レイ/ライ li4
(もとる)<よじる><てあらい><つみ><むさぼる><いたる><とどまる> もどす もどる ≪もどり、もどし≫ 
字統:932
常用字解:659-1
0511/03889・03890

 

カ/ケ
xia2
きず <あやまち><つみ><あやまる><とおい><すきま><赤味を帯びた玉><するどい>
字統:081
0868/07273

 
≪「つみ」関連≫


ケイ/ギョウ xing2
<つみする> しおき <のっとる> のり <おさめる、とりしまる>
字統:235
常用字解:146-2
0158/00875
●?(00891:刑)は本字 刑は俗字


謫 讁
タク/チャク zhe2
<つみする> せめる <とがめる><ながす><つみ、とがめ>
1227/11128-1231/11181
● 謫・讁は同字


≪総評≫
基本的に“辛:入れ墨のようの針の形”が占めている。

本来は“辠 [自/辛]”であったのが、始皇帝が“自”を「みずから→おのれ⇒自分自身」と解釈し、忌み嫌って“罪”を作らせたのではないか?
権力者は、横暴です。


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