操縦室にひとりしかいないことが引き起こす航空事故や事件は過去にも起こっています。背面飛行事件を覚えているでしょうか?
4年前の2011年9月6日午後10時49分ごろ、エアーニッポン(ANK、当時)が運航する那覇発羽田行きANA140便が和歌山県串本町沖の太平洋上空でほぼ背面飛行状態となり、急降下した重大インシデントで、国土交通省の運輸安全委員会(JTSB)は9月25日、調査報告書を公表したことがありました。
トラブルが起きたANA140便のボーイング737-700型機(JTSBの資料から)
トラブルが起きたANA140便の機材はボーイング737-700型機(登録番号JA16AN)で座席数は120席。乗客112人(幼児1人含む)と乗員5人(運航乗務員2人と客室乗務員3人)の計117人が搭乗しており、立ち上がった状態で業務をしていた客室乗務員2人が軽傷を負った。
同日午後10時48分すぎに、トイレから戻った機長を操縦室に入室させるため、副操縦士がドアの鍵を解錠するスイッチ「ドアロックセレクター」を操作する際、誤ってラダーを左右に動かすスイッチ「ラダートリムコントロール」を左に合計12秒間操作したため、機体が左に大きく傾き、その後急降下した。急降下が収まるまで、機長は入室できなかった。
報告書では原因について、ドアロックセレクターを操作するところをラダートリムコントロールを操作したスイッチの誤操作と、この誤操作を認知することが遅れたこと、機体の姿勢回復の操作が不適切または不十分だったとした。また、これらのいずれかがなければ、急降下には至らなかったとしている。
この改善策は下記のとおりです。
再発防止策として全日本空輸(ANA/NH)では、操縦室が1人のパイロットのみとなる場合の留意事項の制定と配布、誤操作しやすいスイッチの確認と訓練、高高度での異常姿勢からの回復訓練の準備などをすでに実施している。
(完)
やはりANAも操縦室に一人にしない体制ではないようです。トイレに行く際は必ず、誰かが操縦室に入りパイロットを見守る必要があるようです。精神が病んだパイロットに操縦桿を任す危険を回避しなければなりませんもの。
現在考えられる対策は完全自動パイロットでしょうか?コースを外れたら自動で近辺の空港へ向かわせる装置の開発が急がれているようです。なんらかの事故で2人の操縦士が操縦できない場合などと、テロリストによる行き先変更を命じられた際も当初目的地以外へパイロットは操縦できないような装置が期待されています。未来では操縦桿を握るのは完全自動操縦装置で、見守り役が人間の操縦士になるでしょう。落雷やコンピューターのトラブルで完全自動操縦装置が故障した場合のみ、人間の操縦士が操縦桿を握るのです。
多分ハイテク機器開発が得意な日本の航空機産業にとって追い風になるかもしれません。日本が開発している中型ジェット旅客機に、この装置がセットされているならば相当販売できることでしょう。
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