kananagaの日記

音楽したり絵を描いたり紙芝居したりするkananagaの暮らし

鉄道5日目。停車駅で演奏

2007-09-30 | 海外ツアー制作旅行等滞在記
強烈な朝焼け~~(写真)。列車に乗ってると、朝日が昇るちょっと前に目が覚めるんだよねえ。それと、列車では、止まってると、意外と寝れない、起きちゃう。No wave No life.不思議なもんだなあ。

けんさんの絵と歌、赤鼻さんの絵と歌、次々できる。途中停車駅で、伴奏考えるために音出したくて、鍵ハモを持ってでる。すると、赤鼻さんをはじめ、外に出ていた乗客から、「なんかするのかな?」みたいな期待の目がむけられてきた。なので、何曲か演奏してみると、うわ、うわ、すごいみんな観てる、列車の中からも、相当な数のひとがのぞいている、曲間にはすごい拍手。みんな、ずっと列車で退屈してたのかな、かなり楽しそう。しかも、ひとりのひとが、kananagaの足元に札を!うわー!これ、ルーブルじゃんか!初ルーブル、10ルーブル!トイレに行ける額!ひとしきり演奏してから、作曲作業。でも、あまり時間がなくなってしまった。とはいえ、ルーブルをもらえたことが、なんとも嬉しかった!

午前中に、3人の乗務員さんにあげるものはすべて完了し、ランチは湯湯とジョスとおしゃべりしながらのんびりと。

次の駅でもちょっと演奏してみると、例のオランダ人のおっちゃんたちがやってきて、嬉しそうに写真を撮る。しかし、こんなに楽しいことが起こるなら、もっと早く停車駅演奏してみればよかったなあ。

ところで。初日、まだ青木と同室だったとき、気づいたら窓が汚れていた。なんか、白っぽい液体が上から流れてきた感じ。えー、景色見えないー、なんだよこれー、と思っていたが、kananagaは、列車から何か液体が出て汚れたのかと思っていた。しかし、これが違った。湯湯は、ひょっとして、という風に気づいていたんだけど、実は、青木が、窓から飲み残したものを捨てていたのだ!しかも、我々がとなりの部屋に移ってからも、青木の悪事は続いていた。気づくと、斜め放射線状に、コーヒー色の液体に窓が汚染されている。それがあるとき更に上から重ねられていた。停車中に外から見ると、はっきりわかる、青木の部屋からそれは始まり、その後ろの4つくらいの部屋の窓を軒並み汚染しつくしていた。なんて迷惑な!最低だな、あいつ。。。でも、kananagaは時々、走行中に窓を開けてビデオ撮ったりしてたので、そういうときにやられなくて、ラッキーだった、と思うことにしよう。モップで窓を拭いているひとを見たことがあるので、乗務員さんにあのモップを借りよう!と思ったが、停車するたびに、廊下側がホームで、なかなか実行できず。

今日はシベリア鉄道最後の夜なので、食堂車に行ってみることにした。食堂車は、前のほうだったな、と思って前に行くが、あれ?あったはずの場所に食堂車がない。途中の車両の乗務員さんにたずねると、なんと、一番後ろのほうだという。なんと、国境で車輪の交換とかしてたときに、食堂車まで入れ替わっていたのだった。うーん、驚いた。

食堂車にたどりついた。英語を全くしゃべらないロシア人スタッフ。メニューがなかなか出てこない。不安がいっぱいだ。何人かスタッフがいるのに、ひとりしか働いていない。Oh,It's so Russia.それにしても、メニューに書いてあってもないものが多い、頼んだものと違うものが出てくる(チキンと書いてあったものを頼んだらビーフだったり)。で、高いなあ~。でもやっぱ、調理されたものを食べるのは、いいもんだ。

いよいよロシアなんだなあ、と今更思う。だって、乗務員さんが中国人だから、まだなんか、中国のノリなのだ。

今日は結構、湯湯ちゃんと、色々マジ話にはなが咲く。ビールも入ってご機嫌だ。

例のチャイニーズポップスは、ほかに曲がないみたいで、列車に乗ってる間何回も聞いた。

列車内が、だんだん、kananagaの京都の家の雰囲気になってきたと湯湯は言う。kananagaは、自分のいるところを自分の空間にしちゃうくせがあるのだ。

夜、停車駅で降りたら、「あれ、この駅では演奏しないの~」と言われた、嬉しいじゃあないか!「夜だからね、また明日やるよ~」と返事した。

鉄道4日目。洗髪、とん平の絵

2007-09-29 | 海外ツアー制作旅行等滞在記
早朝、チェンさんは、krasnoyarskで降りていった。2ヶ月以上ここに滞在するんだって。仕事仲間が迎えにきていた。

時間感覚が、もう、相当ない。食う、寝る、絵を描く、作曲する、しゃべる、景色を撮影、なんか面白いことを撮影、そんな暮らし、退屈なんて、全然しない。

2人でも絵を描いた、巻物和紙に、今度は縦構図。モンゴルのときは、青木が気になって集中力に欠けていたかもしれないが、今回は、なかなかに意志の疎通がはかれているようだ。

ジョスは、我々がしょっちゅう食してる味噌スープが気になってしかたがないようで、においがすると、「OH!MISO!!」と言ったりする。「味噌好き?」と聞くと「いいや~」というが、ちょっと気にしすぎだろう、見るからに、関心ありありだ。ジョスとはどんどん仲良くなってきて、徐々に、ジョスの変なところというか、やんちゃな部分が見えてくる。

それから、2階のジョスと湯湯は、よく、変な言語の組み合わせで話すようになってくる。ジョスによると、湯湯とkananagaが日本語で話しているのは、まるでフランス語のように聞こえるのだそうな。湯湯といて、kananagaも関西弁が上達してるんだろうし、たぶん、関西弁がフランス語的に聞こえてるんじゃないかと思われる。というわけで、湯湯がジョスに日本語で話しかけると、ジョスはフランス語で返事をする、という、なんとも変な状態になってきた。それでも、意外と会話が成立してるもんだから、もうわけがわからない。会話に、言葉そのものは殆どいらないんだろうなあ。

さて、4日目ともなると、さすがに頭がかゆい、だいぶかゆい、kananagaは、代謝がいいからねえ、そろそろ、嫌ーな感じだ。そうそう、指の先端、爪の間とかもすごく汚れてきてて、なんとかならんかなー、と思っていたところ。トイレのうんと小さいシンクの水で無理矢理頭洗ったりしてるひともいるみたいだけど、揺れるし、それは嫌だなあ。というわけで、kananagaは別の作戦に出た。各部屋に、金属でできた果物皿みたいなやつが置いてある。カップに熱湯をくんできて、皿にそそぎ、それを冷まして、シャンプー無しでお湯で洗髪だ。まだ湯が熱いうちは、上に顔を持ってきて、エステだエステ。部屋のテーブルで皿に垂直に頭を突っ込むkananagaの姿は、たぶん結構おかしい、映像にとれてます。あと、お湯にてぬぐいをひたして、身体を拭いたり、湯湯ちゃんが持ってきたアルミ箔の皿にお湯をそそいで足湯したり、生活の知恵満載だ。ちょうどジョスがほかの部屋に遊びに行ってたし、かなりのびのびリラクゼーションタイムをとれた。それにしても、お湯はいいねえ~。指先の汚れは、ちょっとは落ちたけど、でも結構残っている、うーむ。

洗髪が終わって、冷めたお湯の入った果物皿をもって、お湯をくんだりするところに捨てにいくと、とん平に会った。お湯の入った果物皿を見て、「一体何をして遊んでんの?」みたいな感じで苦笑いをして、首をひねる。とん平のそういう笑顔は、とってもとってもキュートだ。

ロシア国境での6ルーブルのお礼に、我々は、とん平の似顔絵を描くことにしていた。だから、チャンスをうかがっては、とん平の顔を見にいったり、ビデオにおさめられないかな、とウロウロしたり。でも、なかなか、特徴をつかみきれない。我々が描いているところを、ジョスがのぞく。あれこれ描いてるうちに、おお、これならいけるか、という指針になる絵が描けた。更にあれこれ言い合っているうちに、一枚の紙にいくつものとん平が出てきたらいいのではないか、ということになった。というわけで、ジョスも参加で、3人でいっせいにお絵描きタイムだ!

ジョスの絵が、メチャメチャよかった!玄人が、かなりの確率でとりこぼしてしまうような大切な部分を、フルに持っている、感激だ!ジョス先生!ジョスのとん平の絵もよかったんだけど、もっとすごかったのがある。描いたひと3人の似顔絵も描いておこうよ、ということになったんだけど、そのときジョスが描いてくれたkananagaの似顔絵(写真)が、すごい。。。なんべん見ても笑けてくる、湯湯いわく、kananaga本人よりももっとkananagaを表しているという。

とん平の歌も完成させて、裏に楽譜を書いた。あと、明日には、けんさんと赤鼻さんのも作ろう、ということになった。列車の中で鍵ハモ練習すると、青木が怒るかもしれないので、停車時間の長い駅でホームにおりて練習しよう、などの計画も立ってくる。列車を降りるまで、もうそんなに間もない。なかなか忙しくなってきたぞー。

鉄道3日目。バイカル湖、ファミリー

2007-09-28 | 海外ツアー制作旅行等滞在記
現地時間に関係ないモスクワ時間の始まり。時間が、ほんとによくわからなくなってくる。乾燥は続く、毎日、鼻うがいだ!

午前中、バイカル湖に出た!で、でかいーー!海だよ、これ。完全な、完璧な水平線を見た。今までに完全な水平線は、どうだったかな、もしかして見たことあるかもしれないけど。でも、湖でだよ~、これ。大陸は、いちいち規模が違うなあ。バイカル湖を眺めながらのごはん、素晴らしい。

今日は、チェンさんとジョスと相当おしゃべりした。寝て起きて、おしゃべり、また休んで、ああ、嬉しい、これだよ、これ!こういう風に自然にのんびりコミュニケーションとって、そこから作品つくりたかったの。

話の内容を、自分的にざっとメモ。ジョスの名前を漢字であて字にしてみた。如酢=like vinegar(笑)。kananagaが When I was children といい間違えて、「あ、間違えたごめん」と言ったら、みんな、kananagaが「大量の子どもたちだった頃」を想像して大笑いになった。ジョスは合気道をやっていた、kananagaは空手をやっていた、技の話をいっぱいする。チェンさんは太極拳。チェンさん、ツボ見つけるのうまい。中国の五行占いの本。日本の干支。日本の早口言葉を説明、それの後半を中国語に翻訳して言ってみると、かなりかっこいい。チェンさんがザクロを分けてくれて、ピクニック状態になる。ザクロって、ドラマチックな食べ物だ。果肉がポロポロ落ちそうになるので、その度にあたふたする、キャッキャする。湯湯とkananagaで一緒に描いた巻物状の絵を見てもらう。絵に即しながら、試しに、簡単な即席パフォーマンスしてみる。

夜、どこかの停車駅で、チェンさんが魚の燻製を仕入れてきてくれた、わー、ありがとう!kananagaはぺロッと食って、残った骨でちょっとした骨ダンス+「ウケケケ」という笑い声のパフォーマンス(これが後にジョスのツボにはまり、いっぱいマネされる)。チェンさんは、「ほらー、ジョスー、おいでー、おいでー」と、まるで猫を呼ぶかのように、上のベットにいるジョスを呼ぶ。うーん、なんか、チェンさん、みんなのお父さんみたいだ。ファミリーだ。ジョスは魚が苦手らしいので、狸寝入り気味。

チェンさんは明日の早朝、列車を降りる。とっても仲良くなれたので、湯湯とkananagaは名刺を渡した。すると、チェンさんも名刺をくれた。あれ?肩書きが、ひょっとしてとってもえらいひと?お茶は、仕事だそうな。で、なんか、公、という感じでやっている別のことがあるらしくて、名刺はそっちのほうのだった。森林保護に関する活動を行っているらしい。素敵だ。

チェンさんは突然、昨日見せてくれたお茶の聖人の絵を、我々2人にくれるといい出した。えー、そんな、だって、わざわざこんな大きいの(A3くらいかな、それを丸めたりせず)運んできたのに、いいよー、というが、「ギフト、ギフト」と言う。気持ちが、嬉しいよなあ、もう。ありがたく受け取ることにして、で、「じゃあ、私たちは絵を描くひとたちなので、日本に帰ってから、何か作品を送らせてもらうことにするね」と言うと。「えー、そんなの大変だからー、、、じゃあ、その絵はどう?」と、モンゴル通過時に描いた絵を指す。むむむ、、、こ、これは、さらさらっと描いたてきとーな絵ではある、が、この先まとめあげる作品の重要なパーツでもある。湯湯と相談して、やっぱり、日本から送らせてもらうことにした。

その後談笑を続けるうちに、なんとなく、じゃあ、チェンさんの家族の絵を、想像で描いて送るのでどうだろう、ということになってきた。チェンさんに、子どもや奥さんはどんなひと?とたずねる。すると、面白かったのが、奥さんのことを筆談で説明してくれるときに、最初に書いたのが、身長だったのだ!うーん、新鮮だ。。それから、体重(笑)。うわっ、奥さん超細!髪型とか、目、鼻、口の特徴、好きな食べ物とか、色々たずねた。よし、これで、想像で描いてみよう!

そのあとまた、お茶の話に。仕事っていうか、ほんとうにお茶が好きなんだなあ、と思う。すごくこだわりを持っている。お茶は毒を出す、という。あー、いいなー、お茶!kananaga、もし(25歳くらいから)アレルギーになってなかったら、きっと、中国茶にメチャメチャはまっていた気がする。飲めてた頃から、中国茶はとっても好きな味のものが多かったから。茶器もかわいいしね。

写真は、湯湯とジョスとチェンさん。

ちなみに、シベリア鉄道では、部屋の組み合わせをわざと男女混合にするらしい。湯湯ちゃんが子どもの頃に読んだシベリア鉄道の本にもそう書かれてあったらしいので、ずっとそうなんだ。たぶん、男だけとか女だけとかにするより、混ざってたほうが、むしろ生活秩序が保たれるからじゃないかなあ、と思われる。

鉄道2日目。モンゴル~ロシア、部屋替え、トイレ!

2007-09-27 | 海外ツアー制作旅行等滞在記
今日の日記は長い。

早朝、ふと目を覚ます。そういえば、朝5時頃停車するし、トイレに行っておこうと思った瞬間に、停車。。。なので、寝なおした。シベリア鉄道のトイレは、地上にそのまま流してしまうタイプのため、停車中は使えない(乗務員さんがその都度鍵をかけてしまう)。この、停車とトイレの兼ね合いが、結構重要なのだ。停車時間が3分のこともあれば、3時間のこともあるので、停車時間が長い駅の前には、トイレに行っておかないといけない。今日の夜なんて、5時間停車、なんていうクレイジーなのがある(ロシアとの国境ね)。なんて無理があるのだろう。でも、中国とモンゴルの国境手前では、駅のトイレに行けたし、まあ、なんとかなるんだろうな。30分くらいで動き出した。ふと、部屋の窓から外を見ると、、、見渡す限りの大平原になっていた!うわー!本物の地平線、初めて見た!大興奮!

るんるんで廊下に出て、大興奮どころか、しびれまくった!!つ、つ、月が、、、沈もうとしてる月が、、、ってーか、そ、空の色が、、なんともいえないピンクと群青のグラデーション、しかも大平原っすよ!!!と、と、溶ける。。昨日の日記にアップした写真がそれですわ!!あー、本物はもっといいのに!!即、湯湯ちゃんを起こす。朝起きるのがだいぶ苦手なひとだが、これは、起こさなければ一生後悔する。他のひとたちを起こしたら悪いので、ドアを閉め、なるべく静かに、無声音で感動を共有する。ビデオだ写真だ、大変だ!

しかし、感動はこれで終わらなかった。やがて、反対側から、あ、あ、朝日が!!(それが本日の写真っす。)しかも大平原っすよ!!まぶしい~~~。うへー、ここで降りたいよぉ~。しかし、こんなにほんとになんもないところ、ちょっとした家とかもパオとかもないところ、で、駅もないところ、今後また来たいとか思っても、どうやったら来れるんだか、見当もつかない。

さて、しばらくたった午前中、湿度計を見て驚いた(kananagaは、小さい温度&湿度計を持っていっていた)。へ?15%?日本でこんな数字みたことない。どおりで喉が痛いと思った。鼻の中はすすで真っ黒だ。窓閉めてるのに、入ってきてしまうのだ。

湯湯ちゃんは、最近になって、鼻うがいをマスターしたという。それをやってると、風邪とかも全然ひかないらしい。うらやましいので、kananagaもこの旅で教わって、鼻うがいをマスターしようと思っていた。でも、列車内は、揺れるし、難しそうだし、モスクワについてからにしようかと思っていた。が、あまりの乾燥ぶりに、この日挑戦することにしたのだ。

湯湯はマスターするのにすごく苦労したらしい。1回目は涙が止まらないほど痛くて、2回目も若干痛くて、3回目からやっと痛くなくなったらしい。が。kananagaは、割とすんなりできた。それは、耳鼻咽喉科経験のあるひととないひとで、えらく差があるらしい。kananagaは、小さい頃だいぶ耳鼻咽喉科にお世話になっていて、そういうひとは、鼻~副鼻腔~喉とかの通路が開通してるから、苦もなくできたりするんだそうな。おお、これは、顔の中味がしっかり潤う感じだなあ、ひじょうに気持ちがよい。

やり方は、文字だけで表すのは難しいけど。とにかく、できれば水道水じゃなくて浄水とかミネラルウォーター(つまり、きれいな水)で、塩を入れて塩水にする。真水や濃すぎる塩水だと、痛い。人間の体液と同じくらいの濃度にしたら一番痛くなくて、その濃度は、ひとによって微妙に違うらしい。塩を入れて、なめて確認する、自分に一番よい濃度を、味で覚えていく。まず、どちらかの鼻をおさえもう一方の鼻から一気に吸い込んで、副鼻腔を塩水でいっぱいにしてあふれさせ、喉に落ちてこさせる。それを、飲まないように気をつけて、出す。両方2~3回やったら、その塩水で喉のうがいを数回する。最後に、片目ずつ、目もあらう。目の下の骨の形に沿わせてコップをあてて、眼球がひたるようにし、数回まばたきする。以上。鼻と喉と目をうがいすると、耳もやりたくなってしまうなあ、でも、そんな方法は、知らない。ちなみに、副鼻腔に水が残ることがあって、しばらくして突然落ちてくることがある。なので、鼻うがいのあとは、ティッシュを持ち歩いたほうがいい。

列車が進むうち、湿度は10%をきる。お昼頃、もう数時間でウランバートルだなー、という頃、地形がどんどん変わってきた。起伏が出てきて、丘とかが連なる感じになってきた。それでいて、さっきは草があったけど、砂漠っぽくなってきていた。

となりの部屋の、モンゴル人で北京在住のガンバートルさんと、昨日今日結構おしゃべりした。なんか会うひと会うひと、ほんのちょっとの、とはいえ、挨拶だけにとどまらない日本語が話せたりして、いちいち驚かされていたのだけど、このガンバートルさんは、群をぬいて日本語がだいぶしゃべれる。kananagaの英語と、ガンバートルさんの日本語が、とんとんくらいかもしれない(ガンバートルさんの英語は、もちろんもっとうまい)。なので、主に日本語でおしゃべり。北京で大学の先生をしていて、ウランバートルに1週間程里帰りだそうな。同室のファンさんは、仕事で、北京とウランバートルをなんべんも行き来してるらしい。

ウランバートルで、ファンさんとガンバートルさんは、降りていった。ウランバートルは、かなり都会だ、ビルがいっぱい。ウランバートルのまわりは、ベッドタウン、ってな感じだった。若干丘っぽい、でも砂漠ではなく草が復活してきた地形にだんだんパオが見えてきて、それから家が増えてきて、そしてビルになる(ウランバートルを離れるときは、逆の順で平原に戻った。でも、今朝見たような完全な平原は、もう出てこなかった)。

ちょっと、街に出てみる。おおー、初・モンゴルの地を踏んだ。外の店でドルが使えて、水を買えた。乗務員さんたちは、我々がどこか行こうとすると、「あまり遠くにいくなよ!」と、心配そうな顔をする。そんなに遠くにいける度胸はないよー。

そのあと、2人別々に絵を描いていたんだけど、それぞれ、今朝の月と平原の絵を一生懸命描いていて、笑えた。本当に強烈だったからね。うーん、それにしても、マーカーがうまく使えない。一応簡単な水彩絵の具セットを持ってきてはいるんだけど、こういう共同生活の場でそういうセットを出すことは、なんともはばかられるし、列車ではマーカーだけでやりすごすことにした。う、慣れないなー。巻物状の和紙に、共同の絵も描き始める。

そうこうしていた午後3~4時頃、突然、景色が変わった!川が!森が!えー!もうロシア風?でもこのあと、もう一度丘な感じの平原に戻ったりするんだけど。モンゴルって、色んな顔を持ってるなあ。今、南から北へ、ぐんぐん緯度が変化してるから、景色がどんどん変わっていくんだろうな、きっと。たぶん、ロシアに入ってからは、そんなに激しい変化はないだろうと、ガイドブックとかからも推測される。

そうそう、湿度は、0%をも超えてついにマイナスをさすようになった。湿度がマイナスって、どんなんだよ!とにかく外は、カーッと晴れている。昨日の夜は、車内でも一旦12℃まで気温がさがっていたけど、今もう暑いくらい。25℃くらいあったんじゃないかなあ。でも、湿度がマイナスなので、全然平気な感じだ。

風景の中に親子がいた、子どもが手を振ってくれる、なんてかわいいんだ!

モンゴルに入ると、食券制度はない。毎回食堂に行ってたら、お金がかかってしょうがないだろうからあまり行けない。湯湯ちゃんがたくさん食べ物を持ってきてくれたし、kananagaも乾燥スープみたいのいっぱい持ってるし、車内では、熱湯はいくらでももらえるので、結構豊かな食生活だ。例えば、中国のインスタントラーメンは、思った以上に具が少なかったが、しそひじきをいれたり、味付け卵をいれたり、あと、にぼしなんかも大活躍した。スープにちょっといれたりすると、一気に豪華になる。今回はなかったけど、乾燥ワカメもあったらよかったなあ。乾燥ごはんも、よかった。重さ的に、やはりなるべく乾燥ものでしょう。それと、ミューズリー(通称ムスリ)を、ミルクなしで乾いたままぽりぽりたべるのが、とてもよかった。ムスリは、重いけどね、でも、大活躍だった。湯湯が中国で買ったチョコレートは、とてもまずかった。脂肪分が多すぎる感じ、なんか、バター食べてるみたいなのだ。でも、なにかいるときがあるかもしれないので、飾っておくことにした。

ところで、それにしても、同室のブルースさんなんだけど、今朝から一言も口をきかない。頭痛もひどいようで、ずっと不機嫌な顔でうずくまっている。たぶん、頭痛もあるんだろうけど、恐らく、かなり浮き沈みの激しいひとなんじゃないかと思われる。昨日が、あげすぎて、今日、どーんと落ちているんじゃないかな。んで、他のひとがいるとダメなんじゃないのかな。しかも頭痛もあるし。我々は、あいさつとかしても無視され続けた(ファンさんにも、そうだった)。頭が痛そうだしなるべく静かにしててあげようとするが、それにしても、うーん、居心地悪いなあ、気ぃ使うなあ。このひと、ほんとに、なんでこの電車に乗ったんだろう、しかも2等。こんなに神経質だったり、身体弱かったりするのに、薬をもつとか、そういう対策も何もない。かなりワケありな感じがする。

このあたりから我々は、ブルースさんに、「青木」というあだ名をつけていた(全国の青木さん、すみません~)。彼の様子があまりにもな感じになってきていたので、2人の間で彼の話をしないわけにもいかず、でも、名前とか聞こえたら気にすると思って、そのようにしていた。で、いくらなんでもこんなに頭痛が長引いてては、一度降りて病院に行ったりしたほうがいいんじゃないか、とか、なんとか乗務員さんに言ってあげたほうがいいのかなあ、とか思ったりしていた。そんなん、大人なんだから、自分で言うべきだと思うものの。だって、自分で立てるんだし、それに、ちゃんと頼んでくれれば動いてあげるのに。英語が乗務員さんたちに通じないから、と思うんなら、英語のできる中国人のひと、そう、ファンさんに頼んで言ってもらえばよかったのだ。でも彼はそれをしようともしない。なんていうか、様々な行動や初日の会話から、青木に、アジア人やロシア人蔑視も感じられる気がしていたkananagaであった。

夕方、事件は起きた。乗務員さんたちのご飯タイムに、乗務員さんが突然、車内に響き渡るしっかりした音量で、有線をかけたのだ!その曲は、チャイニーズポップスといった感じのご機嫌な曲で、あまりに突然なのと、曲の感じと、タイミングで、廊下に出ていた我々やほかの乗客が、いっせいに笑ったのだ。だって、ほんと、おかしかったんだもん、やな感じでもないし。乗務員さんたち、こういうの好きなんだー、クスクス、みたいな、あったかい感じで。で、そのあと部屋に戻ったら、青木が突然、般若のような顔をして、「おまえらがかけとるんかー!」と怒ってきたのだ。え、え、えー!!何言ってんの?濡れ衣もはなはだしい!「乗務員さんだよー!」と言うと、ここには書けないような汚い言葉を吐き出して怒り続ける。濡れ衣をきせたことを謝りもしない、音が嫌なら自分で文句を言いに行けばいいのにそれもしない、もう、kananagaは、あきれ果ててしまった。このひとを相手にしてたら旅が台無しになるので、もう気にしたらん、放置じゃ!

しかし、放置できないことが起こる。その後、kananagaと湯湯がベットの下と上とで、ひと言もしゃべらずに別々に作業していると、突然青木がkananagaに話しかけて来た。「私はひどい頭痛で、~~の必要がある。それで~~~」と早口に言う。ああ、ついに助け船を要求してきたか、と思い、「ん、なに?頭痛がひどいのはわかった、何が必要か、聞き取れなかったから、もう一回言って」と聞き返した。すると青木は、「は?一体何の話をしているんだ?」と、般若顔で言う。???自分から話しかけてきたくせに、、、「いや、だから、頭痛がしてるのはわかった、そのあとをもう一回言って」ともう一度言っても、「何の話をしているんだ!」の一点張り。ひょっとして、頭痛で譫妄状態か??とにかく、もう、限界、やばい、何かしないと、何かが起こってしまいそうな恐怖感が襲ってきた。とりあえずその場を、「いや、なんでもない」と言っておさめ、湯湯ちゃんに声をかけた。実はkananaga、英語がほとんどできない乗務員さんになんとかして青木のことを伝えなくてはと思い、なるべくシンプルに、どういうことを言うのが一番いいか、紙に書いて考えている最中だったのだ。すると、湯湯ちゃんも同じで、わずかな旅の中国語会話を駆使して、部屋を替えてもらう交渉をする算段に入っていた。すると青木が般若のままもうひと言。「私の願いはただひとつだ、電気を消して欲しいんだ」と言う。しゃーない、と思い、「いいよ」と言って部屋全体の電気を消すと、個人用にそれぞれついている読書灯まで消してほしいというのだ。まだ、日没を終えたばっかりだよ!おい!さすがに切れてきて、このときたぶん、ひきつり顔で思い切りにらんだと思う(きっと、このときほどの恐い顔をしたのは、15年ぶりくらいだ)。でも、もう、ぶっきらぼうに「OK」と言って消そうとすると「あー、待ってくれ、用事が終わってからでいいんだ、終わってからで」と言い出す。「いいよ、もう廊下のほうがよっぽど居心地いいよ!」と言いかけたが、逆らうのが恐いところまできていたので、(用事が終わるとかそういう問題でもないが)ちょっとしてから、電気を消して退出。

無理です、限界です、このままいたら、旅が台無しになるだけでは済まないかもしれない。2人とも、彼に刺されるんじゃないか、くらいまでの想像をしていた。一刻も早いほうがいい。で、意を決して、乗務員さんたちに直談判。片言の中国語と、身振り手振りで。ひと言めには、「ああ、ダメダメ」と言われたが、あのおっちゃんがわーわー言うてくるの~、ともういっぺん訴えたら、割とすんなりわかってくれて、「ああ、あのおっちゃんかー」みたいな感じだった。乗務員さんは、乗ってるひとのことある程度見てるので、どのひとかわかったら、納得してくれたみたい。女性2人だしね。それに、ほっといたらそのほうが問題がおきそうなことを察してくれたのだろう。すぐとなりの部屋のベットが2つ空いていたので、「ここに引っ越してきてもいい?」と部屋のひとに聞くと、2人はすんなりOKしてくれた!やったー!!

そうなれば善は急げ!真っ暗な部屋のまま、青木が寝てるうちに、なるべく静かに、全ての荷物を運び出したのだ。部屋を空にしてから、青木に声をかける。部屋を移動したことでまたなんか言われたらやだなーと思いながら。「私らとなりに移動させてもらったから、ゆっくり寝なはれ」と言うと青木は「おー、それはクレバーだ!すばらしい!」とぬけぬけとのたもうた。。。呆れたけど、もう怒る気はしない、だって、解放されたのだから!やったー!!新しい部屋の前の廊下で、大っぴらにガッツポーズをする湯湯とkananaga。乗務員さん一同それを目撃していたので、気持ちや状況はきっと伝わったことだろう。そして、乗務員さんたちに、謝謝、謝謝を多発。それと、湯湯ちゃんにもだいぶ感謝。湯湯ちゃんのほうが、嫌なことを我慢しないひとだから(彼女のそういう部分、学ぶことが多い。ほかにも、色々あるけど)。kananagaだけだったら、だぶんもう少し長引いた。kananagaよ、偽善者禁止、我慢は禁物だ。そんなことは、結局状況を悪くするだけだ。

でも、kananagaもだけど、とりわけ湯湯ちゃんが、ちょっと落ち込んでいた。「私らが悪かったんかなー」と。でも、ファンさんとは全然うまく楽しくしてたんだし、私らのせいではなかろう。とはいえ、こころよく迎えてくれた新ルームメイトに嫌な思いをさせないよう、ペースを乱させないよう、気をつけよう、と思った。

さて、この日はこれでもまだ終わらない。この日は、夜中にモンゴル出国&ロシア入国。青木騒動のせいで、トイレコントロールに気持ちを向けられないまま、ナウシキ駅5時間停車を迎えてしまったのだ!ぎゃー!駅につく直前トイレに行こうとしたら、目の前で鍵をかけられてしまう、NO~~~。まだしばらくは大丈夫、でも、5時間は絶対無理です。

ロシアの人の仕事は遅い、知ってる、10年前に、モスクワとサンクトペテルブルグに行ったことがあるから。それから、無駄に物々しい、それも知ってる。一種のプレイですな、これは。驚いたことに、ロシアの軍人さんの、一体いつの時代?という感じの雰囲気が、時間がとまったかのように、10年前と変わらない。それと、ひとりの女性の軍人さんの、天井付近の物入れのチェックの仕方が、ある意味パフォーマンスとして見ごたえのあるもので、なんていうか、自己顕示欲が丸見えで、すごかった(詳しく知りたい方は直接おたずねください)。チェックそのものは全然丁寧ではなく、何が目的なのかよくわからなくなってくる。

乗務員さんは、停車中はトイレはダメ!の一点張りだったので(そりゃ、駅が汚れちゃうからね)、ロシア人の、話をわかってくれそうな女性の軍人さんに、(駅の)トイレはいつ行けるのか聞いてみた。すると、「OK,パスポートコントロールが済むまで、待って」と言う。約束してくれたのはいいが、パスポートは、なかなか帰ってこなかった。ああ、遅い、仕事、遅いよ~。やっとパスポートが帰ってきて、外に出る、駅のトイレに急ぐ。でも、ここからもうひと波乱ある!

トイレは、有料だった。トイレの入り口に管理してるおばちゃんがいて、「6ルーブルです」と言う。え、そんなこと言ったって、ルーブルはロシア国内でしか両替できないし、今入国したとこだし、持ってるわけないじゃん、と思って、「ドルでいい?」ときくと、答えは「ニェート(NO)」!。。。嘘だろ?Oh!It's so Russia!!無茶苦茶だ!!

なんべん言ってもダメと言われ、途方にくれる。。。どうしようと思って外に出ると、乗務員さんが、「あれ?あんたらどうしたん、あそこがトイレやでー」みたいに言う。そのひとに事情を説明して、「6ルーブルないと入れないって言うんだよー!」と泣きつく。すると彼は「ドル持ってないの?」というので「ドルはダメって言われた~~」と更に説明。これには彼も「はあ~、なんじゃそりゃ~」という顔をしていた(今思うと、お互いの言葉殆どわからないはずなのに、結構会話してるなあ)。すると彼は電車に戻り、しばらくすると、奥から自分の手持ちの小銭を持ってきてくれたのだ!!「ほら、使いなよ」って感じで、2人分、12ルーブル!わー!ありがとう~!とりあえず、トイレに走り、「ほらよ、6ルーブル!」とトイレのおばちゃんに言って、中へかけこむ、あー、助かった!しかし、6ルーブルもとるくせにトイレットペーパーも入ってないとは、あこぎな。。。

ぶっきらぼうな感じだが、実は非常にやさしい、また、掃除とか、車内温度管理とか、仕事もしっかりしてくれている、中国人の乗務員さんたちのことが、だんだん見えてくる。うーん、どうやってお礼しよ。ちなみに湯湯ちゃんはこのあと、3人の乗務員さんに勝手に愛称をつけ、我々は彼らのことを愛しげにその名で呼ぶようになる。6ルーブル貸してくれたお腹のぽっこり出てる一番若いひとは、とん平。いつもしぶい感じで高倉健さん風のひとは、けんさん。なぜか鼻の頭が漫画みたいにいつも赤いひとは、赤鼻さん。

新たなルームメイトたちも、すごくいい感じのひとたちだ。ひとりは中国人の40代後半の男性で、チェンさん。もうひとりは、身長198cm22歳のドイツ人の男の子、ジョスくん(いつもベッドからはみ出して寝ていた)。チェンさんは、英語は殆どしゃべれない。ジョスは、中国語はしゃべれない。それでも、2人はすでにすごくいい感じだった。

チェンさんは、お茶の仕事をしているらしく、おいしいお茶っ葉を、ジョスや湯湯に何べんも分けてくれる(kananagaは、アレルギーでお茶が飲めない、しょぼーん、いい香りだったなあ)。我々とチェンさんのやりとりは、漢字による筆談と身振りが殆どで、英語はほんのちょっと。チェンさんは、我々が絵を描くひとだということがわかると、お茶の葉のアップのきれいな写真と、お茶の聖人のかけじく風の絵を持っていたのを見せてくれた。あと、kananagaがアレルギーだ、というと、「それは中国では寒胃というのだと思う」と言って、漢方のぬりぐすりを7包みもくれた。チェンさんは、みんなにやさしい、とってもとってもやさしい。乗務員さんとも、他の部屋の乗客のひととも、楽しくいっぱいお話する。たぶん、ひとと、ひとが喜んでくれること、を、するのが、大好きなんじゃないかな。こんなひと、いるんだなあ。

ジョスとは、英語ですんなりコミュニケーションがとれる。今までも廊下で会って軽くあいさつくらいはしてたんだけど、でもジョスは、いつもひとりでずっとMDを聞いているし、すごくシャイなひとなのかな、と思っていた。話始めてみると、そうでもない、きさくだ(モスクワまでの間で、実はかなりおもろいひとなことがだんだんわかってくるんだけど)。

それにしても、先のトイレ騒動のおかげで、新しい部屋のひとたちと早くにうちとけられた気がする(結構笑いをとっていたので)。ケガの功名?ちょっと違うか。それにしても、疲れたー、クタクタだー、寝る。列車のタイムテーブルは、今夜から、現地時間とは関係なく、モスクワ時間で走行する。

鉄道1日目。中国~モンゴル、すごい荷物

2007-09-26 | 海外ツアー制作旅行等滞在記
朝6時半、箱入り朝ご飯セットをロビーで受け取って北京駅へ。シベリア鉄道の本流は、ウラジオストックとかナホトカとかハバロフスクのほうから出るやつなんだけど、北京からの支流みたいなのもある。せっかくなので、中国とモンゴルも通ってくれる、そっちのルートで行くことにしたのだった。

出発時間の1時間前には行ったほうがよい、と、旅行手配会社のひとに言われていたので、そのとおりに。ほんとに、そのとおりにしてよかった、ものすごくとまどうことになった。

シベリア鉄道に乗るひとの列を見つけたので、そこに並ぶ、ほ。しかし、なんだか、、、見た感じ茶色っぽい、というか、かなりほこりっぽいひとびとが、茶色っぽくてほこりっぽい大量の荷物を大きな台車に抱えて、そこに並んでいる。え、ひょっとして、これ、列車で運んじゃうの?見た感じ、それぞれ軽トラで運ぶほどの量なんですけど。。

そのあと、なんだか大きな門が開かれて、その大量の荷物を持った大量のひとたちが、わ~~っと中へ入り、なんだか電気もついてない真っ暗な広いところにたまっている。わけもわからずその輪の中へ。しかし、ちょっと冷静になって見てみると、ここにいるのは、大量の荷物の検査を受けなければならないひとたちばっかりいるようで、我々は明らかに浮いている。ちょっと横の電気のついているほうを見ると、荷物主流、ではなく、人間が乗る、という感じのひとたちと、検査が終わったらしい大量荷物のひとが、混濁して並んでいる。少々殺気立ったものを感じる空間。え、まさか、これ指定じゃないの?という疑いが出てくる。し、指定、だと思うんだけど。。。中国語のチケットの読み方がイマイチわからず、かなり困惑するも、とにかくその列に並ぶ。もし自由席だったら、、、あの大量荷物群に、席をすべて奪われてしまいそうだ(ヨーロッパの列車で、席とり合戦に負けて廊下の椅子で長時間過ごしたこと、昔あったなあ)。

しばらくして、今度は、かなり小さい門が開き、そこへ、大量荷物のひとたちもろとも、わ~~っとプラットホームへ入場。台車に乗った荷物が大きすぎて門を通れず、一旦脇によけるひとまでいる。も、もみくちゃだ、なんて激しいんだ!しかし、負けてはいられない~~、前へ進めえ~~!!中へ入ると、おお~、なんてでかいホームだ!あわわ、席がなかったら大変だー!と思って、駆け込み、とにかく駅員さんにチケットを見せる。すると、ちゃんと指定席だった。。。あー、よかったー。

あとからなんとなく、たぶんそうかな、と思ったことなんだけど、どうやらこの電車には、種類というか、区別があるみたい。我々が乗るのは2等で4人部屋で、指定席。1等は2人部屋で、もちろん指定席で、シャワー付(でも、1等に乗ってたオランダ人のおじさんたちが、お湯がでないんだったか、水がでないんだったかで、結局使えないんだと言っていた)。で、あと、3等にあたるところがあるようなのだ。電車内で迷ってしまったとき、乗務員さんに呼び止められて「なに、こんなとこ来ちゃダメだよ、あっちだよ!」みたいな感じで言われたことがある。1等の車両を通るのには何も文句言われないけど、食堂車をはさんだ反対側の、恐らく3等にあたるほうに入ろうとしたら、えらい剣幕でとめられたりした。3等にあたるところが指定なのかどうかは、わからない。で、そこはたぶん、日本人は乗れないのかも。ちなみに、シベリア鉄道とは、そもそも貨物列車らしい。でも、あの大量荷物のわーっとしたひとたちは、それぞれ個人で買い付けたものを持ち帰るために、場所とりをしていたのかなあ、と思った。中国語が話せないので、乗務員さんに、こういうややこしいことをたずねることができず、未確認。また、改めて今度調べたり聞いたりしてみたい。

ちなみにこの旅、ちょこちょこビデオに撮ってるんだけど、初日や、大量荷物わー!のところは、撮影できなかった。うおー、もったいない!めちゃくちゃ強烈だったのに。でも、あの状況でビデオカメラを出す勇気は、なかった。どこかで泥棒が見てて、狙われるんじゃないか、という恐怖感も結構あったし。

ともあれ、部屋へ。乗務員さんは各車両ごとに3~4人いて、そこの乗客のことを把握しており、みんな中国人。同室のひとはアメリカ人のおじさんで、ブルースさん、モスクワまで。英語なので、それほど苦もなくコミュニケーションがとれる。でも、なんていうんだろ、例えば、kananagaが「ここに荷物置いてもいい?」とたずねると、「もっちろん、いいに決まっているー!私はこの部屋のボスではないのだからー!」と言ったり、「食べ物はたくさんあるから、お腹がすいたらいつでも言っておくれー!」とか、いいひとなのかもしれないが、過剰にフレンドリーで、このひとと5泊かー、ちょっと疲れるかもなー、と思った。もうひとり同室のひとがいて、ファンさんという、聡明そうでにこやかな中国人のひと。ファンさんは、電気関係のビジネスのために、ウランバートルまでだそうな。ファンさんはあまり英語が得意ではないが、似たような英語力で、色々お話する。

乗客全員に、昼食と夕食の食券が配られた。お~、It's so 中国!ありがたや~。でも、メニューを選べない。kananagaは普段、魚までは食べて、鶏肉や獣肉は食べないベジタリアンだが、むむ、列車内ではある程度折り合いをつけていかないといけないかなあ。なるべく、せめて鶏まででなんとかしたいところ。。。

昼間っから寝る、ぜいたくぅ~。まだ、日本での疲れをとるのが続いてる感じ。眠る、起きる、ご飯、その合間合間に、アイディアをメモる、作品のことを話す。1曲できる、「ホタテばばあ」の歌。「ホタテばばあ」とは。「ホホホ美人とエビフライくん」を観てくれた湯湯の友人が、「このあいだのあれ、面白かったですよー、なんだっけ、あの、ホタテばばあ!」と思い違いしてくれたことで生まれた新キャラで、でも、どういう人物なのかはまだわからない。この旅で、キャラが膨らんでいくのかもしれないし、そうでもないのかもしれないし。

夕飯時に食堂車へ行ったとき、オランダ人のおじさん2人と同席になり、楽しくおしゃべりする。紙芝居の話もする。2003年にフローニンゲンジャズフェスティバルで演奏したよー、という話をすると、そのフェスを知っていた。2人はデザイナーさんらしい。ご飯食べ終わって戻ろうとすると「まだ、いたら?ビールおごったげるよ」と言うので、「あ、じゃあ、もうちょっといようかな。でも、いいよ、自分で買うよ、中国元使いきりたいし」と言ったら、「僕らも使いきりたいんだよ、みんなそうだよね」と言う。もうじき出国だもんね。結局おごってもらっちゃった。

そうこうしてるうちに「ハイハイ!もう、閉店だよ!終了だよ!」と食堂車の中国人のおっちゃんが言う。でも、「ビールください~」と言うと、開店になるのが、おかしい。ビールを飲みつないで居座る客がいるところで、床のカーペットを堂々と丸め始めるが、でも、ビールを頼む客はいてよいのだ。となりのテーブルでも、4人のひとが盛り上がっている。アメリカ在住のモンゴル人の若者が、少しの日本語と少しの日本語の歌を、披露してくれる(歌は、何の歌か全然わからなかった)。

にこやかにワイワイ話していたんだけど、途中から雲行きが怪しくなってくる。どうやら、「紙芝居は日本独特で伝統的なメディアで、我々はそれをオリジナルで色々新しい方向でやっている」というような話をしたことに対して、気に入らなかったようだ。女性(なんか)がそういう伝統的なことをやっているということが、どうなの?みたいな。紙芝居の説明がうまくいってなかったな、伝統ってほどの伝統でもないし、全然大衆的だし、うーん、ほかの国に殆どないもんだから、説明が難しい、と思うものの、それにしても、ひえー、文化とか習慣とか、ある意味カルチャーショックだ。そんなことを言われるとは、全く予想だにしない方向からパンチが飛んできた感じだ。でも、別に、国がそうなのではないかもしれない、たまたまこの人が、そういう考え方なのかもしれない。オランダ人のおっちゃん2人は、「女性がやってて何が悪いんだ!そんなことを言うのはおかしい!」と言うてくれているようだ。うーん、英語が速くて、当事者がいまいち輪に入れない。若干険悪になるも、まあまあ、みたいにおさめにかかる。もうちょっと英語うまかったらなあ、きっちり説明しきって、言いたいこと言っておさめたかった。

夜、国境直前の街で数時間停車。国が変わるとレールが変わるので、車輪とかを交換しなければならないらしい。で、列車を降りてお買い物。トイレットペーパーをもうちょい補充、それと、インスタントラーメンの海鮮のやつを買ってみた。

ファンさんが駅の外に出るというので、ついて行っていい?と言って一緒に行こうとしたら、駅のひとに「中国人しか出ちゃダメ!」と静止されてしまった。ええ~、なんでだよぉ~、出てみたかったよぉ~。仕方がないので、駅の中で、残りの中国元でお土産を物色。2階の一部がバーのようになっていて、そこにあのオランダ人のおっちゃんたちがいて、また飲んでいた。お酒、好きだねえ。で、一緒にまた飲む。普段殆ど酒を飲まないkananagaだが、幸い全然悪酔いしない。疲れてなければ、あんまり悪酔いしないのかもなあ。とりわけ旅において酒は、重要なコミュニケーションツールのひとつなんだなと思う。ちなみにファンさんは、外でラーメンを食べてきたらしい。

同室のブルースさんはなんか頭痛がするらしくこの数時間の間ずっと列車内にいたらしいんだけど、車輪の交換がうるさくて全く眠れなかったらしい。初日から頭痛なんて、大変そうだなあ。ホメオパシーのレメディならあるよ、とか、肩もんだげようか、とか言うんだけど、「いやいや、いい、大丈夫だ」と言う。そう言われちゃうと、何もできないし、ほっておくしかないなあ。っていうか、同室の者としては、気ぃ使うじゃないかー。でも、こんな神経細くて、身体強くなさそうで、なんでこのひとこの列車に乗ったんだろう、という疑問がわいてくる。飛行機にすればいいのに。せめて1等に乗るとか。謎の多い人物だ。

入国審査もあったし、なんだかんだ、1時をまわってから寝た。

写真は、この翌日の朝の、沈もうとしてる月。なんなんですか、この空の色は!本物は、もっとすごかった。

北京入り

2007-09-25 | 海外ツアー制作旅行等滞在記
1時間程の仮眠後、MKスカイゲイトシャトルで関空へ。MKスカイゲイトシャトルって、家まで迎えに来てくれるから、ほんとありがたい。kananagaも坪井湯湯も共に、直前までバタバタしててかなり打ち合わせできず、でも、なんとかなるだろう~。

湯湯ちゃんの荷物は、山用のごついリュックで、半分くらいは、食べ物なのだと言う。kananagaは、むしろ食べ物が少ない。でも、「物」は多い。京都に「物集女(もずめ)」というところがあって、そんなのまさにkananagaを表したような地名だなあ、と思っていたが(そして、それを指摘したのは湯湯だったが)、湯湯は違うタイプの物集女だった。ちなみにkananagaは、だいぶ荷物を減らして頑張った、ふだん使っている、黒のライトなコロコロ、スーツケースっていうのじゃないやつ、プラス、ふだんリュック。この重量なら、kananagaが国内で運んでる荷物レベルの中でも真ん中へんくらいだし、きっと健やかな旅になることだろう。

空港で、航空券を見せて何人かのひとにチェックインカウンターはどこかたずねたが、マニアックな買い方をしたチケットなので、一様に「ん?」という顔をされ、みな、チケットにしばし見入る。なんだっけ、確か、海南航空、という、JALと提携してるとこ。

機内で爆睡、4時間くらいだったかな。ベジタリアンミールがどんな味だったか、眠すぎて記憶にない。30分遅れで出発したが、予定時刻に到着。

飛行機を降りてすぐは、別の国に来た感じがしなかったけど、空港のチェックはいい感じにいい加減で、その辺から外国に来た感じがしてくる。北京駅までのバスはすぐ見つかった、16元。中国のひとって、怒っているわけではないんだと思うんだけど、無愛想でけたたましい、という印象。バスの運転手さんが、なんべんも、けたたましくクラクションを鳴らす。まちの音は、工事のグラインダーの音までもが、忙しい感じがする。信号を渡るのがものすごく大変、なにしろ、車が優先で、信号のある横断歩道が、青なのに、右左折の車がひとを無視してがんがん曲がってくる。バスまでもが勢いよく構わず曲がってくるので、こちらがよけなければ間違いなくひかれる。

北京宝辰飯店(ホテル)について、ホッとひと息。まずは、明日からのシベリア鉄道のチケットを受け取らないと。ロビーで、チケットをくれ、というと、それはべつの場所(ホテル)だと言われ、なんか変だな、と思いつつも、行ってみる。その別の場所で、いや、違う、さっきのとこだ、と言われ、また戻る、あうー。戻ったら、ロビーのひとりの女性スタッフは非常に高慢な対応でカチンときたが、別の若い女性スタッフが、きちんと「ごめんなさいね、、、(英語)」と言ってくれて、ま、いいか、と思えた。

さて、無事チケットも受け取れたし、極度の空腹を満たすべく、まちへ。湯湯情報、6年くらい中国に住んでいた友人によると、北京の食べ物は基本的にまずいのだという。ああ、なんとか、いいものにありつきたいが、期待しすぎてはいけない。

夕方の中途半端な時間帯で、探すのにちょっと苦労したが「台湾美食」と書かれた店に入る。一見ファーストフードのような内装で、カウンターのみ。すべての席の前に、一人用の鍋をズボッと置くところがある。どうやら、好きな具材を注文して、クコやナツメグや薬草ダシ入り鍋でゆでて、ピーナッツみそにつけて食べるらしい。お店のスタッフは英語が全く話せず、我々は中国語が全く話せず、でも、英語のメニューがあって、なんとか注文できた。香菜!kananagaの大好きな!を頼んだら、まるで春菊とかほうれん草みたいにたっぷり出てきた(写真。緑の束が、全部香菜。一人用鍋も写ってる)!うはー、天国!おいしいなあ!こんなたっぷり香菜食べてもいいの~。厚めのレンコン、えびの練り物、豆の麺など、たらふく。よかった、おいしいものがあった。

ご飯後、ホテルで仮眠、と思ったら、そのまま朝まで寝てしまった。日本での疲れを、まずとっているんだな。

作品制作旅行に行ってきます

2007-09-24 | 日記
明日、9月25日から10月12日まで、美術家の坪井湯湯と2人で、作品制作旅行に行ってきます。ずっと移動してるので、日記の更新は、早くて10月頭、もしかしたら、10月中頃まで更新できないかもしれません~。

行ってきまーす。


だいたい、こんな動き↓   ↓   ↓
おおまかな移動スケジュール↓

9月
25日 朝、関空発⇒北京着、1泊
26日 早朝、シベリア鉄道 北京発⇒モンゴル入国、車中泊
27日 モンゴル出国&ロシア入国、車中泊 ~30日

10月
1日 午後、モスクワ着 1泊
2日 夜、モスクワ発 寝台列車、車中泊      
3日 早朝、タリン着(ここからは、旅程表の提出がいらない国なので、何泊するかは臨機応変)
4~7日のどこか 朝、船でヘルシンキへ ~7日
8日 ヘルシンキ発 ⇒ ベルリン着 ベルリン2泊 ~9日
10日 昼、ベルリン発 ⇒ 夕方ドーハ着 1泊
11日 夜、ドーハ発
12日 午後、関空着


音遊びの会のコンサート&シンポジウム

2007-09-24 | 日記
眠いー。でも、車にがっつり楽器を積んで、音遊びの会のコンサート&シンポジウムに。

コンサート、なかなか面白いねえ、結構立体的に、色々なことが起こる。今日くらいできたら、音楽し足りない感じには一応ならない。でも、楽器がいっぱいあって、どの楽器も演奏してみたいし、どのひととも演奏してみたいし、1時間はあっという間。

シンポジウムは、一応学会のようで、kananaga、話題提供者ってことになっているのに、学会のしゃべり方にうまくはまらず、モジモジ。みんなすごいなあ、あんなに一気にしゃべって。誰かが発表とかしてる途中には、色々なこと思ってて、あとでこんなん言おう、とか思っているのに、口をはさむタイミングが難しい。

「自閉症だった私へ」という本を書かれたドナさんという女性が、学会で発表するために(たぶん)来られていて、音遊びの会のコンサートを観てくれて、最後のビッグバンドには参加してくれて、シンポジウムではコメントしてくれた。お話は、ひじょうに面白かった。今度本を買って読んでみようと思う。

シンポジウムでは、色々面白い話が出た。自分のためにメモ。「終わり方」「関係が濃密というか、進んできてる気がする。」など。

CROSS Air午後の音歩き

2007-09-22 | 日記
ドイツ在住の3人の音楽家、大田智美さん(アコーディオン)、富田珠里さん(ピアノ)、渡邉理恵さん(パーカッション)、による、コンサート「CROSS Air午後の音歩き」を観に。西武池袋線の仏子駅、初めて降りる駅だ。それにしても暑い~、お彼岸だというのに。会場は、大正時代に建てられそうで、古くて、素敵な建物だ。そして、エアコンはない。でも、お客さんがみんなうちわをパタパタしてたりするのがまた、いい感じ。そして、そとの草っぱらが、ものすごくいい空間だなあ。

前半が、まず3人のソロ。智美ちゃんが、バッハ、スカルラッティ、ラモーをアコーディオンで、あいかわらず、きれいな音を出す、特に、小さい音。理恵ちゃんがG.アペルギス「Le corps a corps (闘争)」という曲、競輪の実況中継のような言葉をずっと言いながらザルブというイランの太鼓を叩く。今日はドイツ語で。日本語でも聞いてみたい。珠里ちゃんは、ブラームスの「6つの小品」より。この曲の並び、ブラームスが新鮮に聞こえてくるな。それから、野村誠の曲は後半なのに、なぜかここで、野村誠インタビューコーナー。それから、近藤譲「スタンディング」、気持ちよい。

休憩後、後半は丸々、野村誠「動物の演劇組曲」アコーディオン・ピアノ・打楽器バージョン、世界初演。プログラムに、曲に出てくる動物の顔写真と解説が載っていて、それが、演奏家の顔写真と並んでいるのがなんともおかしい。動物の写真を見ながら聴く。ダンス公演「動物の演劇」とはまた違った味わいでいい感じ。これ、ツアーが終わる頃には、もっと熟成されていくんだろうな。またツアーの終わり頃とか、聞けるといいんだけどな(今回は行けない)。

打ち上げにお邪魔して、食った、しゃべった!

鍵ハモの音をレコーディング

2007-09-21 | 日記
ある色々網羅系の本の付属のCDに入れるため、鍵ハモの音をレコーディングするのを頼まれ、六本木あたりのスタジオへ(昨日も、この辺来たな)。

よく知られたある童謡の、最初の4小節のみ。うおー、短い。。。単旋律と、ちょっと和音つきのと、2種類を録る。むむむ、この短い中で、鍵ハモのよさを伝える大事な役割を担ってしまう、おおー、この、短い中で。。

アンサンブルも収録したいとの先方の希望だが、できるかどうかが、微妙。時間と予算とクオリティの問題で、なかなか状況が安定せず。でも、今日相談して、少し見えてきたかもしれない。いい落としどころに、落ち着くといいんだけど。


ところで、ここんとこ、なんだか、どんどん太ってきてる気がするんですけど、どうしましょう。。。

麻布保育園で打ち合わせ/ガムラン即興に関するインタビュー

2007-09-20 | 日記
おじおばが、今度新たに家族に加わった犬の陸くん(写真)を連れて、kananaga実家に遊びに来てくれた。すっかり甘え上手な陸、むちゃくちゃかわいい~~。だけど、実は、保健所かどこかで殺される直前に、あるひとが保護した犬なんだそうな。そんな経歴の持ち主でいてよくこんなに、人間を信頼する気持ちが薄れていないものだ、と思ったら、おじおばの家に来たときはこんなじゃなかったらしい。この数ヶ月で、おじおばに、よっぽど愛情をそそいでもらったのだろうと推察される。おじおば、素晴らしいです!


麻布保育園で、11月1日、2日に「あっという間に紙芝居を作っちゃおうWS」をするので、その打ち合わせに。

あ、暑い。。。暑さと太陽に極端に弱いkananaga、駅出た瞬間、ズルズルである。しかも、これまた苦手なのが、上り坂。負荷がかかるぅ~。kananagaは、息があがりやすく、回復が遅い。中学生のとき初めてわかったんだけど、あの、踏み台昇降、あれをやる前とやったあとと、ちょっとしてからとか、脈を計ったとき、同級生は軒並み、100といくつか、たぶん、せいぜい150とかだったんじゃないかな、で、kananagaは、ひとりで軽く200を超えていた。小学生のとき、「ちょっとヒューヒュー言ってますね、ぜんそく、って、言われたことないですか?」とお医者さんに言われたこともあった。瞬発力は、ある、超持久力なら、なんとかある、でも、中距離的な持久力が、そーとーない。

六本木ヒルズが目の前にそびえたつ保育園、でも、一歩敷地内に足を踏み入れると、なんだか自然が多いし、しかも、普通の保育園なのだ。なんか、どこでもドア気分。昔はこのへんにも狸が出たらしい、きゃー、狸に会いたいー。

保育士さん向けWSと、園児向けWSと、両方の段取りや用意するものや会場やらを確認した。先生方、とってもにこやかで柔軟で面白がりな感じだ、よかったー。よろしくお願いしまーす。

青山ブックセンターに寄る。この本屋、いつ来ても、さすがの品揃え、と感じさせてくれる。ついつい、立ち読みしてしまうし、買ってしまう。

ロシア関係専門の旅行代理店に、ビザ申請の済んだパスポートやらバウチャーやらを、取りに行く。いよいよもうすぐだー、楽しみだー、でも、こんなに仕度してなくて、本当に大丈夫なのか?

野村誠氏とおしゃべりしてるうち、9月16日@碧水ホール、ワンデーガムランピクニックでの即興について、盛り上がってきたので、インタビューにしてみよう、ということになった。野村誠の作曲日記より、以下にコピペ。


■[ガムラン]林加奈さんのインタビュー
林加奈ちゃんが、ガムラン・ピクニックの即興について、いろいろ面白い感想を言ってくれたので、ここで、インタビューを掲載することにしました。

林  ワンデーガムラン・ピクニックでの佐久間+鈴木+寺内+野村の即興は、とても興味深かったです。

野村 どういう点で?

林  完成度という点では、もっと高いものが今後あり得ると思うけど、あの場のでき方は、私がいつもたどり着きたいと思うことの一つを実現していたと思います。

野村 それは、どういうこと?

林  4人の即興のやり方・タイプが、違っていて面白い。でも、それだけじゃなく、4人ともが、他の人のやり方を否定していなかった。関係の作り方が、複雑というか豊かだったですね。

野村 複雑だといいの?

林  面白いんだよね。対決ものとか、シンプルで分かりやすい関係が悪いっていうわけじゃないんです。時代劇とかも面白い。でも、もっともっと、複雑な多様な、わびさびというか・・・。地球上にもっと色々な種類の喜び・楽しみがあるだろうと思うんです。そういう境地に入っていると思いました。立体化した即興だと思った。場を立体的に味わう。

野村 例えば、佐久間さんが他の共演者と関わるよりも、客席の子どもにちょっかいを出すことが多く、そうではなく、ソロダンスをしっかり見せるべきとか、他の音楽家に対峙すべきだ、という声もありましたが。

林  それは、違うと私は思います。佐久間さんは、ソロダンスでも存在できるし、他の音楽家と対峙することもできる人で、そこから逃避しているとは思いません。佐久間さんは新たなバランスに挑んでいたと、感じました。そして、それが面白い形に出てきていたなと思います。

林  それから、リアリティ。鈴木さんは、交通事故で首を骨折し、コルセットを巻いていた。そのコルセットが即興で大活躍しましたね。

野村 子どもが乱入することも、コルセット同様、リアリティでしたか。

林  その場にリアルに存在することを、ないことにしない。骨折しているのも事実で、コルセットをするように医者にも言われているし、実際にあの場に子どもがいるのも事実。しかも、その子どもが、ワークショップでホールに慣れ親しんでいる上に、あの空間がフラットな場であったこともあり、乱入のチャンスをうかがっていた、これも事実。

野村 そして、22時完全退館するために、即興は絶対に30分以上やらないように、とぼくだけが舞台監督から念を押されていたのも、事実。

林  そうした事実を、すべてなかったことにしないことで、フィクションではなく、その場にしかできないものが生まれてくる。

野村 楽しい、美しい、面白い、見事な流れ、などと同時に、腹立たしい、退屈、醜い、滞る、などの状況も生まれてくる。小暮さん流に言えば、見たいものと見たくないもののどちらもが、見えてくる。

林  それを、ただ、即興にはすべてがあるから、何でもあり、としてしまうと、違う。ここを大前提にしつつ、その中で、自分が目指すクオリティを各自が極限まで追求するのが、いいと思う。

林  4人が対等な関係だったので、互いに信頼できているのが、よい。

野村 だから、ぼくは結構、何もせずに傍観している時間がありました。

林  その上、みんなして面白がっている。

野村 寺内さん、鈴木さんについて、いかがでした?まず、寺内さんについて。

林  もっと前面に出ることもできる人なのに、じっくり居を構えて、ここぞという時に、おいしいところをかっさらうという立ち位置にしていた。

野村 寺内くんは、前日のリハでは、自分の持ちネタを繰り出す感じが多かったですが、本番では、もっと抑制して、場との関係性の中で演じていたところが、さすがと思いました。漠然とした言い方ですが、とにかくいい音を出していた。では、鈴木さんは、どうでした?

林  私は近いものを感じて、共感しました(的外れだったら、ごめんなさい)。

野村 鈴木さんのパフォーマンスは、終始一貫して、ぼくの予想を裏切るんです。それは、ぼくの裏をかくとかではなく、ぼくのセンスにはないセンスで切り込んでくる。だから、この場面で、ぼくだったら絶対にしないことで、切り込んでくる。それが独特で面白い。

林  あの場のリアル感に、向き合っているなぁ、と、彼の選択する音や行動に、すごくセンスがいいと感じました。

林  それから、野村さんは、暴れるときはものすごく暴れるし、前面に出る人なのに、敢えて黒幕的に場をいじっていましたね。

野村 それは、ぼくと佐久間くんは、長い歴史があって、関係も深いので、ぼくは佐久間くんとあまり関係をとらずに、鈴木くん、寺内くんと佐久間くんが、どう関わって何が起こってくるかに立会いながら、それを見届ける立会人のような位置でいようと思いました。

野村 ぼく自身としては、とてもいい即興ができたとも思っていませんが、いつまでも忘れられない即興になったようです。実際、このことについて、公演後も何人もの人と議論をしました。そういう意味でも、一石が投じられたかな、と思います。最後に、もう少し否定的なこともありませんか?

林  一番最初に言ったことですが、もっとクオリティがあげられると思います。特に後半子どもが入ってから、やっぱり間延びした。ある意味、子どもに押されて間延びしたようにも見えた。

野村 そうですね。30分で必ず終わるようにと念を押されていたので、子どもが入ってきた時に、何かそこに切り込んでいくことはできませんでした。本当はやりたかったのですが、そうすると、45分の上演時間になることが分かっていたので、あとのプログラムに本当に支障が出てしまうので。時間があるなら、そういう展開もできたんですが、敢えて油はそそがないことにしました。では、今回の公演を通して見えた今後の可能性について、これからどういう展開を期待するかについて、一言お願いします。

林  今起こっていることが、お客さんの多くが耳ではなく目で追ってしまうことが多い。目で見えるところが面白いからなんだけど。

野村 音は相当面白かったよね。

林  そうなんですが、目で見えることに意識がいってしまうお客さんが多分多いのがもったいない。

野村 視覚と聴覚がバランスよく鑑賞してもらえるといいのですよね。確かに、桃太郎の第4場をロビーで音だけで聴いた人が、音だけだと、すごく想像力が広がる、と言っていた。これは、ダンスが悪いという意味ではなく、鑑賞する人が見ることのウエイトが、聴くことよりも、相当大きいんだ、ということですね。

林  そのために、どういうアプローチをすればいいかが課題だと思います。

野村 ありがとうございました。

さくら苑で新曲

2007-09-19 | 日記
横浜下川井の特別養護老人ホームさくら苑へ。野村誠がここでお年寄りとの共同作曲を始めたのは1999年。kananagaも、それからずっとここへ来ている。一緒に訪れるメンバーもいつものメンバー。でも、時々ゲストが加わる、今日も。

この活動が始まった当時71歳だった樋上さんは、79歳(その頃も今も、名実ともにさくら苑の人気者で看板だ)。10周年も、間近だなあ、10周年、なんかやりましょうか~、なんて話もでる。あ、そうか、79歳かあ、むすびの、Aさんと同じくらいだなあ。

ふと振り返れば、さくら苑で学んだことが、なんともたくさんあることに気づく。ものをつくる、ってこと、表現するってことのさじ加減のようなこととか。さくら苑は、いつ行っても大概、不可抗力的にそういう刺激を得ているもんだから、行くのをやめる気にならないのだ。

今日は、初めて参加されるお年寄りが多かったし、今までに作った曲を、解説しつつ、歌う。さんざん歌ってさて、休憩でお茶飲んで、今日はあとどうしようか、となった。新曲でも作るかなー。そこで、キッカケとして、ザウルスが自作の鼻歌を披露。その、あまりに理屈が通用しない歌詞の内容に、お年寄りがひじょうに反応する。かたや、ツボにはまってバカ受け、かたや、「意味」がわからず、かたまる(爆)。この、空気の二分化が、新曲が生まれることに拍車をかけて、ひじょうによかった。そういう、ちょっぴりきまずいところをちゃんと通ったほうが、ものづくりがいい感じにいくんだよね。

ブタがブーブー言っていた こごと言われてブーブーブー
(台詞、誰かにインタビュー)何怒ってんだい?
(何か応える、毎回違う)
ゴメンネ ブーブーブー

これをえんえん繰り返す。この、みんなで歌うところと、インタビューしてソロになるところがあるのが、いいよねー。次回は、また続きを作ろう、ということになった。

さくら苑のお年寄りと動物たちの暮らしのフォト・ドキュメント「老人と犬」(文春文庫PLUS)が文庫になって再び発売されていた。思わず購入。うん、いい、おすすめです。

さくら苑のあと、二俣川あたりのジョナサンに寄って、その日のことやそうでないことやらをおしゃべりするのも、すっかり恒例。ここが、みんなにとって、結構大事だったりする。

次回のさくら苑は10月22日の14:30より(この日は、そのあとリハがあるので、ジョナサンには行けないなあ)。

野村誠弾く、白井剛駆ける、21

2007-09-18 | 日記
「野村誠弾く、白井剛駆ける、21」を観に、新百合ヶ丘の新百合21へ。出演は、野村誠、白井剛+あいのてさんの尾引浩志、片岡祐介+宇宙人おーちゃん。

演目の基本ラインはあいのてさん。あいのてレパートリーはこなれてきていて、強度があがっていると思った。そうなると、新曲が聞きたくなる。アンコールでやった「やぎふんじゃった」は新曲で、いい感じ(ただし、kananagaにとっては新曲じゃない~)。歌は、やっぱいいよね、歌が増えるのはいいと思う。でも、あいのてのコンセプトの基本ライン(生活用品等の身近ななにかでの音の追求+一般的に楽器とすでに呼ばれているものの組み合わせ)の新曲も、聞きたい欲求にかられた。

野村×白井デュオがあいのてレパートリーのあいだあいだに入ってくるんだけど、なんだろう、ダンスと音楽の境がない、うーん、違うな、表現を、ダンスと音楽にわける必要性を感じない感じ。フィジカルピアニストも、フィジカルメロディカも、動き先行でたぶん作ってて、で、出てる音が、演奏がいい。特に、今回初お目見えのフィジカルメロディカは、レコーディングしてほしいと思った。

8月5日にザコを観たときも思ったことだけど、音楽家が演奏する動きに、ダンサーの動きがふっとばされるときがある。演奏する、というリアリティのある動きの面白さがすごいのだ。今日は反対に、動きを追求してることで、結果、すごくいい音を出している白井くんを目撃した。ダンサー、なのに、出している音が、いい。この流れは、ひじょうにkananaga好みだ。

宇宙人おーちゃん、なんて強烈なビジュアルなんだろう~。「トランスできれば、いい」というおーちゃんのシンプルな姿勢に、音に、とっても好感を持つ。ちなみに、強烈なメガネをとったその瞳は、とってもつぶらであった。

例のペットボトルは、やはりすごい音で、たたくのも楽しくて、もりあがるなあ。

お客さんで、あいのて赤の衣装そっくりの服を着ていた女の子がいた。面白くて素敵で、びっくりしたので、思わずお母さんに話しかけてしまった。昨日の夜、手作りされたんだそうな、器用だなあ~。

結婚披露パーティーに出席

2007-09-17 | 日記
尺八奏者だったり音響エンジニアの仕事をしている空手部の先輩の、結婚披露パーティーに出席した。相手の女性は13歳年下!超かわいい!よかったっすね~。

パーティーのあとも、空手部の先輩後輩同級生と、2次会ってことで飲みに。盛り上がる、盛り上がる。

たまたま同じ店でやはり2次会をしていた、さっきのパーティーで同じテーブルにいた方々と、なんとなく一緒に飲むことになり、3次会へ。尺八奏者の方と、お筝奏者の方と、スタジオなどをやってる社長と。なんと、共通の友人がいっぱいだった。またの機会に、その友人も交えて、ぜひ~。

ワンデーガムラン・ピクニック本番

2007-09-16 | 日記
ワンデーガムラン・ピクニック、昼の1時から夜の8時まで、観るのと出るのと、とっても楽しんだー。ほんとに、どれも面白かったなあ。

映像上映「音楽ノ未来」(2006)より野村幸弘の3作品、面白いなあ&懐かしかった~。

マルガサリによる、ガムランの古典曲。聞けず。しかし、今日の古典曲がここだけ、という展開が、実はすごい。日本におけるガムランが、古典をやる以外の語彙もすごく持ってきてる、ということだ。

地域で活躍するグループその1は、ティルト・クンチョノ。碧水ホールのガムラングループだ。日本の、水口の民話なのかな?を、影絵で。ガムランと、このとっても日本的なものの組み合わせが、面白い。

地域で活躍するグループその2は、スカル・ムラティ。岐阜のグループ。坂野嘉彦さんの曲、きれいなフレーズが聞こえてくる。メンバーに藍染めをやってるひとがいるそうで、きれいな白~藍へのグラデーションの衣装が、また、演奏に華を添える。今尾真琴ちゃんの曲は、準備で聞けず(昨日も)、また、録音で聞きますー。

地域で活躍するグループその3は、野村誠+林加奈によるワークショップの参加者の皆さん。野村誠と林加奈は、演奏はせず、ビデオ撮影に走り回る。我々が抜けての初めての演奏、ちょっと心配、をよそに、いや、ある意味予想通りに、本番、すごくよかった。やはり、子どもたちのやる気がすごいので、昨日まである程度(表面的には)グダグダにやってても、本番が、ピシッといくねえ(なんていうんだろう、これは、グダグダっていうものなのではないのかもしれないかな、こういうものなのかもしれないな)。大人たち、もちろん、すごくいい。普段ガムランなんてやってないひとたち、でも、ひじょーに、音が、いい、という、ミラクルが、普通のことになっている。

三輪眞弘、野村誠、本間直樹によるトークショー「ガムランの作曲について」。kananagaはこのときは、ワヤンのスクリーンのかげでメイクしながら聞いていたので、あまりしっかり覚えていないー。また、録音を聞こうと思う。でも、確か面白かったように思う。

新しいワヤン(影絵芝居)「ピンス」HANA & JOSS、林加奈、井上信太、中川真。今日、kananagaが唯一出演した演目。お、面白かったよお~~~。んで、もっと発展させたい気分が、メンバー全員にありあり。ワヤンとガムラン、そこに、ティンパニとシンセとおもちゃ楽器が入り、衣装や美術がヘンテコ素敵で、照明も凝ってて、パフォーマンスもあって。んで、ローフィの語りがまた、ひじょーにいいもんで。次に向けて、は、kananagaとしては、もう少しパフォーマンス時間がとれるなら、音楽の分量というか、音楽だけで聞かせるようなところをもっと増やしたいなあ。あと、もちろん今日も面白かったが、昨日のゲネのほうが、より、だらだら感というか、いい意味の気楽さ満載で、それがおかしかったと思うので、そういうところ、より推し進めてみたい。

野村誠、佐久間新、寺内大輔、鈴木悦久による、インプロヴィゼーション。鈴木さんのこういう即興は初めて観たが、守備範囲が広く、どうでるかわからない感じ(この4人は全員そうだが)。鈴木さんは、まあまあ最近に、首の骨を骨折されたそうで、首に、あれ、なんていうの?固定しとくためのやつを巻いていた。本番前に、それをはずすのかどうか、ということについてだいぶ話し合ったが、鈴木さんは「なんか考えます」と言っていた。んで本番、ロビーで売っていたジャワの素敵な柄の布をあれのうえから巻いて、まるでマフラーのようにして登場した。そしてそれが、途中ではずされて、パフォーマンスにひじょうに面白い形で使われることとなる。佐久間さんは、お客さんとの境界線にほとんど常にちょっかいかけるアプローチ。それでいて、なんていうか、空間を大きくキープできている、とでもいうのだろうか、それが見事だなーと。寺内くんは、今日は、前に出るというよりも、中間地点あたりに居を構え、ときどきおいしい出方をするような感じ。野村誠が、割と(表面的には)おとなしめで、黒幕的にマニアックに場をいじっていた。後半、WSメンバーの子どもたちが、思いっきりパフォーマンスに参加。その場面は、観ているときは、ちょっと完成度が落ち、間延びした感じにもなっていたと思ったが、最後までいくと、ああ、これでよかったな、と思った。言葉でまだうまく言えないことが、何年かすると、言葉でも言えるようになる、たぶん、そういう種類のものなんだと思う。そういう、貴重なことが起こっていたと思う。

ガムラン音楽の最前線その1は、詩人の上田假奈代さんと、マルガサリのコラボ。假奈代さんのWSで、メンバーには、事前に誰かにインタビューをして、それをもとに詩を作る、というミッションが出されていた(kananagaは、本間さんと、まりちゃんに、インタビューされていた)。まず假奈代さんが中川真へのインタビューをもとに作った詩の朗読からスタートし、色々なメンバーが色々なひとにインタビューした詩を朗読しながら楽器も鳴らしながらウロウロする。演奏前の假奈代さんのコメントに、「ガムランがそもそも詩だ」というのがあったが、声と楽器の関係が、そんな感じになっていた。途中、はいはいする赤ちゃんが客席からゆるやかに乱入、ばっちりだった。最後のほうで、佐久間さんと假奈代さんがデュオでゆるやかに踊る場面があって、そこが妙に色っぽく、ときめいた。

ガムラン音楽の最前線その2は、作曲家三輪眞弘さんの曲をマルガサリが演奏。kananagaは元々、三輪さんの作る音楽が大概好きなんである。40分の大曲、超、美しい、音も、動きも。衣装は、インドとかのお坊さんのような感じで裸の上に赤い布を巻いている。衣装も、踊りそのものも、とってもよかった。ずっと、ストイックに音が鳴り、重なり、機械的に踊りは進行するのだけど、すごく有機的に感じられる。歌が入ると、丹田のあたりから食道のあたりを刺激される感じがする。ガムランは、セットによって音がみんな違うので、その都度音選びに微調整が生じる。ゲネと本番は、音が違っていた。昨日のゲネで充分美しかったが、ゲネのあと三輪さんが選びなおした今日の音のほうが、更にいいと思った。なんていうのだろう、毒が入ってより美しさが増したというか、リアリティが増したことで、より根本的なところを揺すぶられる感じになった。


夜、温泉で足ツボマッサージを受け、疲れをとる。