よりみち文化財

ちょっと寄り道して出会える、遺跡や石仏、史跡や鹿児島の田の神さぁを紹介

平木場の田の神さぁ

2007年06月05日 | 田の神さぁ
鹿児島県 薩摩川内市 入来町

石の中に彫りだされた田の神さぁは、着物を着て股引きを付け、扇子をもっています。仏像ではよく、「光背」と言われる背後の石ですが、田の神さぁの場合、こういった所謂「光背」を持つようなスタイルを「背石型」と呼ぶようです。

鹿児島では、水田は山あいの谷間に見られることも多く、平木場の田の神さぁは、ちょうどそういった水田が続く谷奥の、水田を見渡せる高いところに祀られています。
「寛政7年4月8日」の銘があります。(寛政7年=1795年)

ところで、田の神さぁを訪ね歩いていてよく気にかかるのは、山の存在です。山は、雨が降ると水を蓄え、樹木が栄養を土壌に蓄えます。川や用水路でなく、山のふもとの湧水を水田に供給してきたのであれば、水田に水や栄養を与えるその「山」から、滞ることなく恵みを田にもたらす役割を持つのが、すなわち「田の神さぁ」であるのかもしれません。もしかすると人々は、「山」を生命の源と考えていたのかもしれません。

田の神さぁは、山の中におられることもあります。次は、山の中の田の神さぁを紹介します。



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