よりみち文化財

ちょっと寄り道して出会える、遺跡や石仏、史跡や鹿児島の田の神さぁを紹介

知恩院三門

2010年03月20日 | Weblog
東山の蹴上まで行くのに、京阪四条から八坂神社まで歩いて、さらにそこから丸山公園を抜けて平安神宮、南禅寺あたりまで歩いてみようと思っていたのですが、その途中にある知恩院の三門内部が特別公開中との案内を見かけましたので、ちょっと寄ってみることにしました。

徳川秀忠が元和7年(1621年)に寄進、建立したこの知恩院の三門ですが、寺院の門といえば通常「山門」の字を書くのが一般的ながら、「三門」となっています。
知恩院のWEBサイトによると、知恩院では「空、無相、無願」の、悟りへと通じるとされる3つの解脱の境地を表していることから「三門」と書くのだそうです。

国宝に指定されており、内部はもともと非公開という説明がガイドブックにもありますから、これはせっかくの機会というわけで、このあと蹴上までの道は駆け足を覚悟の寄り道となりました。

今回の公開は3月22日までですので来週初め、春分の日までということになります。
京都市観光協会による第44回「京の冬の旅」に関する企画として、14ヶ所ある特別公開中の非公開文化財の1つとなっているようです。


※内部の写真撮影は禁止とのことで、門前の看板に掲載されていた写真を撮影してきました。

特別公開
1月9日~3月22日(月)
拝観時間:10:00~16:20(15:40拝観受付終了、16:20拝観時間終了)
拝観料:600円(大人)


楼上から京都市内を一望できるという三門は高さ24m、幅50mで、木造建築としては世界最大規模というだけあって柱の径も相当なものです。霊元天皇宸筆という「華頂山」の扁額は、下の道路から見上げてもかなり大きく思えますが、上層に上がって間近に見てみるとさすがにその大きさも実感できます。

この三門上層への上り口はとても急で、この急な階段を登ってみるというだけでも面白いのですが、楼上内部には阿弥陀如来を中心に十六羅漢像が並ぶ荘厳な空間があり、寺院の門にこんな空間を造ってあるというのがとても不思議に感じられます。
ところで、荷物は入り口のところで預かってくれるそうで、階段自体も滑りやすくなっていますから手荷物は預けてなるべく身軽にして手すりをたよりに登ったほうが無難です。

上層の内部へは西の妻側から入ります。北向きにしてほぼ左右対称に作られているようで、宝冠をつけた釈迦牟尼座像を中央に脇持として十六羅漢像を左右に8尊ずつ配し、悟られた直後の姿を現すと言われる宝冠釈迦牟尼座像のすぐ両脇に善財童子等の童子像が安置されています。

向かってそのすぐ左側にはこの三門を造営した大工の棟梁である五味金右衛門夫妻像が安置されています。
夫妻像の下には知恩院七不思議のひとつといわれる白木の棺がありました。三門造営にあたり、完成時にかなり予算オーバーとなった責任をとり夫婦とも自刃したと伝えられる五味金右衛門夫妻です。
「本当に自刃したのだろうか?」という気もしますけれども、ここに自作の像が白木の棺に納められてあるところは、命がけで大工事にあたるという強い意思のあったことが感じられます。

この場所の主役はもちろん釈迦牟尼座像をはじめとする仏像ですが、狩野探幽によるという、天井に描かれた極彩色の画もひときわ華やかでした。
室内は柱や斗までが極彩色で飾られており、照明は絵画の保存のために暗く落としてありますが、5つに区切られた天井にはまず中央の区画に龍、その左右両側の区画に飛天と迦陵頻伽、さらにその両側に琵琶、琴、ささら、太鼓、笛や銅鑼といった楽器と、それぞれのテーマに沿って画が描かれている様子がよく見えます。

その天井を区切る梁の部分には麒麟が描かれています。麒麟をはじめ龍も迦陵頻伽ももちろん空想上の存在ですが、その周りを飾る波の紋様、巴文、四方襷文(?)、雷文等が、現世とは全く違う極楽浄土の雰囲気を思わせます。

この三門内部にはガイドの方が居られて、懐中電灯を手に詳しい説明をされていました。










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