この地名を見てどれだけの人がここだと判るであろうか。
この地は山口県萩市より国道191号を約10キロ北上したところに位置する。この191号が味気なくこの地を縦断し、あっと言う間に過ぎていくため存在すら気づかないように思われる。ところがである。
奈古駅前の道から海側に約200メートルも行くと、国道に並走した旧道にあたる。それを左に折れると私が期待していた風景が目の中に鮮やかに飛び込んでくるのである。勿論道の両脇にはその佇まいが残り、心を和ませてくれるのである。本道から分かれる路地を抜けるとそこはもう海、漁港となる。
彼の地は山口県萩から島根県益田までの約60キロの北浦街道(この名は地図による)の中核を成していたと思われる。
車を置いて久しぶりに街道を歩くと心が弾むのだ。自分でもなぜか笑いが出る。いい気分である。そうして歩いていると、後ろから母が声を掛けて来た。人の家の玄関前にしゃがみこんでしきりに手を伸ばして話しかけている。「柴犬がおるよ」
この一声で踵を返し見てみると、なんともはや、人懐っこいころころとした愛嬌のある柴がいる。思わず手を差し出すと嘗め回すは、甘噛みするは、前足でこっちにこいと催促するは、はては立って私を仲間のように歓迎してくれた。母はその仕草があまりにも可愛かったので「連れて帰りたいね」とも言ったくらいなのだ。(写真:柴)
この地は山口県萩市より国道191号を約10キロ北上したところに位置する。この191号が味気なくこの地を縦断し、あっと言う間に過ぎていくため存在すら気づかないように思われる。ところがである。
奈古駅前の道から海側に約200メートルも行くと、国道に並走した旧道にあたる。それを左に折れると私が期待していた風景が目の中に鮮やかに飛び込んでくるのである。勿論道の両脇にはその佇まいが残り、心を和ませてくれるのである。本道から分かれる路地を抜けるとそこはもう海、漁港となる。
彼の地は山口県萩から島根県益田までの約60キロの北浦街道(この名は地図による)の中核を成していたと思われる。
車を置いて久しぶりに街道を歩くと心が弾むのだ。自分でもなぜか笑いが出る。いい気分である。そうして歩いていると、後ろから母が声を掛けて来た。人の家の玄関前にしゃがみこんでしきりに手を伸ばして話しかけている。「柴犬がおるよ」
この一声で踵を返し見てみると、なんともはや、人懐っこいころころとした愛嬌のある柴がいる。思わず手を差し出すと嘗め回すは、甘噛みするは、前足でこっちにこいと催促するは、はては立って私を仲間のように歓迎してくれた。母はその仕草があまりにも可愛かったので「連れて帰りたいね」とも言ったくらいなのだ。(写真:柴)