妻が七年のあまり勤めていたところを退職した。帰宅したときは両手で抱えきれないほどの荷物を持っていた。そんなにもたくさん私物を置いていたのかと思ったのだ。ところがそれらはえらく華やいでいるのだ。
切花の鉢、ハイビスカスの鉢、装飾品だろうか、品のいい袋に入れられている。よく見ると妻の顔が赤らんでいる。よほど嬉しかったらしい。今で言うサプライズ(英語で書けよと)だな。(意味は「驚く」だろうから今で言うはなかろうが)
予想だにしなかったお別れのプレゼントだったということだ。我輩とは違って人望もあり、人気もあったことの証明だな。
いやー感心感心、感動させられた。我輩だって妻のこの様子を見ると嬉しくなるに決まっている。このようなことはそうそうあるものじゃあないからな。