鍼灸如何に学ぶべきか~科学的鍼灸論の構築のために~

鍼灸の理論と術にかかわる初歩的・基本的な問題を中心に科学的=論理的に唯物論を把持して説(解)いて行きたい、と思います。

S先生の脈診(増補)〜教育者とは如何にあるべきか〜

2017-06-28 06:58:29 | 鍼灸術・手技療法術
S先生の脈診に、先生のスケールの大きさを見る思いし、驚かされた。

昨夜のS先生の鍼灸実技、東洋医学的観点からの「下痢」(特に腎陽虚による)に対する施術であったが、実際にパートナー同士での実技が始まると、ある生徒から、「脈診での脈が分からないので、診てもらいたい。」との質問?があった。

自身からすれば、S先生から年度の始めに「脈診」というものが如何に当てにならないか、それゆえS先生が「脈診」に頼らない「四診合参」という診断方法を苦労の末、創られたという話をお聞きしていたので、「?」「S先生にそれを聞くか!?」と驚かされるとともにS先生がどう対処されるのか興味津々で見守っていたのであるが、S先生、慌てず騒がずで、簡単に御持論を説かれるとともに「私はやらんけどね」とおっしゃられながら「脈診」をされ「肝虚証」と診断されて、さらに「問診」を加えて「肝虚証」の事実確認をされて、「だから肝虚証なんだねえ」と見事な「脈診」の模範実技を見せていただいた。

これが自身であれば、「え!?あれほど最初に脈診は当てにならないと説いたのに、俺にそれを聞くか!?」との思いとなって、「人の話を何にも聞いてないんだねえ〜」と無視しただろうと思える。

それだけに、S先生のスケールの大きさ、自身が否定するものであっても専門に関わることは一般的には凡ゆることを知って、出来るだけの実力を培っておられるだけに、自身にとって有り得ない質問にもすんなりと応えられる、に驚かされ、かつ自身もそうあらねば!と憧憬の念とともに……。

またこのことは、自身の周囲の鍼灸に関わるかたがたが鍼灸の、東洋医学の全体の中で自身の専門とする狭い分野には通じていても、例えば、経絡治療やトリガーポイントには通じていても、自身の専門外?(では無い筈なのだが、彼ら彼女らのアタマの中では……)あるいは自身の専門に対立するものについては、簡単に「自分は○○治療は信じて無いから……」等としてしまうのと対照的であり、単なる治療家では無くて教育者としてご自身を創り上げて来られたS先生の偉大性であり、教育者とは斯くの如くあらねばならないとも……。

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