FMの音がびっくりするほどクリアだ。
安物のラジカセがいつになく頑張っていた。
夜勤明けで帰宅した午前3時すぎ。
清志郎のダミ声がノンストップで流れ続けている。
眠気も忘れ、1時間ほど固まってしまった。
出身高校が、自分の母校とすぐ近くでもあり、やっぱり入れ込んでしまう。
超大ヒットもない。歌もギターも抜群にうまいわけじゃない。見かけも……。
それでも、人を引きつけるのはなぜ。
「格好悪さ」を保ち続ける格好よさ…………。
職場でも社会でも、偽りの「格好よさ」があふれている。
現実に合わせて導き出すわかりやすい答えは、見栄えがいい。
たとえ大事なことをバサバサ切り落としても、一見調和が保たれている。
そんな「虚構」を受け止めつつ、「でも、それっておかしいんじゃねえの?」って還暦近くまで、明るく、ひねりながら、それでいてグジグジ、グジグジ……とダミ声で訴え続けた。
やっぱり「大人」としては、最高に、めちゃくちゃ格好悪い。
逃げない。だから、だれもマネできない。
× ×
数年前、清志郎と出身高校が同じ先輩記者が念願の単独インタビューにこぎつけた。うらやましかった。
「え?読まれないって?新聞ももっと格好悪くなればいいんじゃないか」
そんな言葉が聞こえてくるようだ。
合掌。
◆忌野清志郎 IMAGINE
安物のラジカセがいつになく頑張っていた。
夜勤明けで帰宅した午前3時すぎ。
清志郎のダミ声がノンストップで流れ続けている。
眠気も忘れ、1時間ほど固まってしまった。
出身高校が、自分の母校とすぐ近くでもあり、やっぱり入れ込んでしまう。
超大ヒットもない。歌もギターも抜群にうまいわけじゃない。見かけも……。
それでも、人を引きつけるのはなぜ。
「格好悪さ」を保ち続ける格好よさ…………。
職場でも社会でも、偽りの「格好よさ」があふれている。
現実に合わせて導き出すわかりやすい答えは、見栄えがいい。
たとえ大事なことをバサバサ切り落としても、一見調和が保たれている。
そんな「虚構」を受け止めつつ、「でも、それっておかしいんじゃねえの?」って還暦近くまで、明るく、ひねりながら、それでいてグジグジ、グジグジ……とダミ声で訴え続けた。
やっぱり「大人」としては、最高に、めちゃくちゃ格好悪い。
逃げない。だから、だれもマネできない。
× ×
数年前、清志郎と出身高校が同じ先輩記者が念願の単独インタビューにこぎつけた。うらやましかった。
「え?読まれないって?新聞ももっと格好悪くなればいいんじゃないか」
そんな言葉が聞こえてくるようだ。
合掌。
◆忌野清志郎 IMAGINE