じょじょりん文庫

読書好きで雑読。ゴルフ好きでへたくそ。
気の向くままに本ネタとゴルフネタを書かせて頂いています。

失われた時を求めて(まんがで読破) プルースト

2009-11-19 | コミック
失われた時を求めて (まんがで読破)
プルースト,バラエティアートワークス
イーストプレス

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学生時代に読んでみたいと思っていたものの,あまりに長大なため尻込みしてしまい,今に至るまで読んでいなかった本のダイジェストまんが版です。
10巻以上ある原作を1冊のコミックにまとめられるのかと思いましたが,書店でみつけてつい買ってしまいました。

原作を読んでいないので何とも言えませんが,読んだ感じは面白かったです。最初は退屈な回想録のようだったらハズレだと思いながら読んだのですが,話の筋はつかめます。
中年にさしかかった「私」(プルースト自身がモデル?)が実家でマドレーヌを食べているうちに,いままでの自分の生涯を思い出し,かつその失われた時の中にこれからの未来を見出していくのかという感じです。
「私」は,19世紀後半から20世紀前半部分の貴族的退廃的な環境から第一次世界大戦へと言う激動の時代の中で,色々なことを見知りします。
貴族ではないけど父親から財産を相続して働かないでも暮らして行かれる自分,大貴族に憧れるスノッブ(俗物的)な自分,同性愛者を嫌悪する自分,女性との付き合いが好きなのに距離を置きたがる自分,隣家の妻が娼婦であったからと言って社交界で差別される有様を見ながらそれを容認する自分,戦争では貴族の縁者であっても等しく死の危険性があること,老いもまた平等であることなど……
今にも通じる悩みや慟哭も共感できる部分もあります。

プルーストは51歳で亡くなりましたので,この本を書く頃は40代だったのだと思いますが,昔の思索家は若い自分から色々なことを考えたのですね。働かないでもすんで暇があったことも理由でしょうが……
まだ100年も経たないのに,時代は本当に変わったものだと思います。

話の時制が行きつ戻りつするので,ダイジェストだとわかりにくい感じですので,
入門本から初めて,ゆっくりと原作も読んでみたいと思います。

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