じょじょりん文庫

読書好きで雑読。ゴルフ好きでへたくそ。
気の向くままに本ネタとゴルフネタを書かせて頂いています。

いまだ下山せず! 泉康子

2009-08-30 | ノンフィクション
いまだ下山せず! (宝島SUGOI文庫)
泉 康子
宝島社

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1987年正月に起こった,遭難事故のドキュメントです。
冬の槍ヶ岳を縦走してめざすという計画で,のらくろ山岳会所属のクライマー3人が1986年12月末から入山し,下山予定日,予備日を過ぎても下山しなかったため,のらくろ山岳会の仲間や家族が捜索を開始しました。
ところが,同時期に同じルートや反対のルートを取った他のパーティに聞いてみても,悪天候であまり活発な動きがなかったことなども不運で,のらくろパーティの目撃談が少なく,どこで3人が遭難したのか自体がわからず,捜索は難航します。

少ない目撃者の証言を照らし合わせて,結局,3人は縦走ルートから逸れて,沢に下りて下山することになったようだと言う結論に達するのに数ヶ月を要し,遭難から6ヶ月後,雪解けも手伝った6月末に3人は発見されます。

ドキュメントとしてはとても面白い(不謹慎との誹りはあるかも知れませんが)のですが,少し登山常識に関する説明が不十分かなと思いました。
著者ものらくろ山岳会のクライマーだったと言うことなので,その辺の感覚は素人とは違うのかもしません。
例えば,本では,冬山で沢に下りることは自殺行為ということが山の常識だと記載があり,捜索隊では最後まで沢に下りるはずがないというような思考があったようですが,山の素人からすると「なぜ?」と思います。読み進めていくうちに,冬山の沢は雪崩が多発するから危ないと言うことなのかなと思うのですが,これが正解かはわかりません。
また,捜索隊の隊員が寒くなりヤッケを着たところ,「谷側でヤッケを着てはいけない」と怒られるシーンがあるのですが,これもやはり「なぜ?」と思います。風にあおられて滑落するからかな,と想像しますがやはりわからない。
その辺の説明があったらもっと良かったかな,なんて思いました。

亡くなったクライマーの葬式で,幼い息子が葬儀場を走り回っているシーンも書かれていますが,なんとも遺族はお気の毒です。
登山はやりがいのあるスポーツと思いますが,命の危険を伴いますので,家族を持ったら命の危険を伴う厳しい登山からは退いた方が良いのかもしれないなと思いました。

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ゲーテ 一日一言

2009-08-26 | その他
ゲーテ一日一言
木原 武一
海竜社

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ゲーテについては有名な「ゲーテ格言集」がありますよね。
昔良く読んだものです。読んだだけで実践することなく中年になったのは悲しいですが。へへ
この本はもう少し軟らかいタイプの物と思います。
装丁もすごくきれいですし,365日分の格言(というかゲーテの言葉)が1日1個ずつ書かれています。
夜寝る前などに,リラックスして読まれると良いのではないかと思います。

内容の抜粋
・人生の原則
 素晴らしい人生を送りたいと思ったら,
 過ぎ去ったことは気にせず,
 腹を立てないように努め,
 いつも現在を楽しみ,
 とりわけ誰も憎まず,
 先のことは神様にまかせること。

・知識
 ものを知らない人間ほど,
 自分をもの知りだと思いこむ。
 知識とともに,
 疑問は増える。

身につまされますねえ~ホント。 

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終の住処 磯崎憲一郎

2009-08-25 | 小説
終の住処
磯崎 憲一郎
新潮社

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ちょっとご無沙汰してしまいました。
なんか滞り気味ですが,細く長くってかんじで頑張ります。

今年の芥川賞受賞作ですよね。最初本を買おうかと思ったのですが,もしかして飽きちゃうかもと思い,文藝春秋を買って読みました。
正解でした。

正直,飽きてしまいました。
何が言いたいのか,私がアホのせいだと思いますがよくわからない。
惰性で結婚した自分に対する後悔なのか,11年も口をきかなくなった妻との関係を嘆くものなのか,仕事に追われた自分の境遇を憂えるものなのか,気が付いたらもう余生になっていたことを悲しむのか……
よくわかりません,私には。
あと,文の区切りがなさ過ぎて,とても読みづらいです。
作者の仕事(商社)の関係なのだと思いますが,会社の買収なども出てきます。設定が製薬会社なのですが,製薬会社が敵対買収するなんて,アメリカならまだしも日本であるのかなんて気もしますし。
判決文でも読んでいる方がまだわかりやすいかなあ。慣れかな。

現在の純文学はこういうもの,といわれればそうですかと言うしかありませんが,芥川龍之介や太宰治のような文学を純文学というのだと思ってきた私は,最近の芥川賞受賞作は「ちょっと違うんじゃない?」って感じます。

一度読まれてみて下さい。

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