じょじょりん文庫

読書好きで雑読。ゴルフ好きでへたくそ。
気の向くままに本ネタとゴルフネタを書かせて頂いています。

梨園の娘 東芙美子

2014-05-12 | 小説
まだなかなか異動先に慣れず,他の人が異動して今のがっちり仲良し状態が崩壊する年月が経つのを静かに待っている状態でおります。
そうこうしている間にも,試験は待ってくれず,保険関係の試験が3つあり,そのおかげで6月半ばまでFPの勉強も出来ない状態です。
八方ふさがりかな。

あまり読書も出来ませんが,新幹線で読むためふとスマホにダウンロードしたのがこちら。

梨園の娘 (角川書店単行本)
東芙美子
KADOKAWA / 角川書店


なかなか,面白かったです。
外の人間にはわからないけれど,こういうことも絶対あるだろうな。と。

筋は,当代人気ナンバ-1の美男歌舞伎役者の双子の子供の話です。
双子は男女なのですが,男の子の方が跡取りとして修業させられるのだけど才能が無く,稽古にも懸命ではない。
一方女の子の方は,父の才能をそのまま受け継ぎ,役者としての非凡な才能を遺憾なく発揮する。
だけど,歌舞伎の世界では女の子にいくら才能があっても,役に立たない。

役者の世界の厳しさ,醜さを知り尽くす父は,娘にいくら才能があっても芸能の世界に入るのは反対で,あらゆる妨害をするのだけど,結局女優として成功していき,息子の方も才能はないけれど,歌舞伎俳優として生きていく決意を固めていく,なんて話です。

私は最近は余り見る暇がなくなってしまったけれど,歌舞伎は結構好きですし,知り合いに歌舞伎俳優もいます。
彼らは本当に大変な稽古をしていて,小学校の時に修学旅行を欠席するなんて事は,けっこうありました。子供心に可愛そうに思ったりもしました。
だけど,そういう家に生まれた女の子はもしかしたら,もっと可愛そうかもしれないなんてこの本を読んで思った。
親からは,あまり構ってもらえない,という欲求不満はいつでもあったのだろうと思うし。

寺島しのぶさんや松たか子さんなんかの顔がふとよぎったりして。
もちろん,彼女たちの男兄弟は,才能溢れる御曹司なので,この本のような状況ではないのだけど,でもなんか,感じるところはある。

伝統芸能を守っていくのは大変なことだけど,それが性別で決まってしまうのは,悲しいような。
だけど,芸に邁進するには,異性がいない方が効果的なのかもしれない気もするし。仕方が無いのかもしれない。

どっちにしても,また歌舞伎を見に行きたくなりました。

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