突然、妻が倒れたら松本 方哉新潮社このアイテムの詳細を見る |
TBSでニュースJAPANのキャスターをしていた松本方哉さんの,介護記です。
ある日突然,松本さんの奥様が46歳にしてクモ膜下出血で生死の間をさまよい,運良く命拾いしたものの,その後のリハビリや介護がこんなに大変なのかと改めて驚かされた。
言葉は脳梗塞などとちがってだいぶ戻られたようだが,身体的なリハビリや,空間認識やら病態認識などに障害の残る高次脳機能障害というものと戦っていかなければならないという。
ご本人の辛苦はもちろんだが,松本さんや息子さんの献身や犠牲は痛ましい限りだ。
発病から2年を過ぎて,どうにか落ち着きつつあるときに,今度は奥様に卵巣癌が見つかったという。
奥様は保険に入っていなかったので,治療費の負担も相当だったろう。
本当に健康は一番大事なことだと思う。多少出来が悪くても,多少幸せでなくても,健康であるだけで感謝しなければならないのかもしれない。
本では介護保険についても触れられている。
介護保険では,入浴やらリハビリなんていう本当の介護だけが対象であり,食事の支度や家事,世話は厳密に該当しないということも初めて知った。
本では,働き手が倒れた場合はともかく,松本さんのケースのように働き手ではない家族が倒れた場合には,家事は介護保険ではまかなえず(自費でお願いするしかないということだ),働き手が家事や世話をせざるを得ないことになっていることに自治体が対応してくれないことに不満が寄せられている。
確かに,働き手が家事や世話に忙殺されては生活の基盤自体が失われかねないことはわかる。お役所が頭が固くて融通が利かない(笑)こともわかる。
だが,広く薄く公平にしかも安価な保険料で運営されている今の介護保険では,そういった各事情に即した対応は難しいのもまた事実だろう。
子供手当も大事かも知れないが,こっちの方面はいずれ誰もが関わってくる問題であるから,もっと介護にお金を使うことも公平の観点からは必要なことかも知れないと言う気もする。
クモ膜下出血は4~60台の女性に多いと言う。
私も対象年齢に入っている。取りあえず入院の保険には入っているが,リハビリ期間中に家事などをしてくれる介護サービスに関する保険の存否や加入を真剣に考えるべきかも,と思う。
この本を読んで,自分で自分のことは落とし前が着けられるよう,自衛することが肝要だと実感した。