じょじょりん文庫

読書好きで雑読。ゴルフ好きでへたくそ。
気の向くままに本ネタとゴルフネタを書かせて頂いています。

突然、妻が倒れたら 松本方哉

2010-01-13 | ノンフィクション
突然、妻が倒れたら
松本 方哉
新潮社

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TBSでニュースJAPANのキャスターをしていた松本方哉さんの,介護記です。

ある日突然,松本さんの奥様が46歳にしてクモ膜下出血で生死の間をさまよい,運良く命拾いしたものの,その後のリハビリや介護がこんなに大変なのかと改めて驚かされた。
言葉は脳梗塞などとちがってだいぶ戻られたようだが,身体的なリハビリや,空間認識やら病態認識などに障害の残る高次脳機能障害というものと戦っていかなければならないという。
ご本人の辛苦はもちろんだが,松本さんや息子さんの献身や犠牲は痛ましい限りだ。

発病から2年を過ぎて,どうにか落ち着きつつあるときに,今度は奥様に卵巣癌が見つかったという。
奥様は保険に入っていなかったので,治療費の負担も相当だったろう。
本当に健康は一番大事なことだと思う。多少出来が悪くても,多少幸せでなくても,健康であるだけで感謝しなければならないのかもしれない。

本では介護保険についても触れられている。
介護保険では,入浴やらリハビリなんていう本当の介護だけが対象であり,食事の支度や家事,世話は厳密に該当しないということも初めて知った。
本では,働き手が倒れた場合はともかく,松本さんのケースのように働き手ではない家族が倒れた場合には,家事は介護保険ではまかなえず(自費でお願いするしかないということだ),働き手が家事や世話をせざるを得ないことになっていることに自治体が対応してくれないことに不満が寄せられている。
確かに,働き手が家事や世話に忙殺されては生活の基盤自体が失われかねないことはわかる。お役所が頭が固くて融通が利かない(笑)こともわかる。
だが,広く薄く公平にしかも安価な保険料で運営されている今の介護保険では,そういった各事情に即した対応は難しいのもまた事実だろう。
子供手当も大事かも知れないが,こっちの方面はいずれ誰もが関わってくる問題であるから,もっと介護にお金を使うことも公平の観点からは必要なことかも知れないと言う気もする。

クモ膜下出血は4~60台の女性に多いと言う。
私も対象年齢に入っている。取りあえず入院の保険には入っているが,リハビリ期間中に家事などをしてくれる介護サービスに関する保険の存否や加入を真剣に考えるべきかも,と思う。
この本を読んで,自分で自分のことは落とし前が着けられるよう,自衛することが肝要だと実感した。

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筆談ホステス コミック版上下 斉藤里恵

2010-01-06 | コミック
筆談ホステス(上) (光文社エンタメコミックス)
斉藤 里恵
光文社

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今年初めての更新です。
今年もよろしくお願い致します。

この方,有名ですよね。
テレビでも取り上げられていましたし。

この方の著作をコミック化したものを本屋で見かけ,つい買ってしまいました。
著者は,教師をしている忙しい母親の目を離したすきに,子供用のバス(部屋で赤ちゃんを入浴させるような?)で溺れたことをきっかけに,耳が不自由になったそうです。
両親は,聴覚が無いというハンデに沿った教育ではなく,一般の子供と同じ教育を受けさせようと普通の学校に行かせますが,斉藤さん自身にとっては色々お大変だったようです。結局高校は聴覚の不自由な子の専門の学級に行くのですが,その担当教師からいじめを受けるばかりか「お前の耳は神様に取られた」などと悪意に満ちた言葉を受けます。本当にこんな教師がいたのかと信じられません。

障害を心配する両親とは対立しながらも,町の衣料品店でアルバイトをしたことから接客に惹かれた斉藤さんは,筆談をしながら水商売の道に入ります。

美人で,性格が良かったので,あっという間にナンバーワンになります。
そこにかつての高校の差別教師がやってきて,なんだかんだ言われたりするのですが,さらっと受け流して濃い水割りを飲ませて,撃退します。
そんな機転もある斉藤さんは,その後銀座に進出して成功します。

体に障害があった場合,それを受け入れて自分にあったやり方で頑張っていく人や,障害を受け入れられずに籠もったりする人や,健常者と張り合って負けないと言う決意がありすぎる人や,色々な人が居ると思うのですが,斉藤さんや,ピアニストの辻井さんみたいに,障害を受け入れてなお自分のペースを保って成功する人はわずかなんだろうなあ,と思います。
特に,斉藤さんは辻井さんと違って家族の全面的なバックアップがなかったであろうことを考えると,その努力と共に精神的によほど強い人なんだなあと,感銘を受けます。

これからも頑張って欲しいと思います。

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