山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

世界柔道開幕

2010-09-10 17:37:52 | Weblog
 昨日から世界柔道選手権2010東京大会がスタートした。111の国と地域から750名を超える選手が参加、無差別級を含む男女各8階級が行われる。

 オープニングセレモニーではIJFのビゼール会長、全柔連の上村会長の挨拶があった。来賓の挨拶でユニークな挨拶があった。「私は北京オリンピックを観戦しましたが、『あんなのは柔道じゃない』と思いました。皆さんはせっかく日本に来られたんですから、正しい柔道を学んでいってください。時間で勝敗を決めるのもおかしい。柔道はお互いがヘトヘトになってから本当の技がでる。このスタジアムは夜中まででも使ってかまいませんから、とことんまでやってください。」というような挨拶だった。そして挨拶が終わるや否や出口に向かって帰っていった。受け取り方は人それぞれだと思うが、ホスト国の挨拶としては若干違和感を感じた。確かに柔道は世界に広がって技術、スタイルなど変容を遂げてきており、日本人にとっては苛立ちや不満を感じることもある。しかしながら、文化とは変容していくものでもある。これから世界の頂点を極める闘いをしようとする前としては士気をあげるスピーチではなかったし、日本人は勝てなくなった今でも外国人を上から目線で見ているというメッセージとなってしまった。また、そこまで立派なスピーチをしたが、試合はただの一試合も見ることなく去っていたのも尊大な感じがした。

 重量級からスタートした初日、日本は期待に応えて男女それぞれ金メダル1個、女子は2個の銅メダルを獲得し、順調な滑り出しをした。金メダルを獲得した穴井選手、杉本選手は全試合を通して安定した試合であり、ラックではなく勝つべくして勝ったといえる。昨年の世界選手権で金メダルゼロであった男子チームには何よりのカンフル剤となった。これで今日からの闘いが余裕とまではいかないが、恐れずに闘えるはずだ。

 残念だったのは男子の高木選手や高橋選手が勝てる試合を落としたことだ。地元開催で応援など有利な条件があっても勝てる試合を落としたのは非常に残念であった。後半にスタミナが切れて敗れるというのも日本人らしくない。女子の試合でも何度か先にポイントを先行されて苦しい試合もあったが、疲れの見える相手に後半追い込んで勝利したのがあった。男子がスタミナがないとは言わないが、プレッシャーの有無によってもスタミナは変わってくる。また、守ろうと思うと余計につらくなることもある。

 昨日は平日で観客が少ないのでは、と思われたがほぼ満員だった。2日以降、勝ち負けも重要だが、見に来た人が納得できるような覇気のある、攻める柔道を期待したい。