山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

小学校で柔道指導

2010-07-20 08:11:45 | Weblog
 先日、杉並区内の小学校で2日間に渡って6年生に柔道の授業を行った。数年前から毎年行っているもので、「道」というテーマで様々な講師から教えてもらうという試みである。柔道については、武道必修化もあって、中学校への導入を行う試みもあるようだ。

 始めに全体で講義形式で柔道についての話を聞いた後、実技は一クラス3時間(45分×3)行った。礼法、基本動作、受身、投げ技、抑え技と続く。道場はないので体育館に滑り止めを敷き、その上に畳みを敷いた。動きが激しくなると畳みが動いたり、スプリングもないため衝撃が大きいことはあるものの、導入段階の授業には十分といえる。

 一クラス約40人。指導にあたったのは私と交代で大学の柔道の先生がもう1人、そして近くの高校の柔道部女子が数名、2日目は大学生が2人手伝いに来てくれた。

 小学生や中学生を指導する場合、指導者1人では目が行き届かないところも出てくるので学生であっても補助してもらうと指導者も安心感があり、授業の効率もあがる。

 昨年は12月に行って非常に寒かったので今回は7月に設定したが、あいにく梅雨明けと重なり暑さが厳しかった。学校側の行事や私の都合などもあって最適な時期を選ぶのは難しい。私が行った授業のときは暑さ対策として準備運動や受身など柔道着を着用しなくてもできる部分は体操着のままで行い、さらに男女交代で行うときなどは、休んでいる時には柔道着を脱がせておいた。柔道場で柔道着を脱いで休むことは抵抗を感じる指導者も多いと思うが、授業の場合はやむを得ないと思う。

 今回のような特別授業の場合、連続して指導ができるので効率的だ。子供達も興味を持って意欲的に取り組んでくれた。中学校での授業では週1~2回で10~13時間行われると思われるが、畳みを敷いておく場所や外部に支援(指導の補助)を頼むことなどを考えれば、大学で行うような集中授業のように数日間で行うことも良いのではないだろうか。

 他のスポーツの場合は、ほとんどが小学校で遊び的な要素を含んだ導入がされて中学校に移ってくる。しかし、柔道においてはそれがない。柔道そのものは難しいだろうが、柔道遊びのようなもの、柔道着の着方やたたみ方、礼法など伝統文化を教えるなど、少しでも小学校の時代に導入ができれば中学校での授業展開もやりやすくなるのではないだろうか。

 中学校の必修化に対応するだけでも大変なのに小学校まで・・・とお怒りの声が聞こえてきそうな気もするが、これを機会に中長期的観点を持って教育現場における柔道の展開を考えていきたいものだ。