気仙ブランド発信ワーキンググループ
水産物販売力を高めようと、気仙ブランド発信ワーキンググループの全体会が四日、大船渡市猪川町の県大船渡地区合同庁舎で開かれた。新鮮で安全な気仙産を示すスローガンや試作品づくりを目指す今年度最初の会合で、他産地での事例を学習しながら、気仙における戦略について意見交換。「単品ではなく総合力で勝負すべきでは」「気仙での産地ルールを一つ決めてみんなで取り組もう」などの意見が出、参加者は具体的な活動へ意識を高めた。
ワーキンググループは漁協や漁業者、加工、流通業者、行政の若手・中堅関係者で組織。水産物のブランド構築とそれを担う人材育成を通じて水産業の活性化を図ろうと、県大船渡地方振興局水産部が昨年度から着手。これまで構築に向けた協議や首都圏での販売実践研修を行っており、今年度からは販売やブランド構築において、より具体化させた活動を目指している。
この日の全体会には構成メンバーら約二十人が出席。座学講習では「気仙ブランド戦略論について」と題し、昨年度からマーケティング分野などでアドバイスを送っている?MT&Tカンパニーの福元雅和さんが講師を務めた。
福元さんは「天領アジ」(熊本県苓北町)「どんちっち三魚」(島根県浜田市)「宮崎カンパチ」(宮崎県)を挙げ、ブランド戦略事例を紹介。
このうち、島根県浜田市での取り組みはアジ、ノドクロ、カレイを三点セットとして商品展開するもの。いずれの例でも大きさや重さをはじめ、鮮度管理などに独自の基準を示していることなども紹介された。
福元さんは商品開発や流通面において、どの世代をターゲットにするかや健康、高級志向といったコンセプトの大切さも説明。販売戦略の明確性を強調した上で、出席したメンバーに意見を求めた。
出席者からは「三陸は総合力。単品ではなく、さまざまなものを扱うコーナーを設けてもらい、相手先を限定してはどうか」「名前が売れたとしても大量に作ることはできず、今度はいいものができなくなる」といった意見も。品質や差別化、利益率を重視した戦略の提言もあった。
また「この名前だったら安心して食べられるなど、消費者との信頼を得るというネライで進めては」との発言も。品質等での産地ルールを定めた上で、気仙産を広く発信していく戦略も提案された。
同グループは今後「基準づくり部会」「商品開発部会」「流通開拓部会」に分かれて活動。気仙ブランドの確立や価格安定、生産者増加を目指して、具体的な活動に乗り出す。
基準づくり部会では「新鮮・安全・安心の客観的基準がない」といった指摘を受け、気仙ブランドの基本となる品質基準やスローガン策定などに取り組む。
商品開発部会では試作品づくりを進めるほか、流通開拓部会ではターゲットを絞り込んだ上で、首都圏や地方都市の食品関係者への売り込みに力を入れる。
東海新報 2005年7月6日
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