
堺市桃山台配水場の水力発電
高度経済成長期直前、大阪の電力需給の主力は火力発電だった。水力による発電の主流は大阪府以外の地域・地方での発電によって供給されていた。
水力資源に乏しい地理的条件ではあったが、わずかながら大阪でも昭和30年代には六カ所の水力発電所があった。大和川水系の滝畑第一発電所(120kw)、滝畑第二(82kw)、千早第一(110kw)、千早第二(100kw)、水分(100kw)、それに神崎川水系の余野川発電所(130kw)である(大阪府年鑑 昭和33年版 新大阪新聞社)。こうした小水力発電所は1960年~70年代にかけてすべて姿を消していった。
これまでに紹介したように、現在大阪にある水力発電施設は、大阪広域水道企業団の村野浄水場にある水位差発電(240kw)など5カ所で、いずれも上水道施設の水位差や水圧を活用しており、富山県小矢部川流域下水道施設の最終段階での発電形式は大阪ではまだ実現していない。
「脱原発」めざし、太陽光発電システムなどのように、東除・西除川のような水量の少ない中小河川での発電はできないのか、この問題に挑戦している市民グループがようやく生まれた。
平和問題研究家 長尾正典